もしも盗撮行為を発見されて恐喝されたら~盗撮ハンターの恐怖~

盗撮

盗撮ハンター

1.恐喝の被害相談事例 盗撮狩りとは

「恐喝」と言えば、反社会的組織・暴力団による借金返済を強要するゆすり・たかり、近頃はLINEやfacebook(フェイスブック)、出会い系サイト等を利用した美人局(つつもたせ)などが、真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか?

ところが、実際はそれだけではありません。

「盗撮ハンター」(又は盗撮狩り、盗撮犯狩り)という言葉はご存知でしょうか?「オヤジ狩り」「おたく狩り」という言葉もありますが、それに近いニュアンスを含んでいます。

今回は、盗撮をしている時に人に発見されて、逆に高額の現金を請求されエスカレートしてしまう事案をご紹介致します。

2.盗撮がばれた。ゆすり・たかりの手口とは。

とある建物のエスカレーターで前にいた女性を盗撮をしたところ、近くにいた男性に盗撮行為を目撃されてしまいました。通常盗撮は駅構内で行われ駅員室に同行ですが、この場合は通常の建物ビル内ですので、110番通報して警察官が駆け付けるまで現場に一緒にとどまるか近くの交番に同行して警察署にパトカーで連行されて警察で本格的な取り調べを受け、その後逮捕されるものです。

しかし、その男性は盗撮した人物からデジカメを証拠品として取り上げて「警察に行きたくなければ金銭を出せ」と要求してきたのです。本人は警察に逮捕されるのが怖くなり、盗撮を発見した人物の言いなりとなって、手持ちのお金がなかったことから、脅してきた人物の要求に従って脅してきた人物と一緒に自宅まで行き、自宅にある現金を脅した人物に渡したのでした。

3.被害者は不明・被害届なし→不起訴の可能性あり

盗撮した方は、盗撮を目撃して脅してきた男性から再度金銭要求の連絡があったことからどうすればいいのか対応がわからず、私ども泉総合に相談がありました。

私ども弁護士はこのまま金銭の支払いに応じればますますエスカレートすること、金銭要求は恐喝にあたること、盗撮は性犯罪の中では重大犯罪ではないことから、私ども弁護士が同行して警察に自首して盗撮行為を説明すれば被害者が不明で被害届が出ていないので不起訴になる可能性もあること、盗撮ハンターともいうべき男性の恐喝行為を警察に申告することは警察に協力することになり不起訴処分の材料になると判断して、警察に自首することにしました。

4.証拠不十分では警察は動かない?録音が必要か?

恐喝は「害悪の告知」と言って「困惑することなどを伝えて金銭を要求すること」が要件です。警察に盗撮という犯罪行為を通報することもそれだけを取り上げれば正当行為で金銭要求が絡まなければ問題はないのですが、金銭要求が絡めば恐喝罪が成立します。

もっとも金銭を渡さなければ警察に盗撮するとの言動の証拠は録音などしていませんので、警察にそのような申告をするだけでは証拠不十分で警察も恐喝罪を立件・逮捕することはできません。

5.盗撮ハンターの現行犯逮捕

そこで、警察は盗撮の被疑者に恐喝の男性から連絡が来て再度盗撮の被疑者の自宅に来た場合には自宅内で金銭要求したところで現行犯逮捕する方針をとることになりました。

その後、恐喝犯、盗撮ハンターから盗撮の被疑者に連絡が来て被疑者の自宅に金銭を取りに来るとの連絡が来たので、さっそく警察に連絡して、事前に警察官が証拠を取るため、自宅内で待機することになりました。
そのような中、実際恐喝の男性が自宅内に立ち入って恐喝の言葉を吐いた時点で現行犯逮捕しました。このようなケースは滅多にないことだと思います。

6.盗撮の被疑者は不起訴になるか?その対処法とは?

盗撮の被疑者の方ですが、被害者が不明であり、被害届が出ていないこと、捜査協力をしたことなどから不起訴処分となりました。

電車内の盗撮が近くにいた者に検挙され近くの駅に降りて警察に連行されたものの、盗撮の被害者はそのまま電車に乗って去ってしまった事案があります。ですので、この場合には被害者の被害届は警察には出ていません。被害届が出ていなければ目撃者がいたとしても、警察は立件しないものですが、その時は警察が立件して取り調べの後に被疑者を書類送検しました。

被疑者の仕事の関係から罰金をなんとしても避けなければならない事情があり、他方で被害者との示談はしようがないケースでしたが、心療内科のカウンセリングへの通院や贖罪寄付(公的団体に罪をつぐなうために寄付することです)、罰金刑が被疑者本人にもたらす悪影響が大きいことから不起訴処分を求める意見書の提出などできる限りの弁護活動を行った結果、不起訴処分を勝ち取りました。
示談できずに不起訴処分はあまりありません。

7.盗撮の目撃を狙う盗撮ハンターにどう対応するか。

実際に弁護依頼を受けた事案ではなく相談を受けたにとどまるものですが、盗撮をしたところ近くにいた男性に目撃されて盗撮の現行犯だといわれ、被害女性と示談することを強く勧められました。被害女性の知人と称する男性が被害女性の代わりに現れ、建物の外で話そうといわれて、示談するにはふさわしくない場所で、盗撮では通常ありえない高額の示談金を求められてやむなく渡したケースがあります。

このケースでは相談者の話を聞く限り、盗撮の被害女性と盗撮を発見した男性らは、関係ない可能性が高いと考えました。示談ならば示談書を取り交わさないと、後日さらなる金銭を要求されることもあります。被害女性が被害届を提出すれば、被害女性の知人男性なる人物との示談の成立も示談書がない以上、示談書は被害者本人か弁護士の代理人との間で締結するものですので、警察に対して示談の成立を主張することもできません

盗撮ハンターの恐怖

また、被害女性が示談の相手方になるところ、被害女性の知人男性は被害女性からの委任状も盗撮した男性に示すことなければ示談書もなく示談金を支払っています。よって、そもそも権限ある者との間で示談交渉したのかも問題になります。このような諸事情から考えるとこのケースも、盗撮ハンターではないかと推測します(断定はできませんが)。

盗撮ハンターにどう対応するか、自己責任での対応となります。

このようなケースは対応が難しいところがあります。盗撮を発見した相手方の要求に従えば警察沙汰にならないですむ点では良いともいえますし、かといって更なる金銭要求をしてくることもあります。相手方の要求を無視した場合に相手方がどういう対応をとるかわからないこともあります。弁護士に相談する時間もありませんから、自己判断で対応を決めるしかありませんが、盗撮ハンターも時にはいる、との考えを念頭において対応を決めるしかありません。

8.盗撮で検挙された後の流れ

盗撮を発見されて警察に検挙され、弁護士に依頼して被害者との間で示談が成立すれば不起訴となりますが、示談が成立しなければ罰金刑になります。盗撮の場合、示談金額も痴漢ほどは多くはなく、ほとんどの場合に示談いただいております。

他の示談も同じですが、被害者が未成年ですと両親が示談交渉の相手方となりますので、親御さんの盗撮に対する考えには大変厳しいものがあります。ですので、両親との示談交渉は多くは難航するものですが、誠意をもって弁護士が交渉することで多くの場合示談していただいております。もっとも、示談金は通常の盗撮よりも高くなる傾向があります。

【参考】弁護士が語る!盗撮の実態と逮捕される前に知っておきたいこと

9.恐喝でお悩みの方は当所までご相談ください。

今回のケースのように盗撮を目撃された後、ごく少数ですが、盗撮を理由として先に述べたような恐喝行為をする者もいます。

当所は多数の盗撮事件の刑事弁護に取り組んでいる関係で、このようなケースの相談や依頼を受けることもあります。お悩みの方は当所の無料相談をご利用ください。

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