迷惑防止条例違反の盗撮事件における示談方法と示談金の相場
盗撮で逮捕・検挙されてしまった場合、そのまま放置していると罰金刑になり、前科がついてしまう可能性が高いです。
前科がつくと、その後の人生に大きな影響を与えるリスクがあります。盗撮で逮捕されたら、仮にすぐに釈放されたとしても、前科を回避するための弁護活動を弁護士に依頼する必要があります。
盗撮事件だけでなく、痴漢や強制わいせつ事件のように特定の被害者がいる犯罪においては、被害者側との間で問題が解決しているかどうか、つまり示談が成立しているかどうかが刑事処罰に大きな影響を与えます。
今回は、盗撮事件に焦点を当て、被害者との示談について解説していきます。
1.盗撮の示談金・慰謝料の相場
盗撮事件では、被害者との示談の成否が事件の処分内容に関して大きな影響を持ちます。
つまり、被害者と示談することによって、盗撮事件の刑事処罰が軽くなる可能性が高いということです。
示談のためには、被疑者は被害者に対し精神的苦痛を与えたことによる慰謝料等の示談金を支払わなければなりません。
盗撮の示談金額の相場は一概には言えません。示談交渉において、あくまで「被害者が納得した金額」を支払うことになります。
これまでの泉総合法律事務所の弁護士の経験では、盗撮事件は20万円~50万円で示談がまとまるケースが多いと感じています。
もちろん、被害者の被害感情が強かったり、犯行態様が悪質(盗撮した画像をネットで拡散したなど)であったり、被害に遭ったことによって支出(引っ越しを余儀なくされるなど)したりといった事情があれば、慰謝料の金額も高額になる傾向にあります。
【被害者が未成年の場合】
被害者が高校生などの未成年の場合、弁護士は親権者である両親と示談交渉をすることになります。
両親としては「娘を盗撮するなんて」と怒りが激しいのが通常ですので、弁護士が懇切丁寧に粘り強く示談をお願いしても、応じていただけないことが少なからずあります。両親に示談に応じていただける場合でも、成年の被害女性の盗撮の示談よりも示談金額が高額になる傾向があります。
【参考】被害者が未成年の場合でも、示談交渉はできますか?(よくある質問)
2.示談交渉の流れ
では、盗撮の示談交渉はどのような流れで進むのでしょうか。
(1) 弁護士に示談交渉を依頼する
「被害者と示談をするならば、直接謝罪をした方が誠意が伝わるのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。
盗撮事件の加害者は、基本的に被害者と面識がありません。示談交渉を行うためには、捜査機関を通じ相手の連絡先を確認する必要があります。
しかし、被害者の連絡先が加害者本人に開示されることは、被害者保護の観点から行われません。
ということは、加害者本人は被疑者と示談交渉ができないということになります。
被害者の連絡先は、加害者が刑事弁護を依頼した弁護士限りで(被害者が同意を示した場合のみ)開示されることが通常です。
したがって、盗撮事件において被害者と示談交渉を行うためには、弁護士に刑事弁護を依頼することが不可欠です。
捜査機関(警察、検察)を通じて被害者の連絡先を得た弁護士は、被害者に連絡して示談交渉を行うことになります。
弁護士は、示談金額やその他の和解の条件について被害者と話し合い、適宜被疑者に報告を行いながら示談交渉を成立させます。
(2) 示談書を作成して検察官に提出
弁護士が被害者との示談をまとめる際には「示談書」を作成します。
示談書には、まず、被害者への損害賠償を既に行ったということを示談書で証明し、これで支払は終了したという条項を盛り込みます。これを「清算条項」といいます。
これを記載することによって処分について有利な事情になるだけでなく、被害者から示談後に追加の損害賠償請求をされることが防げます。
また、示談書に「宥恕文言」を記載してもらうことができれば、被害者に盗撮事件について許してもらい、被疑者の刑事処罰を望まないとの意思表示を含む内容の合意が成立したことが示されます。
宥恕(ゆうじょ)とは「許す」の意味で、「宥恕文言」は「寛大な処分を求めます」「処罰は望みません」などの記載です。
このような示談書を検察官に提出すれば、検察官はこれを被疑者に有利な事情として考慮します。
もっとも、前科・前歴の有無や盗撮の態様なども、検察官の処分・裁判所の判決に影響を与えますので、一概に「示談すれば必ず不起訴になる」とは言えません。
しかし、迷惑防止条例違反の盗撮のケースで、被疑者に前科・前歴などがなければ、盗撮の被害者と示談ができた場合、通常は不起訴処分となります。
不起訴処分となれば、罰金・前科はつきません。
3.盗撮の示談金・相場に関するよくある質問
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盗撮の示談金・慰謝料はいくら?
盗撮事件は20万円~50万円で示談がまとまるケースが多いです。
比較的軽微な犯行の態様ならば、示談金は20万円〜30万円程度で済むかもしれません。
しかし、被害者の被害感情が大きかったり、被害者が未成年であったり、同一女性を繰り返し盗撮した・盗撮画像を拡散したなどの悪質なケースでは、示談金が高額になる傾向があります。
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盗撮で示談しないとどうなる?
仮に示談ができなかった場合には、初犯であっても罰金刑になるのが通常です。
罰金刑の場合には「略式起訴」といって、正式裁判は開かれず、罰金を納付するだけで事件が終了となります。
しかし、罰金刑であっても前科はつきます。罰金だからといって甘く考えないことが大切です。
4.盗撮で慰謝料請求されたら弁護士へ相談を
ここまでお話してきたことは、盗撮事件の示談・慰謝料についての一般論です。個々のケースでは、それぞれのケースに合わせた適切な対応が必要になってきます。
泉総合法律事務所では、どの弁護士も、不起訴・より軽い刑事処分に向けて全力で取り組んでおり、盗撮事件を示談成立・不起訴とした実績が多くあります。
示談交渉でお悩みの方、盗撮事件で逮捕されてしまったという方、又はその家族の方々は、示談経験、刑事弁護経験豊富な泉総合法律事務所へご相談・ご依頼ください。
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