盗撮の再犯率・常習化率は高い!盗撮の心理、カウンセリングについて

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盗撮の再犯率・常習化率1

1.盗撮犯の心理。エリートでも再犯を繰り返してしまうのはなぜ?

最近のニュースでは、教師や警察官、省庁の官僚など、一般的には規範意識の高いとされる職種の人々が性犯罪で逮捕・書類送検されるのをよく見かけます。特に、痴漢や盗撮はメディアでよく取り上げられています。

実は、盗撮は再犯率が高く、常習犯や余罪が多く存在します。また、地位の高いエリートと呼ばれる職種や真面目な人でも盗撮行為を行ってしまうケースがあります。
エリートだけでなく、ストレス負荷の高い職業についている場合は、ストレスと性的欲求が結びつき、盗撮行動に走ってしまう可能性もあるのです。

今回は、繰り返す盗撮行為に焦点を当て「なぜ盗撮は再犯率が高いのか」「どうすれば改善できるのか」について詳しく解説したいと思います。

2.盗撮の再犯率・常習化率は極めて高い

本当に、盗撮の再犯率は高いといえるのでしょうか。警察庁による統計をみてみましょう。

まず、平成27年度の犯罪白書の統計によると、盗撮の再犯率は約36.4%となります。
もっとも、これは、刑法犯・条例違反・その他の再犯を含んでいます。その他の犯罪では、性犯罪以外の犯罪を以前に行った場合を含むため「純粋に性犯罪を繰り返した」という意味で捉えると26.6%の再犯率となります。

同様の性犯罪として、痴漢についても36.7%となり(刑法犯・条例違反を含む)他の性犯罪と比べると突出して痴漢・盗撮の再犯率が高くなっています。

また、再犯のほとんどは、痴漢・盗撮含めて条例違反が最多であり、何度も繰り返しているケースが想定されます。つまり、常習犯が多く、余罪も多い可能性が高いということです。

このように、客観的指標からも盗撮の再犯率が高いということがわかります。同様の犯罪として痴漢の再犯率が高いのは、両者に関連があるということかもしれません。

3.盗撮をする人に傾向はある?

盗撮をする人には傾向があるのでしょうか。また、どんな心理的要因があるのかについてみていきましょう。

3-1.エリートが盗撮に走りやすいのは重度のストレスが原因?

盗撮犯にはどのような傾向があるのでしょうか。

盗撮犯に特定の人物像があるわけではありません。一見、普通の人でも盗撮行為に走ってしまう可能性はあります。
しかし、盗撮にスリルを求めてしまう人は、一般的にエリートと呼ばれる層に多いと言われています。具体的には、医者や弁護士などの地位の高い職種についている人たちです。
社会的なステータスが高い職種は、独立心や上昇志向が高く、スリルを楽しむ傾向にあります。これが性欲と結びつき、盗撮に走ってしまった場合、ゲーム感覚で犯罪を犯してしまう可能性があるのです。

では、高い地位を得ながら、盗撮をやめることができないのはなぜなのでしょうか。

医師や弁護士などは、犯罪を犯すと懲戒処分の可能性もあります。失う代償は大きいにもかかわらず、「なぜ盗撮をやめることができないのか」と疑問に思う方もいらっしゃると思います。

実は、優秀で仕事が出来る人ほど多くのストレスを抱えています。そして、そのストレスをうまく発散できない人が、知らないうちに内に溜め込んでしまい、盗撮などの犯罪に走ってしまうケースがあるのです。また、多くの人は、自分の性的趣向や欲求に気づいておらず、ストレスが性的欲求に結びついてしまうケースがあります。

最後に注意しておきますが「エリートだから盗撮をする」という極端なことはありません。
メディアでエリートが痴漢や盗撮などの性犯罪を犯したことを大々的に報道するのは、高い倫理性が求められるからであり、突出してエリートに多いというわけではないのです。実際、公務員の犯罪率は少なくなっています。あくまで、エリートが犯罪に走ってしまうのには、いくつかの理由があると考えてください。

このように、一般的に規範意識の高いエリートと呼ばれる層にも盗撮に走ってしまうケースがあります。職種に限らず強いストレスは、盗撮行為に走ってしまう要因となりえます。

3-2.「女性に対する認知の歪み」も要因の1つ

では、これ以外にも盗撮行為をしてしまう原因はあるのでしょうか。

盗撮行為を行う人には、女性に対する認知の歪みがある可能性があります。「盗撮されて女性は喜んでいる」「嫌な気はしないはず」など勝手に女性側の気持ちを歪めて解釈しているケースがあります。
強姦や痴漢についても、「露出の高い服を着ているから女性が悪い」という考えを持っている方は、女性に対する認知が歪んでいる可能性があるのです。

「露出の高い服装=貞操観念が低い」という意識が根底にあり、これが男性を誘っているという認識につながっています。実際は、服装で貞操観念を判断するのは行き過ぎであり、女性には個人のおしゃれを楽しむ権利があります。
また、強姦などの重大な性犯罪の被害者は、ズボンを履いていたケースや控えめな印象が強い女性が多いため、高い露出があるから被害に遭うという結論はありません。

このように、女性に対する認知の歪みから盗撮行為に対し心理的ハードルが下がってしまっている可能性もあります。

4.何故再犯を繰り返してしまうのか?

盗撮の再犯率・常習化率2

では、なぜ再犯を繰り返してしまうのでしょうか。盗撮を繰り返す心理に迫ってみましょう。

4-1.「バレない」という成功経験から繰り返してしまう

盗撮行為を繰り返す理由として、まず挙げられるのが「繰り返しによる規範意識の低下」です。

性犯罪は、一度行って捕まるという種類の犯罪ではありません。何度も行なううちにバレてしまうケースが多い犯罪です。盗撮行為を何度も繰り返し成功体験を重ねることで、「見つからない」という安易な考えに至ります。

つまり、バレないから繰り返すのです。そして、繰り返すたびに規範意識も低下していきます。仮に、見つかり逮捕されるなどして、しばらく反省していたとしても、「方法が悪かっただけかもしれない」、「次は大丈夫」と考え、再犯を繰り返す傾向にあります。
これはアルコール依存症で「ちょっとくらいなら飲んでも大丈夫」と考えたり、ギャンブル依存症で「次は負けないはず」と考えたりするのと同じような心理構造です。

このように、「バレない」という気持ちが、「盗撮をしても大丈夫」という認識にすり変わっていきます。盗撮行為を行うたびに成功体験を得ることで規範意識が下がってしまうのです。

4-2.犯罪後の「反省がしづらい」盗撮行為

規範意識の低下以外にも、「反省しにくい」犯罪であるという点も見逃せません。

犯罪を犯してしまった場合、とくに重大犯罪の場合は「なぜこんなことをしてしまったのか」と自分を責めるケースがよくあります。しかし、盗撮行為では、このような意識は起こりにくくなっているのです。

というのも、盗撮行為には、成果物があるためです。盗撮で撮れた動画や画像などを見て、「うまくいった」「次はこうしよう」という成功意識が残ってしまいます。そのため、反省の気持ちよりも成功体験の方が上回ってしまうのです。

また、バレない限り被害者も気づかないので、反省の気持ちは湧いてきづらいのです。仮にバレたとしても、常習の場合は成功体験を何度も重ねているため、単に「失敗した」という気持ちしかなく、相手に対する謝罪の気持ちは起こりにくくなっています。
もちろん、逮捕されたことにより真摯に反省し更生するケースもありますが、再犯率が高いことから考えると、それほど誘引性が高い犯罪といえるでしょう。

このように、成果物を得ることができるため、反省の気持ちが湧きにくい犯罪という点も再犯の要因の1つとして挙げられます。

4-3.性犯罪を繰り返してしまうのは、性依存症の可能性も有り

「やめよう」と自分でストップをかけているのにもかかわらず、繰り返してしまう場合は性依存症(性嗜好障害)という病気の可能性があります。この場合は、治療が必要になってきます。

性依存症(性嗜好障害)とは精神疾患の1つであり、強迫的な性衝動を抑えることができず、精神的・身体的に平常を保つことができない状態のことを指します。アルコール依存症・ギャンブル依存症などを同様の精神疾患であり、強い性衝動を抑えられず、精神的・身体的に不安定な状態が続く場合は、性依存症の可能性が高いといえます。

その他の依存症と同じく、自分1人で押さえ込むことは困難です。専門家の治療を受けながら、同じ依存症の問題を抱える人々と自助グループなどで話をする機会を設けると性衝動を抑えられる可能性があります。

仮に、性依存症の傾向がある場合には、自分1人で抱え込まず、必ず専門家の助けを借りるようにしてください。

5.「盗撮をやめたい」カウンセリングは効果的?

5-1.問題を告白し自分にあった心理療法を見つける

では、盗撮を繰り返さないためには、どうしたらよいのでしょうか。

盗撮をやめるためには、カウンセリングが有効です。カウンセリングとは、心理カウンセラーや心療内科医・精神科医などに抱えている問題や悩みを打ち明けることをいいます。自分の問題を打ち明けることにより、すっきりするという単純な効果もありますが、プロの視点から自分にあった心理療法を提案してくれます。
カウンセリングにより、盗撮行為を告白し、治していきたいことを専門家に相談するだけでも少し心が軽くなるはずです。

心療内科・精神科のどちらにいけばよいのか迷うという方もいらっしゃると思います。盗撮は性的問題行動であり、心の病気です。ですので、基本的には、精神の問題を扱う精神科を受診してください。精神科に受診するのはハードルが高いと思う方は、心療内科で一度相談してみるのもよいでしょう。

5-2.他の精神疾患のカウンセリングと違いはある?

では、うつ病などのカウンセリングとの違いはあるのでしょうか。

性的問題行動の治療についても、大きくはうつ病や他の依存症と変わりません。
薬物療法と精神療法の2つのアプローチがあります。カウンセリングによって、両方を行うのか、どちらかだけを実施するのかを決めていきます。
薬物療法では、SSRIという抗うつ剤で「盗撮をしたい」という強い感情を和らげます。これ以外にも、男性ホルモンを抑制する薬を処方することで、性欲そのものを抑えてしまう方法をとることがあります。

精神療法では、認知行動療法という手法がとられます。
認知行動療法とは、物事の受け取り方や現実の受け止め方などの認知に働きかけ、こころのストレスを除去していく治療方法です。盗撮などの性犯罪の場合は、正常な精神に近づくためにより実践的な行動をとることもあるようです。例えば、盗撮するような場所に行かないことや、スマホのカメラにテープを貼るなど物理的な対処を促していきます。

まずは、専門家によるカウンセリングによって、自分の状態を判断してもらうことが大切です。カウンセリングや薬物治療の結果、盗撮行為を抑制できる可能性があります。
再犯の危険があると思う方は、一度カウンセリングを受けてみることをおすすめします。

6.盗撮をしてしまったら、泉総合法律事務所にご相談ください。

カウンセリング以外にもできることはあります。それは弁護士に相談することです。

弁護士は精神疾患の治療をすることはできません。しかし、盗撮で逮捕された場合は、お役に立つことができます。

痴漢や盗撮では、示談があることが極めて重要です。しかし、被害者の方は、加害者と連絡をとりたがらないのが通常です。そのため、第三者である弁護士が間に入り示談交渉をするのがベストです。
被害者の方も誠意を持って対応すれば、「弁護士となら話してもよい」と考え直してくれるケースもあります。

仮に初犯であれば、示談で不起訴処分になる可能性も十分にあります。再犯であっても、専門家なら最善の形にもっていくことができます。「盗撮で逮捕された」「再犯になってしまう」とお悩みの方は、刑事事件に強い泉総合法律事務所までご相談ください。

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