盗撮 [公開日]2018年3月7日[更新日]2020年10月13日

軽犯罪法違反の盗撮|迷惑行為防止条例違反との違いと示談方法

軽犯罪法違反の盗撮とは?迷惑行為防止条例違反の盗撮との違い・示談

盗撮をしてしまうと、どのような罪に問われるかはご存知ですか?

本来「盗撮罪」という罪名はなく、盗撮を行なった場合、その態様によって、軽犯罪法、迷惑行為防止条例、刑法の住居侵入罪が適用されます。

どれが適用されるかは、盗撮の様態によって異なります。しかし、どちらにせよ、検挙されたまま放っておいたら前科がついてしまいます。

今回は、軽犯罪法違反の盗撮に焦点を当て、その成立要件や刑罰、示談交渉、刑事弁護方法などについて解説します。

1.盗撮の罪の種類

盗撮の罪は、迷惑行為防止条例違反・軽犯罪法違反・住居侵入罪のどれか(もしくは、その全部)に当てはまります。

(1) 迷惑行為防止条例違反

公共の場所や公共の乗物で盗撮行為を行うと、各都道府県制定の「迷惑行為防止条例違反」として処罰されることになります。

例えば、駅のエレベーターや階段、デパートやテナントビル、ショッピングモールといった公衆が出入りする公共の場所、バス・電車といった公衆が利用する公共の乗物内で、被害女性(男性も同様)の承諾を得ずに、スカート内部のように通常衣服で隠されている下着や身体部分を、静止画もしくは動画で撮影する行為がこれに当てはまります。

迷惑防止条例違反の盗撮は、各都道府県によって法定刑が異なりますが、例えば東京、埼玉、千葉、神奈川の場合、50万円以下(常習犯の場合100万円以下)の罰金、あるいは、6月以下(常習犯の場合1年以下)の懲役となります。

※なお、東京都、神奈川、千葉、のように、公共の場所・公共の乗物以外での盗撮も条例で禁止している自治体もあります。例えば、東京都迷惑防止条例は、住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所での盗撮行為も広く処罰対象としています。

(2) 軽犯罪法違反

それでは、東京都等のように公共の場所・公共の乗物以外の場所での盗撮も禁止している自治体以外の地域における、自宅などの公共の場所・公共の乗物ではないところでの盗撮はどうなのでしょうか。

そのような場所での盗撮に対しては、「のぞき見」行為を禁止している「軽犯罪法」(軽犯罪法1条23号違反)に違反する行為として処罰される可能性があります。

のぞき見 軽犯罪法1条23号
第一条  左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三  正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

[参考記事]

のぞきは何罪?刑罰は?窃視症という病気の可能性

例えば、住居の開いている窓から内部にいる女性をスマートフォンで撮影する行為は、不特定多数の方が出入りする場所ではないため、東京都等以外の迷惑行為防止条例には違反せず、軽犯罪法違反の「のぞき見」行為として処罰される場合が多いです。

迷惑行為防止条例違反の盗撮が懲役刑ないし罰金刑であることと比べると、軽犯罪法違反の「のぞき見」行為の刑罰は軽いといえますが、拘留または科料も科されたら前科となります。

処罰されれば同じく前科となる以上、その犯罪として持つ重みは、迷惑行為防止条例違反の盗撮と変わらないと受け止めるべきです。

(3) 法定刑の比較

両罪は、盗撮を行った場所だけでなく法定刑も異なります。

罪名刑罰
迷惑行為防止条例違反(例:東京都)6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
1年以下の懲役または100万円以下の罰金(常習犯)
軽犯罪法違反拘留(1日以上~30日未満の身柄拘束)又は科料(1000円以上~1万円未満)

もっとも、人の住居などにおける盗撮行為は、「のぞき見」行為だけでなく、人の住居やその敷地に侵入する行為も伴うことが通常であり、その場合は、軽犯罪法違反だけでなく、刑法の住居侵入罪(刑法130条)も成立します。

住居侵入罪は3年以下の懲役または10万円以下の罰金ですから、迷惑行為防止条例違反よりも重い刑罰です。

同じく盗撮行為といえども、公共の場所・公共の乗物という開かれた場所における行為と、住居という居住者の平穏とプライバシー保護が強く要請される場所における行為とを比較すれば、後者の方が、より当罰性が高いとも言えます。

したがって、盗撮場所が住居などで、住居侵入罪も成立する場合には、起訴される可能性が高くなります。

[参考記事]

住居侵入罪は身近な犯罪?住居内部に侵入しなくても逮捕されるのか

2.盗撮で逮捕されたらどうなる?

盗撮で逮捕されると、犯行様態が悪質だった場合(ストーカー的盗撮・後述の物色的盗撮だった、常習性がある、住居侵入をしていたなどの場合)、そのまま勾留(長期の身柄拘束)されてしまう可能性があります。

逮捕後すぐに釈放されれば、その後はひとまず今まで通りの日常を過ごすことができるようになります。しかし、勾留されてしまった場合、会社を長期欠勤することになり、解雇の危険が高まってしまいます。

勾留から解放(釈放)される・不起訴になり前科を免れるためには、被害者との示談交渉で示談を成立させることが重要です。

3.盗撮における示談交渉の重要性

痴漢・盗撮など、被害者がいる事件の場合、被害者と示談をすることで、不起訴や罪を軽くしたり、勾留されている場合は釈放されたりする可能性が非常に高くなります。

示談が成立すれば不起訴になる可能性も高まり、不起訴になれば前科もつきません。

つまり、盗撮においては、示談が成立するか否かが、今後の人生の分かれ目となります。

(1) 軽犯罪法違反の盗撮の示談交渉

軽犯罪法違反の盗撮行為の弁護を依頼されたら、弁護士は、警察官又は検察官に被害者の連絡先を聞き、その後被害者と直接示談交渉を行うことになります。

先ほど例として挙げた、盗撮行為が軽犯罪法違反の「のぞき見」行為に該当する場合、例えば住居の開いている窓から盗撮するわけですから、この場合には、被疑者は盗撮した被害者の住居を知っていることになります。

実は、公共の場所での盗撮行為と異なって、この「被害者の住所を知っている」という点が、示談交渉する上で大きな問題となります。

被害者の住居などでの盗撮では、被害者からすれば、今後、さらに被害に遭うのではないかという強い恐怖心があります。

このため、弁護士との示談交渉において、引越費用の支払を求めるケースが珍しくありません。

被害者の住居が賃貸物件であれば、引越費用も比較的低額で済みますし、引っ越し先の選定も容易ですから、被疑者側に支払能力がある限り、示談交渉は特に困難なわけではありません。

しかし、被害者の住居が本人やその家族の所有物件であった場合、引越は容易ではありませんし、引越費用は不動産の買換え費用となりますから、これを要求されても、ほとんどの場合、被疑者側が支払える金額ではありません。

このため、被害者側の要求を呑むことはできず、示談交渉が難航する場合があります。

弁護士としては、①今後、被害者の住居近くに近寄らないことを被疑者に誓約させたうえ、被疑者の家族なども被疑者が約束を守るよう監督することを誓約する、②被疑者の住居と被害者の住居が近い場合は、被疑者の方が引越しをするなどの現実的に実行可能な範囲の代替案を示して、被害者を説得することになります。

なお、被害者の住居が賃貸物件で、被害者が引越をした場合、家賃収入を失ったとして、賃貸物件のオーナー側が被疑者に対して損害賠償を請求するケースがあります。

純然たる民事上の問題に過ぎませんが、オーナーは盗撮行為の間接的な被害者とも言えますので、被疑者の資力が許すなら、こちらも示談を成立させ、すべての被害に対する補償を済ませたことを検察官に報告することが不起訴の可能性を高めることになるでしょう。

(2) 盗撮の経緯も示談の成否に影響

住宅での盗撮の場合には、どのような理由で被疑者がその住宅内部の女性を盗撮対象に選んだかが示談の成否に影響することもあります。

被疑者のいつもの帰り道の途中にある住宅であれば、たまたま窓が開いていて魔が差した、ということもあるでしょう。

しかし、いつもは歩かない場所、行かない場所に住宅があるとなれば、例え被疑者がたまたま歩いていて魔が差してしまった場合でも、被害者、警察官、検察官はそうは考えないものです。

そのような場合には、

  • 被害者につきまといストーカー的に追いかけて自宅を突き止め盗撮に至った(ストーカー的盗撮)
  • あちこち盗撮できる場所、窓が開いている住居を捜し歩いていた(物色的盗撮)

と考えるものです(実際はそうではなくても、被害者は悪い方向へ考えがちですし、警察・検察はそのような可能性を排除せずに被疑者を追及することが仕事です。)。

①ストーカー的盗撮

ストーカー的盗撮の場合には、被害者の恐怖心、被害感情が強く、示談交渉は難航し、示談自体を拒否されてしまうことも少なくありません。

被害者にとっては、示談金の多寡の問題ではなく、命の危険まで感じることが当然だからです。

弁護士としては、ストーカー行為の再発を防止するには、何よりもカウンセリングなど被疑者の治療が必要であり、被疑者本人だけでなく、被疑者の家族など周囲の人々が被疑者の治療に協力する態勢を作ること、弁護士としても、今後、長く被疑者に関わって、その更生を支援する覚悟であることなどを伝えて、被害者の恐怖心を少しでも和らげる努力をすることになります。

[参考記事]

盗撮の再犯率・常習化率は高い!盗撮の心理、カウンセリングについて

②物色的盗撮

物色的盗撮の場合には、被害者がターゲットとなったのは偶然ですから、ストーカー的盗撮に比べれば、被害者の恐怖心や被害感情は大きくなく、示談に応じてくれやすいと言えます。

しかし、逆に警察、検察から見れば、盗撮行為に常習性が疑われることになりますから、示談を成立させても、起訴されてしまう可能性はあると言えます。

[参考記事]

盗撮の逮捕後の流れと弁護士に示談交渉を依頼するメリットとは?

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