盗撮 [公開日]2020年2月28日

盗撮で現行犯以外の逮捕はありえるのか?

盗撮の容疑で現行犯逮捕!といった報道をたまに目にするかと思います。
しかし、盗撮で逮捕されるのは現行犯の場合のみなのでしょうか?盗撮の現場から逃げてしまった場合、現行犯以外(後日)で逮捕されることはあるのでしょうか?

ここでは、盗撮と逮捕、逮捕後の流れについて説明します。

1.盗撮とは

盗撮をした場合に適用される法律は、主に、迷惑防止条例・軽犯罪法・住居侵入罪(刑法)です。

(1) 迷惑防止条例

迷惑防止条例は各都道府県が定めています。文言は微妙に違えど、禁止している行為は実質的に同じです。

例えば、東京都迷惑防止条例では以下のように定めています。

第5条第1項柱書
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。

第1項2号
次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

迷惑防止条例違反となる行為は、例えば電車・バス・エスカレーター等でスカート内部を撮影する行為や、トイレや更衣室に盗撮カメラを設置する行為等です。

迷惑防止条例違反に対する罰則は次のとおりです(第8条)。

  • 撮影したとき……1年以下の懲役又は100万以下の罰金(常習犯は、2年以下の懲役100万以下の罰金)
  • 撮影機器を差し向けたとき、設置したとき……6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(常習犯は、1年以下の懲役又は100万以下の罰金)

(2) 軽犯罪法

軽犯罪法1条23号は「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を処罰しています。盗撮行為をしたか否かに関わらず、これらの場所をのぞき見た時点で軽犯罪法違反が成立します。

軽犯罪法違反の罰則は拘留(1日以上30日未満の身体拘束)又は科料(1000円以上1万円未満の罰金)です。

(3) 住居侵入罪

盗撮する際に、人の住居や建造物に侵入すると住居侵入罪が成立します(刑法130条)。罰則は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。

2.盗撮で逮捕される場合

盗撮事件では、被疑者は現行犯で逮捕されることが多いです。例えば、電車やエスカレーターにおいて、前にいる女性のスカート内部を撮影していたところ、被害者や目撃者に取り押さえられた場合です。

もっとも、盗撮をした場合に逮捕されるのは現行犯に限られません。すなわち、盗撮を行った者が後日になって逮捕される事はあります。

(1) 通常逮捕とは

通常逮捕とは、裁判官に令状を請求して行う逮捕です。現行犯逮捕は、犯罪を行っている、あるいは犯罪が終わってから間もない時にしか行えません。そのため、盗撮行為から時間が経った場合に行われる逮捕は、基本的に通常逮捕となります。

通常逮捕では、警察官が裁判官に令状を請求します。そして、裁判官は犯罪を犯した疑いがあるか、逮捕の必要性があるか等を踏まえ、令状を発布します。

令状を持った警察官は、被疑者の元へ行き、令状を提示し、被疑事実の要旨を述べ、被疑者を逮捕することになります。

(2) 盗撮で通常逮捕される場合

後日、盗撮の事実が発覚した場合が挙げられます。例えば、盗撮行為が街中や駅の防犯カメラに映っていた場合や、公衆トイレなどに設置したカメラが発見され、カメラの所有者であることがばれた場合です。

その他に、盗撮が現場で発覚しその場では解放されたが、後に逮捕される場合もあります。例えば、後日の警察からの呼び出しに応じない場合や、余罪があることが発覚した場合です。

これらの事情があると、被疑者に逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れがあるとされ、通常逮捕が行われることがあります。

【盗撮の逮捕は現行犯以外難しいといわれる理由】
盗撮事件において、後日に通常逮捕されることはないというのは誤りです。もっとも、実際に盗撮で通常逮捕されることは少ないです。それは以下の理由によります。
①そもそも、盗み撮るという性質上、被害者に気づかれず犯行が発覚しない
②犯行が発覚するのは盗撮行為時が多いため、その場で被疑者を現行犯逮捕することが多い
③その場で身柄と映像を押さえないと、証拠を集めることが困難(痴漢やスリと同様です)
④後日、犯行が発覚しても、防犯カメラの映像などの限られた証拠しか存在せず、犯人を特定できない。また、防犯カメラの映像があっても、堂々と盗撮する人はいないため、そこから犯人が特定できるとも限らない

3.盗撮で通常逮捕されるのを回避するには

先述したように、盗撮で逮捕されるのは現行犯に限られません。そのため、警察が家に来ていきなり逮捕されるといった事になりかねません。盗撮で後日に逮捕されるのを防ぐことは出来いのでしょうか?

(1) 示談の重要性

盗撮で逮捕されるのを回避するには、被害者と示談を成立させることが重要です。

示談が成立していることは、被害者から犯罪事実について許しを得たことを意味し、被疑者を逮捕する必要が低くなるためです。

また、仮に逮捕されたとしても、後に行われる可能性のある勾留を回避できたり、不起訴処分を獲得できたりする可能性が高まります。

もっとも、盗撮が発覚せずに逃走した場合、被害者の情報を全く把握していないのが通常です。その場では盗撮が発覚しなかったが、後に逮捕されることが不安な方も早めにご相談ください。

(2) 示談交渉は自らすべきでない理由

示談交渉は弁護士に依頼することをお勧めします。それは以下の理由によります。

  1. 盗撮の被害者は加害者に連絡先を教えるのを拒絶する可能性が高い(警察官も教えてくれません)
  2. 加害者と被害者が直接交渉をすると中々まとまらず、トラブルが拡大するおそれもある
  3. 示談金には相場があるが、法律に詳しくない一般人同士では適切な額の示談金で示談ができない
  4. 一般人では示談書の作成が難しい

弁護士に示談を依頼すると、警察・検察を通して被害者の連絡先を教えてもらうことが可能です。また、弁護士は示談の方法を熟知しているため、適切な方法、適切な示談金での示談を成立させてくれます。

4.盗撮で逮捕されそうなら弁護士へ相談を

盗撮で逮捕されるのは、現行犯が多いことは事実です。しかし、現行犯以外で逮捕される場合もあります。
そのため、現行犯逮捕されなかったから安心だ!と思っていると、後に逮捕され、困ったことになるかもしれません。

盗撮の容疑で逮捕されるかも?と不安の方は、お早めに、盗撮案件を多数扱っている泉総合法律事務所にご相談ください。

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