刑事弁護 [公開日]2017年7月21日[更新日]2019年10月30日

緊急逮捕の要件とは?通常逮捕・現行犯逮捕との違い

逮捕の種類を解説!通常逮捕・現行犯逮捕・緊急逮捕は何が違うのか?

多くの人が、「○○を緊急逮捕しました。」という言葉をニュース速報で聞いたことがあると思います。それと共に「緊急逮捕って何?」「現行犯逮捕とは何が違うの?」と感じた方もいるのではないでしょうか。

ここでは、緊急逮捕とその要件、通常逮捕・現行犯逮捕との違いをまとめて説明します。

1.通常逮捕

通常逮捕とは、裁判所から得た逮捕令状で逮捕することをいいます(刑事訴訟法199条1項)。

令状が必要とされるのは、以下の憲法上の要請があるためです。

憲法第33条
何人も現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ逮捕されない。

令状の請求を受けた裁判官は「被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」(特定の犯罪行為を行ったという客観的かつ合理的な嫌疑があるということ)があり、逮捕することが必要だと認めた場合に逮捕令状を発行します(刑事訴訟法199条2項)。

逮捕状の有効期間は、原則として7日です。有効期間を超えた逮捕状では逮捕することができません。また、通常逮捕する際には、逮捕状を被疑者に提示しなければなりません(刑事訴訟法201条)

誰かを捕まえる場合、通常逮捕が原則となります。

2.現行犯逮捕

(1) 現行犯逮捕とは

現行犯逮捕とは、犯罪を現認した場合に現行犯人を逮捕することです。(刑事訴訟法212条)

憲法第33条が、「現行犯として逮捕される場合を除いては」と規定していることから、現行犯逮捕は、令状主義の例外として許されると解されています。

現行犯逮捕には、現行犯人の逮捕(現行犯逮捕)の他に、「現行犯人」とみなされる者の逮捕(準現行犯逮捕)の2種類があります 両者の要件は以下のものとなっています。

現行犯
  1. 現に犯行を行っているか、犯行を行い終わったこと(犯行を現認したこと)
準現行犯
  1. 罪を行い終わってから間がないこと
  2. 以下のいずれかの要件に当てはまっていること
    ・犯人として、追われているか呼びかけられているとき(これを「追呼」と言います)
    ・犯罪によって得た財産や明らかに犯罪に使用したと思われる凶器などを所持していること
    ・身体または被服に犯罪の顕著な痕跡があるとき
    ・誰何(声をかけて名前を問いただすこと、及びこれに類する行為も含みます)されて逃走したこと

なお、現行犯逮捕と準現行犯逮捕は、一般の人でも行うことができます。その場合は、被疑者の身柄を直ちに警察か検察官に引き渡さなければなりません(刑事訴訟法214条)。

(2) 現行犯逮捕される場合

現行犯逮捕が頻繁に行われるケースが三つあります。

まず、違法薬物の所持です。 警察は、不審な行動を取る者に対して職務質問をし、さらに必要性・緊急性に応じて相当な限度で所持品検査を行うことができます。
その結果、違法薬物の所持が認められると現行犯逮捕が行われます。

次に、痴漢です。犯行を現認した被害者や目撃者が現行犯逮捕し、警察に身柄を引き渡しています。

最後に万引きです。いわゆる万引きGメンが、万引き犯人を現行犯逮捕し、警察に引き渡しているということになります。

3. 緊急逮捕

(1) 緊急逮捕とは

緊急逮捕は、一定の重大犯罪について、罪を犯したことを疑う充分な理由がある場合で、急速を要するときに、逮捕状がない状態で逮捕することをいいます(刑事訴訟法210条)

これは、裁判官に令状を請求していたのでは重大な犯罪を犯した犯人に逃げられてしまう、といったことを防ぐために、刑事訴訟法上認められたものです。

緊急逮捕の要件は、以下のものとなっています。

緊急逮捕
  1. 死刑・無期懲役・長期3年以上の懲役・禁固にあたる罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」(通常逮捕の要件である「相当な理由」よりも、高度の嫌疑)があること
  2. 逮捕するのに、急速を要し、裁判官に逮捕状を求めることができないこと
  3. 逮捕の必要性があること

警察官は緊急逮捕する際、理由を被疑者に告げなければなりません。そして、緊急逮捕後、ただちに裁判所に逮捕状を請求しなければなりません。
つまり、逮捕の要件が揃っているかを、事後的に裁判所にチェックしてもらう必要があるわけです。

そして、裁判所が逮捕令状を出してくれなければ、直ちに被疑者を釈放することになります。

なお、現行犯逮捕と異なり、私人による緊急逮捕は認められていません。

(2) 緊急逮捕される場合

例えば、他の事件について、任意で事情を聞いているときに、突然重大事件について告白された場合です。

任意の取り調べでは、被疑者は警察からいつでも帰宅することができます。そのため、帰ろうとする被疑者をその重大事件で緊急逮捕することが考えられます。

その他に、重大事件で指名手配されている犯人を見つけた場合も緊急逮捕が行われることがあります。

警察官は逮捕状を常に所持してるわけではないですし、裁判所に逮捕状を請求しているうちに犯人に逃げられてしまいます。
このような場合、重大犯罪の犯人であれば、緊急逮捕で対応することになります。

4.まとめ

緊急逮捕の要件は非常に難しいもので、頻繁に使われるものではありません。
逆に、何かで逮捕されてしまいそうになった場合でも、要件に合致していないことをはっきり説明できれば逮捕されることはありません。

しかし、刑事事件について詳しい弁護士でなければ、それを説得的に説明することは困難です。痴漢や万引きで現行犯逮捕されてしまった場合も同様です。

もし逮捕されそうで不安だったり、逮捕されてしまったりしたということがありましたら、刑事事件の弁護経験豊富な泉総合法律事務所にご相談してください。

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