暴力事件 [公開日]2017年7月24日[更新日]2019年11月1日

DV(ドメスティックバイオレンス)で逮捕される基準とは?

DV(ドメスティックバイオレンス)について、日常的な妻に対する暴言や暴行で、体中が痣だらけとなるような事案を想像する人が多いと思います。

しかし、DVには様々な態様があります。
でっち上げDVとまではいかなくても、些細な夫婦喧嘩の流れの中で夫がつい手を上げてしまい、妻が「ちょっと叱ってもらおう」という程度の軽い気持ちで110番通報した結果、想定外に夫が逮捕されてしまうこともあるのです。

この場合、逮捕・勾留期間中の夫が会社をクビにされ、望んでもいない家庭崩壊が起こる可能性も否めません

そのような悲劇を防ぐため、今回は、DVの基準、DVで逮捕されるケース、逮捕されるとどうなるのかを、実際に弁護士事務所へどのようなDVの相談があったのかの具体例を挙げながら解説します。

1.DVとは?

DVとは「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」と定義されることが多いとされます。

日本では、配偶者暴力防止法という法律があります。これは配偶者からの暴力の防止や被害者の保護等を図る体制整備を定めています(1条1項)。

実際に各都道府県には、配偶者暴力相談支援センターが設置され、被害者の支援をしています(3条1項)。

この法律での「配偶者」は、結婚しているか・男女の性別を問いません(1条2項)。
また「暴力」は身体に対し危害を及ぼす攻撃だけでなく、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動も含まれます。例えば、無視し続けることによるPTSDなどの精神障害がこれにあたります。

刑法上では、DVは暴行罪(刑法208条)、それが身体の生理機能の損傷に至った場合(上記PTSDなど)は傷害罪になります(刑法204条)。
また、配偶者が拒否しているにもかかわらず無理に性行為を強制すると、強制性交等罪になります(刑法177条)。

2.DVで警察に通報したら逮捕されるケース

警察は、110番通報や交番に被害申告があると、複数の警官で住居内に出向き、夫や妻から事情を聴きます。

通報によって必ず逮捕されるというわけではありませんが、被害者の身体に重大な傷跡が見られるなどDVが証拠上明白な場合や、既に被害届が提出されている場合は、逮捕される可能性が高いでしょう。

DVの現行犯逮捕は通常できないため、警察は裁判所から逮捕令状を発布してもらい、夫をその場で令状逮捕するか、警察署に連行してから逮捕令状を執行して逮捕します。

警察は逮捕してから48時間以内に検察庁に身柄送検し、検察官が被疑者となった夫を取り調べて、10日間の勾留を裁判所に請求するかどうか判断します。

DVでは、被疑者である夫を釈放することにより被害者である妻に更なる暴行を加える可能性が十分あり得ます。
そのため、検察官は裁判官に勾留請求し、裁判官は同じ理由から勾留決定することが多くあります。

そうなると、被疑者は10日間警察の留置場で勾留されることになります。その後、さらに勾留期間を延長されると最大20日間勾留されることになるでしょう。→刑事事件解決の流れ

3.DVで会社をクビになる可能性

DVの事実が会社に知られることはありませんが、DVで逮捕されると、先ほど述べたように逮捕に続いて10日間勾留されることがあります。
そうなると、会社勤めの夫は逮捕から12~13日間、警察署の留置場で身柄拘束を受けることになります。

2~3日ならともかく、12~13日間も欠勤しながら、会社に対して納得するような欠勤の理由を夫に代わって妻が伝えることは困難でしょう。

そうなれば、最悪の場合会社を解雇され、夫婦や子供の世帯の生活が成り立たない深刻な問題が発生することになります。

DVで夫が逮捕された場合で、「被害者」の妻が逮捕などを望んでおらず、そもそもDV、暴行とまでは言えないような場合には、10日間の勾留の回避、あるいは勾留期間を減縮して釈放してもらうよう、釈放実績、刑事弁護経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼することを強くお勧めします。

4.DV事件の釈放活動の具体的事例

最後に、実際に当泉総合法律事務所にご相談があったDV事件(妻が大事になることを予想していなかったケース)の事例内容をご紹介します。

(1) 夫婦間のちょっとした喧嘩から逮捕

この事案では、夫婦間でちょっとしたいさかいがあり、たまたま夫の腕が妻に当たったということです。
そこで妻が交番に出向き被害申告をしたところ、夫が逮捕されてしまったということでした。

「逮捕まではないだろう」と思っていた妻は、思わぬ展開に驚いて泉総合法律事務所に刑事弁護を依頼されました。
弁護士は、ただちに逮捕されている警察署に出向いて、被疑者の夫に接見しました。

相互から事情を聞き取り、弁護士意見書を作成した結果、釈放しても問題ないとの判断をしてもらい、夫は早期釈放となりました。

(2) 警察に注意してもらおうと通報したら逮捕

夫婦喧嘩の流れの中で、たまたま夫が近くにあったナイフを手に持った(ナイフは妻には向けていません)のを見て、妻が警察官から注意してもらおう(懲らしめてもらおう)と110番通報したところ、逮捕されてしまった事案です。

依頼を受けた弁護士は直ちに被疑者の夫に接見に出向き、事実関係の確認やその他検察官への対応の留意点などの指摘を行いました。

本事例では、ナイフを妻に向けてはいないものの、ナイフを手にしたことを検察官や裁判官が重大視して、勾留決定となる可能性がありました。
そこで、その点を念頭においた対策を織り込んだ弁護士意見書や、妻や妻の実父の上申書などを検察官に提出し、釈放するように働きかけました。

この結果、検察官から妻に事実関係の連絡を入れたうえで、釈放となりました。

5.DVに関するご相談なら泉総合法律事務所へ

上記の事例のように「本当はそんなつもりなかったのに」、夫がDVの容疑で逮捕されてしまうことがあります

泉総合法律事務所では、実際にDVをして逮捕されてしまった夫からの依頼や、軽い気持ちで警察に連絡をしたら想定外に夫が逮捕されてしまった妻からの依頼など、様々なDV事件・刑事事件に取り組んでおります。

万が一DV事件を起こしてしまった場合や、家族がDV容疑で逮捕されてしまったという方は、出来るだけ早く、DVの弁護経験が豊富な泉総合法律事務所へご相談ください。それぞれのご希望に沿った最適なサポートを提供いたします。

初回相談は無料となっておりますので、どうぞ安心してご連絡いただければと思います。

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