財産事件に関する質問
Q
突然の大雨に傘の持ち合わせがなかったので、「明日返せばいいや」と思い、傘たてにあった傘を一晩だけ借りるつもりで持ち出そうとしたところ、傘の持ち主に目撃され警察を呼ばれました。返すつもりだったのに窃盗罪になるのですか?
A
窃盗未遂罪(刑法235条、243条)が成立する可能性が高いと言えます。
窃盗罪が成立するためには、不法領得の意思、すなわち、①権利者を排除して他人の物を自己の所有物として、②その経済的用法に従い利用処分する意思が必要とされています。
今回、雨を防ぐために傘を利用しようとしており、②経済的用法に従い利用処分する意思は認められます。問題は①ですが、たとえ一時的に借りる目的だったとしても、所有者が傘を必要とする大雨の日に傘を自宅まで持ち帰ってしまうのですから、権利者である傘の所有者を排除して傘を自分の所有物であるかのように利用していると認められるでしょう。
もっとも、現場を目撃されただけで持ち出すには至っておらず、未遂罪にとどまります。