盗撮 [公開日]2020年2月28日

盗撮の証拠にはどのようなものがある?

犯罪が発覚する場合、何らかの証拠が存在します。盗撮事件も例外ではありません。
もっとも、盗撮の証拠と聞くと盗撮データを思い浮かべると思いますが、盗撮の証拠はこれに限られるのでしょうか?また、盗撮データを削除した場合、そのデータはもはや証拠とはならないのでしょうか?

ここでは、盗撮の証拠全般について説明します。

なお、盗撮についての説明はこちらをご覧ください。

1.盗撮の証拠

盗撮の証拠としては以下のものがあります。

(1) 盗撮した写真・動画

盗撮に用いた端末に盗撮写真や画像が残っていた場合、それは盗撮を行ったことを証明する重要な証拠となります(もちろん、盗撮に用いた端末それ自体も重要な証拠です)。

仮に盗撮写真等を削除しても、写真等がウェブに即座に同期される機能を備えていた場合は、通信会社に盗撮写真の確認を求めることが可能になります。

また、電子機器等にある盗撮データを削除しても、多くの場合、データを復元することが可能です。

なお、盗撮機器のデータを隠滅しても、証拠隠滅等罪(刑法104条)は成立しません。証拠隠滅等罪は、「他人の刑事事件に関する証拠」を対象とするので、自分の盗撮行為の証拠は含まれないからです。

ただし、盗撮の罪で立件された後に、自分の盗撮行為の証拠を隠滅した事実も明らかになれば、悪質な行為と評価され、起訴・不起訴の判断や裁判での量刑において不利な事情として考慮される危険がありますから、決して、お勧めはできません。

(2) 防犯カメラの映像

現在、街中には多くのカメラが設置されています。そのカメラに、被疑者が盗撮している現場が映っていた場合、その映像はそのまま証拠となります。

駅構内で盗撮した場合などは、盗撮行為が防犯カメラに映っていることがあるでしょう。

他方、電車内や公衆トイレで盗撮をする場合などは、そもそも防犯カメラが存在しないことが多数なので、この証拠の獲得は困難でしょう。

(3) 被害者・目撃者の証言

被疑者が盗撮をしているのを見た!という被害者の証言も証拠となります。また、被害者が盗撮の現場を見ていなくても、周りにいた第三者が盗撮行為を確認していた場合、その第三者の証言も盗撮の証拠となります。

多くの場合、起訴に持ち込むには、盗撮に用いた端末、盗撮画像、目撃証言の3つが揃うことが必要でしょう。

この点、例えば、先に見たように、東京都迷惑防止条例は、「撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け」る行為も処罰対象としており、まだ画像を撮影していなくても犯罪となります。

しかし、差し向け行為にとどまる場合、犯行の証拠としては、被害者や周囲の人の現認に基づく証言しかない場合が多く、端末はあっても画像がなければ、起訴に踏み切るケースは希だと思われます。

(4) 被疑者の供述

被疑者の犯罪を犯したという供述(自白)も証拠となります。ただし、自白は証拠の中でも重要視される一方、誤判を招くおそれも高いので、証拠が自白しかない場合には有罪とすることはできません(憲法38条3項、刑事訴訟法319条2項)。

2.盗撮で逮捕される場合

盗撮の証拠が全て揃っている場合に、必ず被疑者が逮捕されるかというとそんなことはありません。証拠がある場合は逮捕される可能性があるのは事実ですが、証拠がある=逮捕とはなりません。

(1) 現行犯逮捕

盗撮で逮捕される手続には現行犯逮捕と通常逮捕があります。

現行犯逮捕とは、「現に罪をおこない、または現に罪をおこない終わった者」、「罪をおこない終わって間がないと明らかに認められる者」を逮捕状無しで逮捕することを言います。現行犯逮捕は、後述する通常逮捕と異なり、一般人にも可能です。

現行犯逮捕の例として、盗撮している所を被害者、第三者に取り押さえられた、盗撮が発覚しその場で警察を呼ばれすぐに駆けつけた警官に身柄を確保された、盗撮がバレて逃げ出したが被害者・目撃者・警察官らに追いつかれ取り押さえられた場合などが挙げられます。

盗撮事件の逮捕はこの現行犯による逮捕が多いといわれています。
もっとも、現行犯逮捕された場合でも、被疑者が後に逃亡して身をくらますおそれがない、犯行を認めている、証拠を全て警察が押収し証拠隠滅のおそれがないと判断されると、その場で釈放されることもあります。

なお、被害者や第三者の誤解から、犯人と疑われて誤認による現行犯逮捕がなされることもありえます。この場合、事実が明らかになれば、釈放されますが、警察からの追及により虚偽の自白をしてしまったり、逮捕されることによる事実上の不利益(逮捕による身体拘束、世間の目など)を被ったりする可能性があります。

そのため、誤認逮捕された場合は、直ちに弁護士との面会をさせるように警察に要求することが絶対に必要です。
心当たりの弁護士がいなければ、当番弁護士を要請することが可能です。

(2) 通常逮捕

通常逮捕とは、裁判官が出す令状に基づいて警察官が行う逮捕です。通常逮捕がなされるのは、盗撮行為が後日発覚した場合や、その場では逮捕されず家に帰ったが後に逮捕の必要性が生じた場合です。

現行犯逮捕との主な違いは、①令状が必要、②一般人に権限がないことが挙げられます。

【緊急逮捕とは?】
緊急逮捕という言葉をご存じでしょうか?現行法上、逮捕には、通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕と3種類あります。緊急逮捕はの要件・手続きは以下のものです。
「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。」
盗撮事件の場合、住居侵入罪が成立すると、法律上は緊急逮捕が可能です。もっとも、住居侵入罪で緊急逮捕がなされるケースは少ないと思われます。

3.もし盗撮で逮捕されたら

盗撮で逮捕されると、勾留(逮捕に続く長期の身体拘束)、起訴が行われる可能性があります。また、有罪率99%の日本において、起訴されると有罪となる可能性が高いです。

有罪となると前科がつき、様々な不利益が生じますので、盗撮で逮捕されてしまったらこれらの事態を回避する必要があります。

(1) 勾留・起訴回避のための示談

盗撮での勾留・起訴となるのを防ぐには、被害者との示談を成立させることが何より重要です。

示談により被害者の被害が回復し、処罰感情がなくなったと評価できるので、勾留以降の刑事手続きを進める必要に欠けると検察官が判断する可能性が高まるためです。

(2) 早期に示談を成立させるため、弁護士に依頼

被疑者が逮捕されている場合、自ら示談交渉を行うことはできません。しかし、逮捕から勾留までは72時間以内に行われるため、示談交渉を早期に行う必要があります。

弁護士なら、逮捕直後から被疑者と接見が可能なため(家族はこれができません)、事件の状況を早期に把握した上で、適正かつ迅速に被害者と示談を成立することが可能です。

また、弁護士が勾留阻止活動を行って釈放となることが少なからずあります。釈放となれば示談交渉に充分な時間を確保できます。

また、弁護士は示談金(示談において相手に払う金銭)の相場についても熟知しているため、過大な金銭的負担を背負うこともありません。被害者の心情に配慮した上で、適切な減額交渉を行うことが可能です。

そのため、示談交渉は弁護士に依頼するのが最善の策です。

4.盗撮をしてしまったら弁護士へご相談ください

盗撮の証拠について解説しました。

もっとも、どのような証拠が存在するかは事案によりけりです。想定外の事情から盗撮の事実が発覚することもあります。

盗撮で逮捕されるかも?と不安な方、あるいは盗撮で逮捕・起訴されるのを防ぎたい!と考える方は、早期に盗撮案件を多数扱っている泉総合法律事務所の弁護士へご相談ください。

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