カメラを向けた、設置しただけ…盗撮の定義とは?どこからが犯罪か

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カメラを向けた、設置しただけ…盗撮の定義とは?どこからが犯罪か

1.現代社会と盗撮

「警察官が盗撮で懲戒処分」、「公務員を盗撮で略式起訴」、「NHK職員を盗撮で逮捕」……こんなショッキングな見出しのニュースを、最近では皆さんよく目にすると思います。

携帯電話やデジタルカメラなど、電子機器の進化や、シャッター音を着るアプリの開発などにより、「盗撮」といわれる犯罪は大きく増加しています。先ほどのような見出しのニュースをテレビやネットで見かけても、もはや「またか」と思う人も多いのではないでしょうか。

その一方で、現代社会ではインスタグラムやfacebookなどのSNS、youtubeなどの動画投稿サイトの発展により、ネット上に自分で写真や動画をアップロードする人も増えているかと思います。そんな自分の写真や動画が「盗撮」として犯罪者になってしまうことはないのか、心配に思う人もいるのではないでしょうか。

そこで、今回は犯罪となってしまう「盗撮」について、「どのような行為が盗撮に当たるのか」定義のようなものが存在するのか、解説していきたいと思います。

2.盗撮を取り締まる法律

盗撮を取り締まる法律には(1)各都道府県が定める、いわゆる「迷惑防止条例」とよばれるもの、(2)「軽犯罪法」、(3)「児童ポルノ規制法」の3つがあります。

それぞれ大まかな内容を見ていきましょう。

(1) 迷惑防止条例

迷惑防止条例」は、各都道府県により、その名称も規定する内容も異なってきます。よって、盗撮を取り締まる条文の文言も各都道府県において多少異なりますが、大まかには同じような行為を盗撮と定義しています。

ここでは例として東京都の条例(「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」)を見ていきましょう。

東京都の条例では、盗撮について

「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせる」ような方法で、「公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けないでいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。」

と定義されています。

大まかに内容を要約すると、「通常衣服を脱ぐような場所or公共の場」で、「通常衣類で隠されているような下着or身体の一部」を、「実際に撮影するor撮影目的でカメラ(当然携帯電話等も含みます)を差し向けるor撮影目的でカメラを設置する」というのが定義となるでしょう。

駅のエスカレータでスカートを下から撮影することや、銭湯や駅のトイレなどをこっそり撮影することなどがこれにあたるということは当然にわかると思いますが、注意が必要なのは、東京都の場合、撮影するつもりでカメラを差し向けただけであったり、駅のトイレの個室などにカメラを設置したりしただけで、実際に下着や身体が撮影できていないような場合だとしても「盗撮」に該当し、処罰の対象になるということです。

・処罰の内容

  • カメラを差し向けたり設置した場合・・・6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金
  • 上記行為を常習として行っていたと認められる場合・・・1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 実際に撮影した場合・・・1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 上記行為を常習として行った場合・・・2年以下の懲役又は100万円以下の罰金

やはり、「撮影」したか否かによって、そして「常習」なのかどうかによって罪の重さは異なってくるということがわかるかと思います。

(2) 軽犯罪法

軽犯罪法では、

「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」

を処罰すると規定しています。

これを見ると、軽犯罪法は「盗撮」について定義して取り締まっているわけではなく、盗撮を含む「のぞき見」として処罰の対象にしているというのがわかると思います。

迷惑防止条例との違いは、一言でいうと「公共の場所」での盗撮が迷惑防止条例違反、そうでない場所(たとえば住宅の中など)の盗撮は「のぞき見」として軽犯罪法違反に該当するということになります。

ア.処罰の内容

この罰則は、拘留(1日以上30日未満)または科料(1000円以上1万円未満)とされています。

イ.住居侵入罪

ただし、これに付随して住居や建物に侵入しているような場合、こちらの方が罪が重い(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)ので、実務上は刑法の住居侵入罪or建造物侵入罪の方で検挙されることが多いようです。

【参考】軽犯罪法違反の盗撮とは?迷惑行為防止条例違反の盗撮との違い

3.未成年者に対する盗撮

児童ポルノ規制法(「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)は、「ひそかに~児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者」を3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処すと規定しています。

ここでいう「児童」とは18歳に満たない者のことを言いますので、盗撮の被害者が18歳未満であったような場合には、この法律が適用される可能性があります。

4.判例

今まで触れてきたような法律の規制がある一方で、下記に示す判例では、衣服の上から女性を撮影した行為について、有罪として罰金を科していますので、少し詳しく見てみましょう。

加害者は、あるショッピングセンター1階において、午後7時頃、細身のズボンを着用していた当時27歳の被害女性の1~3m後ろを、40m前後つけまわしながら、持っていた携帯電話のカメラで約11回撮影した、という事案です。

この刑事裁判は最終的に最高裁まで争われましたが、結論としては、この撮影行為を「卑わいな言動」として迷惑防止条例違反であると判断、罰金刑を言い渡しました。つまり、今まで説明したような「盗撮」の定義からではなく、別の条文である「卑わいな言動」にあたることから有罪とされたのです。

このような判決を下したことに対する評価は様々ですが、前例としてこのような判断がなされたということは、今後に影響を及ぼすことは間違いなく、注意が必要ということになります。

5.盗撮の定義

以上のように、一言で「盗撮」といっても、適用される法律は多岐にわたり、それぞれ異なる定義をしていることから注意が必要ですが、基本的に下着や裸体など、本来であれば衣服で隠れているような身体の部位を撮影したり、衣服を付けないでいるような場所で撮影したりする(もしくは撮影しようとする)ことがその対象になっていることがわかると思います。

しかし、紹介した判例のように、それ以外の撮影についても他の条文を用いながら処罰にするような裁判例などもあることも事実です。勝手に「これなら大丈夫だろう」など判断せず、逮捕されたら一度弁護士に相談してみることをお勧めします。

【参考】弁護士が語る!盗撮の実態と逮捕される前に知っておきたいこと

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