刑事事件の流れに関する質問

執行猶予中なのですが、猶予が取り消されて実刑を受けることもありますか?

取り消されて、実刑を受ける可能性はあります。

執行猶予制度とは執行猶予期間中に他の刑事事件を起こされなければ、刑事裁判で下された判決がなかったことになる、というものです。ですので、もし新たに刑事事件を起こしてしまえば、執行猶予が取り消され、ただちに刑が執行されてしまいます。

具体的には、次の場合に執行猶予が取り消されます。(刑法26条)

①猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき

②猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき

③猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき

⇒つまり簡単に言えば、執行猶予中に禁固以上の刑を処せられると、一発で執行猶予が取り消されてしまうのです。

また、次の場合には、執行猶予を“取り消すことができる”と定められています。(刑法26条の2)

①猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき

②保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき

③猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その執行を猶予されたことが発覚したとき

⇒つまり、執行猶予中に罰金刑を処せられると、場合によっては執行猶予が取り消されてしまうのです。

執行猶予が取り消された場合、“➀執行猶予が取り消される原因となった新たな犯罪”と、“②執行猶予が取り消される前の最初の犯罪”これら2つの刑罰を合算したものが最終的に受ける刑罰になりますので、注意が必要です。

たとえば、懲役1年執行猶予3年と言い渡されたのち、執行猶予期間中に懲役3年の実刑判決を受けたとします。すると、新たに受けた懲役3年と、もともとの懲役1年の刑罰が合算され、合計4年間、服役することになります。

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