盗撮 [公開日]2018年3月8日[更新日]2020年8月7日

迷惑防止条例違反の盗撮事件における示談方法と示談金の相場

迷惑防止条例違反の盗撮事件における示談方法と示談金の相場

「つい魔が差して盗撮行為をしてしまった。警察に見つかって取り調べを受けたが、その後どうなるの?」

盗撮や痴漢で逮捕・検挙されてしまった場合、そのまま放っておくと罰金刑になり、前科がついたりしてしまいます。

前科がつくと、その後の人生に大きな影響を与えるリスクがあります。盗撮・痴漢で逮捕されてしまった場合、すぐに釈放されたとしても、前科がつくのを回避するための弁護活動を受ける必要があります。

痴漢・盗撮事件や、強制わいせつ事件のように、特定の被害者がいる犯罪においては、被害者側との間で問題が解決しているか、つまり示談が成立しているか否かが刑事処罰に大きな影響を与えます。

そこで、今回は盗撮事件に焦点を当て、被害者との示談について解説していきます。

1.盗撮事件と示談について

(1) 盗撮とは

盗撮とは、他人を密かに撮影する行為です。多くの都道府県迷惑防止条例では、公共の場所や公共の乗物(具体的には電車内、駅構内、商業施設内などの建物内、路上など)での撮影行為が禁止されています。

また、東京都のように、公共の場所・公共の乗物でなくとも、住居、便所、浴場、更衣室なども禁止場所となっている自治体もあります。

相手のスカートの中をひそかに撮影することが典型的ですが、カメラなど撮影機器を差し向けたり、室内に設置したりする行為も禁止対象とする自治体もあります。

次の表は、各地方の迷惑防止条例と、そこで禁止される「撮影行為」を犯した場合の罰則をまとめたものです。これ以外に、撮影機器を差し向けたり、室内に設置したりする行為については、異なる罰則が定められている場合があります。

都道府県名条例名刑罰
通常常習
東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例1年以下の懲役または100万円以下の罰金2年以下の懲役または100万円以下の罰金
神奈川県神奈川県迷惑行為防止条例1年以下の懲役または100万円以下の罰金2年以下の懲役または100万円以下の罰金
千葉県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例1年以下の懲役または100万円以下の罰金2年以下の懲役または100万円以下の罰金
埼玉県埼玉県迷惑行為防止条例6月以下の懲役または50万円以下の罰金1年以下の懲役または100万円以下の罰金

ちなみに、人の住居、浴場、更衣場、便所などでのぞきをする行為には、軽犯罪法違反(1日以上30日未満の拘留または1,000円以上10,000円未満の科料)が適用されます。

[参考記事]

のぞきは何罪?刑罰は?窃視症という病気の可能性

(2) 示談交渉の重要性

盗撮事件は、痴漢や強制わいせつ罪などと同じく個人の被害者がいる犯罪ですから、被害者との示談の成否が、検察官が決める事件の処分・裁判所が出す判決の内容に関して非常に重要な意味を持ちます。

つまり、被害者と示談することによって、盗撮事件の刑事処罰が軽くなる可能性が高いということです。

そのため、被害者の間で示談が成立しているかどうかは非常に重要です。

[参考記事]

刑事事件における示談総説。示談の意義、タイミング、費用など解説!

2.示談交渉の流れ

(1) 弁護士に依頼する

「被害者と示談をするならば、直接謝罪をした方が誠意が伝わるのでは?」
そう思う方もいらっしゃるでしょう。

盗撮事件の加害者は、基本的に被害者と面識がありませんので、示談交渉を行うためには、捜査機関を通じ相手の連絡先を早期に確認する必要があります。

しかし、被害者の連絡先が加害者本人に開示されることは、被害者保護の観点から行われません。

ということは、加害者本人は被疑者と示談交渉ができないということになります。

被害者の連絡先は、加害者が刑事弁護を依頼した弁護士限りで開示されることが通常です。

したがって、盗撮事件において被害者と示談交渉を行うためには、弁護士に刑事弁護を依頼することが不可欠です(当事者間の示談交渉は新たなトラブルの種となることもその理由です)。

(2) 弁護士が示談交渉を行う

弁護士は、検察官を通じて、被害者の了解のもとに被害者の連絡先を知ることができます。

その後、弁護士は被害者に連絡して示談交渉を行うことになります。(盗撮の場合、被害者が20歳以上の成人であれば、ほとんどの場合示談していただける傾向にあります。)

(3) 示談書を作成して検察官に提出

弁護士が被害者との示談をまとめる際には、「示談書」を作成します。

示談書には、刑事事件の処分を決める検察官や裁判官に対して、被害者に盗撮事件について許してもらい、被疑者の刑事処罰を望まないとの意思表示を含む内容の合意が成立したことを示す意味があります。
また、民事上の損害賠償金を支払い、既にその支払義務が消滅したということも表します。

すなわち、先にも述べたように、盗撮事件を起こした加害者は、被害者に対して精神的苦痛に対する慰謝料等の損害賠償義務を負っています。
この損害賠償を既に行ったということを示談書で証明し、これで支払は終了した、という条項を示談書の中に盛り込みます。

これを「清算条項」といいますが、これを記載することによって、被害者から示談後、さらに損害賠償請求をされることが防げるのです。

罪名が「迷惑防止条例違反」の盗撮のケースで、被疑者に前科・前歴などが特になければ、弁護士が盗撮の被害者と示談ができた場合、検察官の処分段階において、通常は不起訴処分となります。
不起訴処分となれば、罰金・前科はつきません。

もっとも、前科・前歴の有無や、盗撮の態様(迷惑防止条例違反か、軽犯罪法違反か、ストーカー的盗撮か、常習性があるか)なども、検察官の処分や裁判所の判決に影響を与えますので、一概に「示談すれば必ず不起訴になる」とは言えません。

3.被害者に示談を拒否された場合

では、被害者に連絡先の開示をしてもらえないことはあるのでしょうか。

性犯罪の場合、強制性交等罪(旧強姦罪)や強制わいせつ罪の場合は、このようなケースは多数あります。しかし、盗撮や通常の痴漢(迷惑行為防止条例違反)の場合には多くの場合、弁護士への開示に応じてもらえます。

示談ができなかった場合には、初犯であっても罰金刑になるのが通常です。罰金刑の場合には「略式起訴」といって、正式裁判は開かれず、罰金を納付するだけで事件が終了となります。

[参考記事]

略式起訴・略式裁判(略式請求)と不起訴処分で必ず知っておくべきこと

なお、罰金刑であっても前科はつきます。前科自体は他人が知ることはできませんが、前科があることで、次に刑事事件を起こせば逮捕されるなど手続上の不利益を受ける可能性が高くなります。

また、何らかの形で前科が会社に発覚すれば、就業規則に従って厳しい懲戒処分を受ける可能性があります。

罰金だからといって甘く考えないことが大切です。

示談をするにも示談金が必要になりますが、同じお金を払うのであれば、罰金刑で前科がついてお金を払うより、被害者にしっかりと反省の意を示し、謝罪文とともに示談金を支払って、不起訴処分を獲得するほうがメリットは大きいといえます。

【参考】罰金でも前科です!

【示談に代わる贖罪寄付】
贖罪寄付とは、被疑者が一定の団体や機関に対し、罪を償う気持ちを表すためにお金を納める行為のことをいいます。被害者のいない薬物事件などで多く行われている他、痴漢・盗撮事件で被害者が示談金を受け取ってくれない時の被害弁償の代替手段として利用されます。
贖罪寄付を行っても、被害者への被害弁償とは性質が異なることから、刑事処分に与える影響は示談金ほどではありません。
それでも、一般的には、検察官は贖罪寄付があるときには罰金の求刑を軽めにしてくれる傾向があるため、贖罪寄付自体が全く無駄になるわけではありません。
実際、泉総合法律事務所では、贖罪寄付を行ったことで処分決定時に考慮してもらい、不起訴処分となった例があります。
【参考】贖罪寄付・供託により本当に情状が考慮されるのか?

4.示談金・慰謝料の相場

では、示談で支払うべき示談金は実際にいくらになるのでしょうか。

刑事事件における示談では「被害者に許してもらう」ということが大事になってきますが、弁護士が被疑者に代わって単に謝罪をすれば許してもらえるわけではありません。

被疑者は、被害者に対して精神的苦痛を与えてしまっていますので、当然、被害者に対し、損害賠償として精神的苦痛を与えたことによる慰謝料等を支払わなければなりません。

また、示談には、被疑者を許し刑事処罰を望まないとの文言(宥恕(ゆうじょ)文言)を織り込んでもらうことで、不起訴処分にしてもらう意味がありますので、加害者が被害者側の宥恕文言を引き出したいなら、通常の慰謝料相場を超えて被害者が納得する金額を支払う必要があります。

(1) 盗撮事件の示談金の相場

示談金額は、一概には言えませんが、正確な金額はいくらかと聞かれれば「被害者に許していただいた金額」「被害者が納得した金額」という言い方になります。

これまでの泉総合法律事務所の弁護士の経験では、盗撮事件は20万円~40万円で示談がまとまるケースが多いと感じています。

もちろん、被害者の被害感情が強かったり、犯行態様が悪質であったり、被害に遭ったことによって支出(引っ越しを余儀なくされるなど)したりといった事情があれば、慰謝料の金額も高額になる傾向にあります。

(2) 被害者が未成年の場合

盗撮事件では、被害者が高校生などの未成年の場合、弁護士は親権者である両親と示談交渉をすることになります。

両親としては「娘を盗撮するなんてけしからん」と怒りが激しいのが通常ですので、弁護士が懇切丁寧に示談を粘り強くお願いしても、示談に応じていただけないことが少なからずあります。

両親が示談に応じていただける場合でも、成年の被害女性の盗撮の示談よりも、示談金額が高くなる傾向があります。

【参考】被害者が未成年の場合でも、示談交渉はできますか?(よくある質問)

5.示談交渉なら泉総合法律事務所へ

ここまでお話してきたことは、盗撮事件の示談と慰謝料についての一般論です。個々のケースでは、それぞれのケースに合わせた適切な対応が必要になってきます。

泉総合法律事務所では、どの弁護士も、不起訴・より軽い刑事処分に向けて全力で取り組んでおり、示談や不起訴とした実績が多くあります。

示談交渉でお悩みの方、盗撮事件で逮捕されてしまったという方や、又はその家族の方々は、示談経験、刑事弁護経験豊富な泉総合法律事務所へご相談、ご依頼ください。

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