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盗撮で職場を解雇されたくないという方へ~知っておくべきこと

盗撮で解雇されないためにやるべきこと

【ケース】
同僚と飲みに行った帰り道、駅の階段でかわいい女子高生を見かけました。酒に酔っていたこともあり、興奮し、ついつい追いかけてスカートの下にスマホを差し出して撮影してしまいました。そこを、たまたま通りかかった駅員に見られて捕まってしまい、警察まで任意同行させられて取り調べをうけることになってしまいました。
その後、「今日は帰っていいよ。あとで呼び出すからね。」と言われて解放されましたが、盗撮をしたことが会社にバレたらクビになってしまうのではないか、人生が終わってしまうのではないかと、あれこれ不安になる日々を過ごしています。

このようなご心配をしている方は、一刻も早く弁護士に相談してください。あなたの将来にとって有益なサポートとアドバイスをさせていただきます。良いタイミングでご相談いただければ、解雇を回避し、不利益を最小限にできるかもしれません。

本記事では、ご不安を出来るだけ解消するために、ご相談の前に知っておいたほうがいい内容、盗撮で会社を解雇されないために知っておくべきことを解説いたします。

【この記事を読んでわかる事】

  • 盗撮しても解雇事由にならないが、事実上解雇される可能性が否定できないこと
  • 解雇の是非を争うよりも、早急に示談対応することが最も有益であること
  • 盗撮に起因した解雇や懲戒処分に関する法的根拠や判例法理、関連する公務員規定など

1.盗撮で解雇することができるのか?

盗撮が解雇まで発展するかは、勤務先の規定にもよりますが、どの事実が発覚するかが大きな分岐点になります。

具体的には、「起訴されて前科がついたか」「示談等で不起訴に終わり、前科がつかなかったか」が重要なポイントです。

(1) 民間企業の場合

① 懲戒の事由は就業規則に定められている

一般の民間企業では、就業規則で「会社の名誉、対面、信用を毀損したとき」とか、「不名誉な行為をして会社の対面を汚したとき」を懲戒事由と定めています。

そして、業務と無関係な私生活上の行いであっても、盗撮などの犯罪行為はこれに該当するとして、懲戒解雇を含む懲戒処分がなされることがあります。

しかし、法律論としては、業務と無関係な私生活上の非行行為で解雇を行うことはできないことが原則です。

最高裁の判例では、

「不名誉な行為が会社の対面を著しく汚した」と言うためには、その行為が会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価される場合でなければならない(最判昭和49年3月15日)

として、私生活上の非行行為で懲戒できる場合は、非常に厳しく限定されているのです。

いち従業員が、盗撮行為をしただけで、このような例外的なケースに該当することはありません。したがって、会社が懲戒解雇をしたとしても、それは無効な解雇です。

② しかし、解雇される事実上の危険はある

もっとも、法的に解雇できないといっても、盗撮行為が会社にバレれば、会社によっては解雇されてしまう危険があります。解雇の有効性を裁判で争うことは、時間もコストもかかり、大きな犠牲を伴います。

ですから、解雇されないこと、そうした判断を会社側にさせないことが、何よりも重要です。

(2) 公務員の場合

公務員の場合は、民間企業とは事情が異なります。

① 国家公務員の場合

まず、盗撮行為で起訴され、禁錮以上の刑に処せられた場合は、たとえ執行猶予がついて現実に刑務所に服役しないときでも、国家公務員法(38条)が定める欠格事由に該当することになり、当然に失職します(同76条)。

次に、盗撮行為が発覚し、不起訴に終わった場合や罰金刑で済んだ場合は、失職はしませんが、停職または減給の懲戒処分を受けます(人事院「懲戒処分の指針」)。

② 地方公務員の場合

地方公務員も国家公務員と同様に、禁錮以上の刑に処せられると執行猶予刑であっても、地方公務員法(16条)が定める欠格事由に該当することになり、当然に失職します(同28条)。

次に、盗撮行為が発覚し、不起訴に終わった場合や罰金刑で済んだ場合でも、懲戒処分の対象となります(同29条)。処分の具体的な内容は、各自治体が定めることになります。たとえば、東京都では、盗撮行為は免職または停職とされています(東京都「懲戒処分の指針」)。

このように、公務員の場合は、民間企業よりも厳しい対応が予定されていると言えます。

ただ、ここでしっかり押さえてほしいのは、「刑に処せられたことが重要な分岐点となっているということです。

職場を解雇されたくない、今の職場で働きたいと考えるならば、「刑に処せられること」、「前科がつくこと」は、なんとしても避けねばなりません。

2.盗撮で解雇されないためにやるべきこと3か条

  • 呼び出しには誠実に応じ、逮捕・勾留されないようにする
  • 万一、逮捕されたときは弁護士を依頼する
  • 弁護士を通じて示談交渉を進める(最も大事なポイント!)

(1) 呼び出しには誠実に応じ、逮捕・勾留を避ける

逮捕、勾留されてしまうと身柄拘束が23日以上に及んでしまう危険があります。
逮捕から、検察官が起訴、不起訴を決めるまでの期間制限が最大23日間だからです。これだけ長期の欠勤で会社に事実を隠すことは困難です。

盗撮行為で警察で取り調べを受けたが、逮捕はされなかったというケースであれば、犯行内容が悪質でなく、前科前歴もなく、住居、家族、勤務先もしっかりしており、逃亡や証拠隠滅のおそれもないと、一応、判断してもらえたことになります。したがって、後から逮捕されてしまう危険性はまずありません。

しかし、今後、絶対に逮捕できないというわけではないのです。警察や検察からの呼び出しに応じなかったり、仕事の都合などを言い訳にして日を伸ばしてもらったりが重なるなどすると、捜査に非協力的と判断されて、逮捕されてしまう場合もあるのです。

したがって、素直に罪を認めるのであれば、呼び出しには誠実に応じなくてはなりません。

(2) 万一、逮捕されたときは弁護士を依頼する

もしも、あなたの対応が悪いと受け取られて、逮捕されてしまったら、早急に弁護士を依頼するべきです。

弁護士は、検察官に働きかけて勾留請求をしないよう求めることもできますし、裁判官と面談して検察官の請求を却下するよう説得することもできます。

また、勾留されてしまった後は、準抗告という不服申立手段で争うこともできますし、勾留機関を延長しないよう申し入れる活動も行うことができます。

(3) 早期に示談を成立させることがもっとも大切

被害者との示談を早く成立させることが最も大切で重要な行為です。

示談が成立すれば、不起訴処分となって刑事罰を受けることはなくなります。起訴されてしまえば、罰金刑であっても「前科」となりますが、不起訴処分ならば、前科とはなりません。

不起訴となれば、仮に会社に事実が発覚してしまっても、懲戒される可能性は限りなく低くなります。

また、早期に示談が成立すれば、その後、逮捕される可能性はありませんから、会社に発覚する可能性もまずないでしょう。

解雇などの不利益処分を避ける上で、極めて有効な手段となります。

3.早期の示談成立に弁護士が果たす役割

盗撮行為の示談をするには、弁護士の力が必要不可欠です。

あなたが示談をしようと考えても、被害者がどこの誰か、警察は教えてくれません。
警察をつうじて被害者とコンタクトをとろうとしても、被害者は連絡先を教えることを拒否することが普通です。

しかし、弁護士が、警察や検察を通じて、盗撮犯人には絶対に教えないことを条件に弁護士にだけ連絡先を教えてほしいと持ちかければ、ほとんどの被害者はこれに応じてくれます。連絡さえつけば、弁護士はただちに示談交渉にとりかかることができます。

交渉さえスタートすれば、盗撮事件は示談が成功する確率の高い事件です。
示談金の相場は、数万円から数十万円まで事案と相手によって幅がありますが、示談することで前科がつかず、会社からの懲戒も避けられるのであれば、高い勉強代と納得できるのではないでしょうか。

4.まとめ

つい魔が差したとはいえ、盗撮行為は犯罪です。十分に反省して下さい。

しかし、心から後悔している方が、解雇されて仕事を失い、これまで積み重ねてきた努力を無にしてしまうことが良いこととは思えません。ご家族のためにも、キャリアは確保しなくてはなりません。

盗撮行為をやってしまったが、大いに反省している、将来を不安に思っているという方は、諦めずに泉総合法律事務所にご相談下さい。刑事事件のエキスパートたちが、必ずあなたのお役に立ちます。

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