刑事弁護 [公開日]2017年11月7日[更新日]2019年11月1日

刑事事件の控訴と上訴・上告の違いとは?量刑不当で控訴できる?

刑事事件で逮捕された場合、裁判になってしまうこともあります。
裁判となり下された地方裁判所や簡易裁判所の判決に納得がいかない場合、「控訴」することができます。

しかし、控訴とは一体何なのか、どのような場合に認められるのか、分からない方も多いと思います。
また、控訴という言葉を聞くと、上告・上訴という言葉も頭によぎると思います。しかし、これらの違いについて理解されている方は少ないのではないでしょうか。

以下においては、控訴に関して、要件や効果、上告・上訴との違いについて解説していきます。

1.控訴とは?

控訴とは、地方裁判所又は簡易裁判所のした第1審の判決に不服がある場合に、高等裁判所に対し、その取消し・変更を求める申立てのことをいいます。

控訴の申立てをすることができるのは、第1審判決を受けた当事者である検察官と被告人です。被告人の法定代理人なども控訴することが可能ですが、被告人の明示の意思に反した申立ては許されません(刑事訴訟法353条等)。また、犯罪の被害者は控訴することはできません。

控訴の提起期間は、第1審の判決の宣告のあった日から14日(初日は算入されませんので[法55条1項]、判決宣告日を含めますと15日)以内です(法373条等)。その間に控訴しなければ控訴権が消滅します。

また、控訴審では、原則として、被告人に公判期日の出頭義務はありません(法390条本文)。

2.控訴の要件

控訴の申立ては、法律の定める事由を理由とする場合に限り可能です(法384条)。

控訴の理由は多々ありますが(法377条~382条等)、以下からわかるように、控訴審で破棄される多くの理由は判決後の情状、量刑不当、事実誤認、法令適用の誤りです。

平成30年度裁判所司法統計(控訴事件)

控訴終局総人員5710人破棄人員 576人(10.1%)
判決後の情状(393条2項)量刑不当(381条)事実誤認(382条)法令適用の誤り(380条)その他
113人(19.6%)456人(79.1%)178人(30.9%)40人(0.06%)1人(0.0%)

*2以上の控訴理由がある場合はそれぞれの理由欄に計上

 破棄事由内容 加重要件 
判決後の情状第1審の判決後に、刑の量刑に影響を及ぼす情状事実があるなし
量刑不当第1審の判決の言い渡した刑が、重過ぎあるいは軽過ぎて、合理的な裁量の範囲外にある上に同じ
事実誤認第1審の判決の認定した事実が、訴訟記録中の適法な証拠を考慮に入れて認定されるべき事実と合致していないその理由が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合
法令適用の誤り認定された事実に対し適用すべき法令を適用していない上に同じ

参考:司法統計「控訴事件の破棄人員」「控訴事件の終局総人員」

3.控訴審の判決の種類

(1) 判断方法

控訴審は事後審(第1審の審理や判決について違法・不当な点がないかどうかを事後的に審査する)です。はじめから裁判をやり直すわけではないのです。

したがって、控訴審では、公判を開いても、検察官や弁護人が判決に誤りがあるかどうかについて意見を述べるだけで、第1審のように法廷で証人やその他の証拠の取調べをしないのが原則です。

もっとも、第1審の証人を呼んで聞き直したり、第1審当時いろいろな事情で調べることのできなかった証人を取り調べたりして、事実を確かめることは許されています。

(2) 控訴の結果(控訴棄却・原判決破棄)

記録を調査したり、事実の取り調べをしたりした結果、第1審の判決に誤りのないことが分かった場合には、控訴審は、第1審判決を維持する「控訴棄却」の判決(法396条)をします。

第1審の判決に誤りが発見された場合には、控訴審は、これを取り消すため「原判決破棄」の判決をします。原判決が破棄されますと、まだ第1審の判決が出されていないのと同じ状態になります。

そこで、控訴審は破棄差戻し(移送)か破棄自判することになります。

原判決破棄差戻し」(法398条、400条)、「原判決破棄移送」(法399条、400条)は、更に証拠を取り調べたり、誤りを正して判決をやり直したりした方がよい場合に言い渡します。そうすると、事件は再び第1審で審理されることになります。

原判決破棄自判」(法400条ただし書)は控訴審での審理の結果、すぐに結論が出せる場合に、第1審に差し戻さないで、代わりに自ら判決を言い渡すことをいいます。

4.上告・上訴との違い

(1) 上告

上告とは、控訴審の判決に不服がある場合に、最高裁判所に対し、その取消し・変更を求める申立てのことをいいます。上告の申立権者は、控訴の申立てと同じです(法351条1項等)。

上告ができるのは、控訴審の判決が憲法に違反していたり、憲法の解釈を誤っていたり、あるいは最高裁判所の判例に違反していることなどを理由とする場合です。

(2) 上訴

上訴とは、確定前の判決に不服がある場合に、上級の裁判所に対し、その取消 し・変更を求める申立てのことをいいます。

したがって、上記から明らかなように、判決に対する上訴には、「控訴」と「上告」があることになります。

5.刑事裁判も泉総合法律事務所へ

刑事事件で裁判になってしまい、判決内容に納得がいかないという場合には、控訴することで再び争うことができます。

しかし、以上で述べたよう、控訴審は事後審です。そのため、第一審が不当であるということを的確に主張していかなければなりません。それは、ただでさえ様々な不利益を被っている被告人にはとても困難なことです。

控訴を考えているならば、あなたのことを親身になって弁護してくれる、刑事事件に強い弁護士に相談するべきです。

刑事事件でお悩みの方は、経験豊富な泉総合法律事務所に、是非一度ご相談ください。

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