公務員・教員の刑事事件(盗撮、人身事故、傷害など)と懲戒処分

刑事事件簿

公務員・教員の刑事事件(盗撮、人身事故、傷害など)と懲戒処分

泉総合法律事務所に刑事弁護をご依頼される方の大半は民間企業にお勤めの方ですが、教員の方を含む公務員の方も多数おられます。

教員を含む公務員の方が刑事事件を起こした場合には、刑事処分とは別に、教員は教育委員会での行政処分として懲戒処分(懲戒免職、停職など)が下されますし、通常の公務員も同様に人事課、人事部の担当部署から懲戒処分(免職、停職、戒告など)が下されます。懲戒処分内容は、民間企業よりもはるかに厳しい処分といえます。

また、多くの場合、刑事事件(痴漢、盗撮、人身事故、傷害など)を起こした場合には、法的な根拠は明確ではないように思っていますが、警察から役所に連絡がいくことになっております。

そこで、今回は教員、公務員の方の刑事弁護活動について紹介するとともに、教員、公務員の懲戒処分に関しても言及してみたいと思います。

1.教員の軽犯罪法違反の事例

かなり前ですが、教員の方が保養施設に泊まりに行ったところ、保養施設がかなり老朽化しており、教員の男性が男性用風呂場を出て女性用風呂場の前を通り過ぎたところ風呂場の扉に穴があいており、内部がわずかに見えて風呂場の更衣室にいる女性と目が合いました。そのまま廊下を普通に歩いて通り過ぎて自室に戻ったところ、女性がのぞき見をしたと警察に通報し、軽犯罪法違反(のぞき見)として刑事事件になった案件でした。

軽犯罪法違反ということもあってか被疑者はのぞき見を否認しても逮捕はされませんでしたが、教員の立場からすればのぞき見が事実ですと軽犯罪法違反でも厳しい懲戒処分の対象になりますので、無実を立証する必要がありました。

その弁護依頼を受けてから、弁護士がその保養施設に泊まって状況を確認するなどして、女性用風呂場の穴の確認や、穴から中が通りすがりで見えるのかなどを、夜間の人がいない時間帯に適法な方法により何度も確認するとともに、映像にして証拠化し、検察庁に提出などするとともに、保養施設の状況などを踏まえて無実であるとの内容の報告書、弁護士意見書を提出しました。

担当検察官からはなかなか処分結果について連絡がなく、仕事納めの前日に担当検察官から不起訴処分にするとの連絡が入り、教育委員会の懲戒処分を受けることもありませんでした。

年々教員、公務員の刑事事件、特に性犯罪系に対して教育委員会や役所の懲戒処分は厳しくなっており、この事件は相当前でしたので処分が今ほど厳しくなく起訴されても免職はなかったでしょうが、それでも停職は避けられなかったと思っています。

刑事処分は仮に起訴され有罪判決としても罰金刑でしょうから、免職や停職などの懲戒処分になれば教員の仕事を失うことになりますので、いかに厳しいものか分かります。

【参考】弁護士が語る!痴漢の様々なケースと逮捕・示談の流れ

2.飲酒をして器物損壊、覚えておらず否認となった事例

教員や公務員の方も当然酒を飲みますが、酔っぱらって刑事事件を起こすことも一般の会社員の方と同様にかなりあります。公務員の方で金曜日の夜に泥酔して、帰宅途中に最寄り駅で降りたものの記憶を失った状態である物を壊してしまい、警察に110通報となり、泥酔状態のため器物損壊行為について記憶がなく否認扱いとして逮捕された刑事事件の依頼が当所にありました。

警察からその被疑者の上司に連絡が行くとともに、家族から刑事弁護の依頼がありました。

逮捕後48時間以内に検察庁に送検されることになっていますが、泥酔状態で記憶がない、つまり否認ですと、検察官が勾留請求し、裁判官の勾留決定の可能性が高まります。そうなると、勾留で10日間警察の留置場に留置され、被疑者本人が担当している職務が滞り、職場にも多大な迷惑をかける状況にありました。

そこで、何としても勾留を阻止し、釈放するために、刑事弁護の依頼後に直ちに警察に接見に行き被疑者から直接事実関係を聞き取り、翌日の検察官の取り調べへの対応を助言し、同時に身元引受書や上申書、弁護士意見書を検察官に提出し釈放に向けて働きかけて日曜日に釈放が実現して、欠勤することなく職場復帰しました。

事件は在宅事件に切り替わり、当所弁護士が被害者と示談交渉して、比較的速やかに示談が成立し検察官は不起訴処分としてくれました。

もっとも、役所の上司が事情を知っているため、役所による懲戒処分を受けることになると思います。懲戒処分結果は当所の関知するところではありませんが、停職まではいかなったのではないのではと思っています。

泥酔しての刑事事件で多いのは暴行、傷害事件ですが、民間企業の方だけでなく公務員の方も同様に刑事事件を起こすことがかなりあり、刑事弁護のご依頼を受けることがあります。泥酔して犯行を覚えていない場合には先の例と同じく常にではありませんが、否認扱いとなり、警察に逮捕され、最悪10日間勾留され警察の留置場に拘束されることになります。

そうなると弁護士に依頼して示談を成立させ不起訴となっても、警察から役所に連絡がいかなくとも無断欠勤などにより役所による厳しい懲戒処分が待っておりますし、警察から連絡が行けばより厳しい懲戒処分が待っています。

3.公務員が盗撮や人身事故を起こした事例

また、公務員の方で、駅構内で盗撮をして警察に検挙された事件の依頼も受けたことがあります。公務員の方ですと、盗撮など性犯罪は警察から記者クラブを通してマスコミ発表することが多いのですが、幸い、マスコミ報道は避けられました。しかし、警察から被疑者の所属先の役所に盗撮で検挙されたとの連絡が行き、職場に知られることになってしまいました。

別の公務員の方も盗撮で刑事弁護依頼があり弁護を担当しました。警察からは所属の役所には連絡が行きませんでしたが、自主的に役所に盗撮行為を申告しました。万一発覚したら懲戒免職になることを危惧して報告したものです。

また、公務員の方で、自動車運転中人身事故を起こし(任意保険に加入していましたが)被害者がかなりの重症だった事例があります。多くの方は任意保険に加入しているため、謝罪に出向く以上は何もしていないでも刑罰を受けることはありません。

しかし、ケガが重傷ですと、通常の不注意の運転が原因でも、起訴されて正式の刑事裁判となるのが通常です。ケガが軽くても、犯行態様(不注意の程度)によっては罰金刑になることがかなりあるといえます。判決は任意保険に入っていれば犯行態様(不注意の度合い)如何ですが、多くの場合執行猶予付きの懲役判決になるでしょうが、懲役判決であることには変わりはないですから、罰金刑以上に大きな悪影響が生じます。この場合に必ず執行猶予になるわけではなく実刑の可能性もありえますので、十分注意してください。

人身事故も重大な犯罪行為であるとの認識をもって、ケガの軽い、重いを問わず、人身事故後直ちに刑事弁護経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼することをお勧めします。

ところで、公務員の交通事故で人身事故の場合には、罰金では身分には法律上影響しないのですが、起訴され正式裁判になり執行猶予がついても懲役刑になれば公務員法で免職になる規定があります。そこで、交通事故、人身事故を起こしてしまった公務員の方から事故後直ちに泉総合法律事務所に刑事弁護の依頼があり、当所も速やかに被害者と示談交渉を開始して無事示談して不起訴処分となり、行政処分も免許取消しや免許停止を回避することができ大変喜んでいただきました。

個人的見解ですが、警察も公務員であり、他方、公務員といえども被疑者として人権がありプライバシー権を有しており、警察は犯罪に関して高度の守秘義務を負っていますので、所属先の役所に連絡することには違和感があります。

まして、盗撮は性犯罪の中では比較的軽微な犯罪であり通常罰金数十万円である一方で、役所が知ることになれば罰金刑以上に重いと言える免職などの厳しい懲戒処分が待っています。そう考えると(刑事事件の処分は刑罰であり、教育委員会の処分は行政処分であり、目的・性質が異なることは十分分かりますし、教員には立場上きわめて重い倫理性が求められることも間違いないことですが)刑事弁護を担当する弁護士の立場ゆえか、違和感を覚えてしまいます。

【参考】弁護士が語る!盗撮の実態と逮捕される前に知っておきたいこと

4.教員の刑事犯罪は不起訴でも懲戒免職・停職になる!?

公務員・教員の刑事事件(盗撮、人身事故、傷害など)と懲戒処分

公務員の中でも教員については役職上厳しい倫理が求められるからか、警察は厳しい対応をしており、当所が刑事弁護依頼を受けた経験では、被害届が出ておらず刑事事件として立件されない時点でも上司などに連絡することが多く、あるいは刑事事件化して刑事弁護の依頼を受けて不起訴を取り付けても、教育委員会の厳しい懲戒処分が待っています。

教員の刑事事件については不起訴であっても、教育委員会の懲戒処分が下され、年々厳しくなっており、刑事事件を起こしたら多くは免職、よくて停職となることがほとんどです。性犯罪関係は、教員の立場から特に厳しく原則免職となります。

教員は高い倫理観を求められますから厳しい懲戒処分はある意味当然とは思いますが、個人的見解としてですが、被疑者の教員が自らの判断で教育委員会に申告するかどうか判断することが望ましいのではと考えております。
教員の方は、教育委員会の指導からか懲戒処分の厳しさについて熟知されていると実感しています。それだけでなく、公務員の方も、教員の方と同様に比較的軽微な刑事事件でも厳しい懲戒処分を受けると認識して自らの行動を律することに越したことはありません。

5.泉総合法律事務所は懲戒処分についても熟知しています

教員の方、公務員の方で刑事事件を起こしてしまったら、懲戒処分についても熟知している泉総合法律事務所に刑事弁護をご依頼ください。様々な事件につきまして、不起訴処分を勝ち取るために全力で弁護活動をさせて頂きます。
懲戒処分につきましては、内規で犯罪内容ごとに規定がありますので、正直申し上げてできることには限度があるのが事実ですが、ご相談にのって多少なりともお役に立つことはできるかと思っております。

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