刑事弁護 [公開日]2017年11月9日[更新日]2023年9月21日

国選弁護人がやる気なし?解任を申し出たい場合はどうすればいいか

国選弁護人がやる気なし?解任を申し出たい場合はどうすればいいか

刑事事件で裁判にまで発展してしまった場合(起訴された場合)、経済力のない被告人には「国選弁護人」が裁判所より選任されます。

しかし、この国選弁護人はあくまで裁判所が選んだ弁護士であるため、「被告人とどうしても気が合わない」「やる気が感じられない」などのトラブルが発生しがちです。

では、このような理由で国選弁護人を解任したいと思った場合、それは可能なのでしょうか?

1.国選弁護人と私選弁護人の違い

裁判においてある被告人の弁護を引き受けた弁護士のことを「弁護人」と言います。

被告人が自分で弁護士を選び、刑事弁護をしてもらう契約をした弁護士のことを「私選弁護人」といいます。
一方、私選弁護人をつけることができない被告人には、国(裁判所)が弁護人を選任します。国から刑事弁護を依頼された弁護人は、「国選弁護人」といいます。

重大事件(死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役または禁錮刑が定められている犯罪)の場合、刑事事件で起訴をされると、資力に関係なく、私選弁護人をつけない人には国選弁護人がつけられます。そうしなければ刑事裁判を行うことができないからです。
それ以外の軽微な事件では、資力のない人に国選弁護人がつきます。

2.国選弁護人の解任はできるのか?

国選弁護人は、自分で解任することはできません。

国選弁護人は国(裁判所)から弁護を依頼されていますので、国選弁護人を解任できるのは裁判所です。そこで、国選弁護人を解任したい場合には、裁判所に解任請求をすることになります。

しかし、国選弁護人を解任請求してもほとんど認められないのが現状です。 「国に弁護人をつけてもらっているのだから、多少のことは我慢するべき」だということです。
また、国選弁護人の解任請求を繰り返すことによって、訴訟を遅延させようとする被告人などもいるため、裁判所としても簡単に解任請求は認めるわけにはいかないのです。

刑事訴訟法第38号の3の第1項では、下記のとおり解任できる要件が定められています。

  1. 第30条(弁護人の選任権)の規定により、弁護人が選任されたことその他の理由により弁護人を付する必要がなくなったとき
  2. 被告人と弁護人との利益が相反する状況にあり弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき
  3. 心身の故障その他の事由により、弁護人が職務を行うことができず、又は職務を行うことが困難なとき
  4. 弁護人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき
  5. 弁護人に対する暴行、脅迫その他の被告人の責めに帰すべき事由により弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき

やる気のない国選弁護人であれば、上記4の「弁護人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当ではないとき」に該当するようにも思えますが、弁護人が最低限やるべきことをやっていれば、この条項によって解任されるということはほとんどありません。

仮に国選弁護人の解任が認められたとしても、次に選任される国選弁護人がどのような弁護士かは分かりません。そして、そのような手続をしている間にも、裁判の準備をするための期間が奪われていきます。保釈されていない状態なら身柄拘束が長引くだけです。

それならば、自分や家族が「この人にお願いしたい」と思える弁護士に私選弁護人として刑事弁護を依頼した方が、弁護活動が早く開始しメリットも大きいでしょう。

実務上でも、国選弁護人の解任が認められるのは、上記1の私選弁護人がついた場合がほとんどです。

3.私選弁護人と契約するメリット・デメリット

(1) 私選弁護人のメリット

先述の通り、国選弁護人は裁判所が選任するため、被告人が自分自身で選ぶことができません。
これに対し私選弁護人は、自分に合う弁護士を事前に選び、確認できる安心感があります。

さらに、依頼後に弁護士との相性が悪いことが分かった、などということが万が一あっても、私選弁護人なら自分自身で解約をすることができます。
更なる費用はかかりますが、その後の新しい弁護士もまた自分自身で選ぶことが可能です。

(2) 私選弁護人のデメリット

私選弁護人のデメリットといったら、国選弁護人よりも費用が高いというだけでしょう。
国選弁護人の費用は、「お金がなくて、自分で弁護人をつけることができない人」は無料になります。

私選弁護人の費用については、下記で詳しく説明します。

4.私選弁護人の弁護士費用

気になる私選弁護人の費用ですが、事案や依頼する弁護士によってケースバイケースです。

刑事事件は人生を左右する重要なもので、費用だけで決めることはできない問題です。
もっとも、国選弁護人のやる気のなさ・対応が不満なのに、私選弁護人の費用について「いくらぐらいになるのだろう」「自分には払えないかもしれない」などと不安を抱えて依頼を躊躇してしまってはよくありません。明確な費用設定をしている弁護士を選び、実際に一度相談・面談をしてみるのが良いでしょう。

泉総合法律事務所は、リーズナブルな弁護士費用を設定させて頂いております。当事務所の弁護士に私選弁護をご依頼頂いた際の弁護士費用については、以下をご覧ください。「弁護士費用のご案内

5.私選弁護人は泉総合法律事務所の弁護士へご依頼を

国選弁護人は原則として解任できませんが、私選弁護人に代えることはできます。

泉総合法律事務所は、私選弁護の重みを十分に意識して、どの弁護士も刑事弁護に力を入れております。
裁判となっても、執行猶予付き判決や無罪判決を目指して全力で取り組みますので、家族や身内の方が逮捕・起訴されてしまった場合には、当事務所の弁護士にぜひご相談ください。

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