痴漢 [公開日]2017年11月29日[更新日]2019年11月1日

痴漢を疑われた!線路に降りて逃げるのは正しいのか?

痴漢を疑われた!線路に降りて逃げるのは正しいのか?冤罪は?

2017年の春先、「痴漢を疑われた男性が線路上に降りて逃げる」という事件がいくつか発生しました。
その中には、逃げた方が電車にはねられて死亡した件もあります。

痴漢を疑われたとき、実際に痴漢行為に及んでいる場合とそうでない冤罪の場合があるものですが、どちらにしても、弁護士の見解から言うと、線路を走って逃げるという行為は間違っています。

今回は、痴漢事件の経験と知識、実績豊富な弁護士が、痴漢を疑われて線路に降りて逃げることの是非と、痴漢を疑われたときの正しい対処方法について解説します。

1.痴漢を疑われて線路に降りた事案

2017年5月15日、午後8時15分頃、横浜市の東急田園都市線青葉台駅の下りホームにおいて、電車内での痴漢行為を疑われた男性がホームから電車の線路に飛び降りて逃走しようとしました。しかし、この男性は、やってきた電車にはねられて死亡してしまいました。

男性は、現場に駆けつけた駅員と話し合っているときに線路に飛び降りたとのことで、まだ30代だったということです。

この頃、これ以外にも「痴漢」と言われて電車の線路に飛び降りて逃走しようとする例が相次ぎました。

線路に飛び降りるなど、非常に危険な行為だと思うかもしれません。しかし、「痴漢」と言われて気が動転すると、冷静な判断ができなくなることもあるでしょう。

「警察に逮捕されるかもしれない」「家族に知られたらどうしよう」「会社をクビになるかも」……そんなことが頭を巡っているときに、ふと目の前に線路があって「線路に降りたら追って来られないかもしれない」という考えが頭をよぎったとき、人は線路に飛び降りてしまうのかもしれません。

しかし、線路に逃げる行為は、自殺行為に等しいです。絶対にしてはいけません。

【線路上に降りる行為は法律上も禁止されている】
線路に降りるという行為は大変に危険ですから、法律によっても禁止されています。「鉄道営業法」という法律では、線路内にみだりに立ち入ったものに対し、科料の罰則を科すと規定されています(鉄道営業法37条)。
このような法律があるのは、線路上に立ち入る行為が大きな危険を呼ぶからです。立ち入った人の命も危険ですが、急ブレーキなどをかけることにより、電車の乗客にも危険を及ぼす可能性があります。

2.痴漢が見つかった場合の正しい対応

それでは、実際に痴漢を行ってしまいそれが見つかった時(痴漢を疑われたら)、どのような対処をすればよいのでしょうか?

(1) 逃げずに素直に駅員室へ同行する

まず、逃げないことが重要です。

一時、「痴漢と言われたら逃げるべき」などということが言われていたこともありました。
しかし、その場から逃げてしまうと、後で捕まったときに「逃亡のおそれがある」という理由で逮捕されてしまう可能性が非常に高くなります。

実際に痴漢をしていたとしても、否定をせず、逃亡や証拠隠滅の恐れがなければ、逮捕・勾留をされないことがあります。

そこで、痴漢を疑われて、実際にやっていたとしても、とにかく冷静になり、逃げずに覚悟を決めることが大切です。

また、痴漢を疑われたとき「駅員室に行ってはいけない」と言われることがあります。
しかし、特に実際に痴漢をしている場合には、素直に駅員室に行くべきです。

素直に駅員室に行くと、「逃亡のおそれがない」と判断されて、そのまま釈放される可能性も高くなります。
一方、駅員室に行くのを拒んでトラブルになったら、逮捕される可能性が高まります。

被害者の感情としても、「駅員室に行かずに逃げようとしている」と感じたら、示談しようという気持ちも失せてしまうかもしれません。

(2) 謝罪すること

実際に痴漢行為をしていたなら、被害者にきちんと謝罪をしましょう。真摯に罪を認めて謝れば、被害者の被害感情も和らぐ可能性があります。

真摯に謝罪し、反省を示すことで、場合によっては被害届を出すのを思いとどまってくれて、事件が大事にならずに済むこともあります。

[参考記事]

被害届を出されても示談で取り下げてもらうことはできるのか?

(3) 連絡先を伝えること

実際に痴漢をしている場合でも、逃亡のおそれがないと判断されたら逮捕されない可能性が高くなります。
そこで、被害者に連絡先を渡して、何かあったら連絡がつくようにしましょう。

警察を呼ばれても、身元がきちんと明らかになっていると、逮捕の必要性がないと判断されることがあります。

(4) 弁護士を呼ぶこと

また、弁護士を呼ぶことも非常に有効です。

被疑者がいくら被害者に謝罪して、「連絡先を伝えておくから安心して下さい」と言っても、納得しない被害者が多いでしょう。
一方、弁護士がきちんと本人の身元を証明して「何かあったら弁護士に連絡をしてくれたら、間違いなく対応します」と言った方が、信憑性が高いことは明らかです。

弁護士を呼ぶとき、知っている弁護士がいたら、その弁護士に連絡をすると良いですし、そういった弁護士がいない場合には「当番弁護士」を利用しましょう。

弁護士が到着したら、経緯を話して、自分としては示談しようとしていること、逮捕されたくないことなどを伝えます。
すると、弁護士が被害者や警察に話をして、逮捕を避ける方向に話を進める(被害者との示談を進める)ことができます。

[参考記事]

痴漢の逮捕後の流れと弁護士に示談交渉を依頼するメリットとは?

【冤罪だった場合の正しい対処法】
一方、本当は痴漢をしていない(冤罪)のに、痴漢と間違われて取り押さえられてしまった場合でも、やはり「逃げないこと」が重要です。
逃げると、「やっぱり犯人だ」「痴漢だったに違いない」と思われてしまいます。逃げ切れずに捕まってしまったとき「どうして逃げたのか」「実際にやっていないなら逃げる必要がないではないか」と聞かれるでしょう。答えに窮してしまったら、もはや言い逃れができなくなってしまいます。
実際に痴漢をしていないなら、毅然とした態度を取ることが重要です。やっていないなら、はっきり「やっていません」と言いましょう。
また、実際に触っていないなら、両手を上げて「DNA鑑定をしてください」と求めることが効果的です。これにより、実際にやっていないという強い姿勢をアピールすることができます。
参考:痴漢冤罪を証明したい! DNA・繊維鑑定は本当に有効なのか?

3.まとめ

痴漢の疑いをかけられたら、本当にやっている場合であっても冤罪であっても、気が動転してしまうのは当然のことです。
しかし、そこで必死に逃げようとして線路に降りてしまうことは、絶対にしてはいけません。

逃げずに誠実に対応すれば、不利益を小さくすることができるでしょう。

痴漢の疑いをかけられたときにはもちろんのこと、実際に逮捕されてしまった後でも、困ったときには、刑事事件に強い弁護士を呼んで、しかるべき弁護を受けるべきです。

泉総合法律事務所は、痴漢をはじめとした刑事弁護に積極的に取り組んでいます。万一の際にはいつでもご相談下さい。

痴漢の刑事弁護は泉総合法律事務所まで

痴漢など絶対にしないと思っていても、ふと魔が差して痴漢をしてしまった、ということは誰にでもあり得ることです。迷惑防止条例違反の行為といえども、逮捕・起訴されたりしますし、処分が罰金であっても前科となります。

不起訴などで最終処分を有利に導くためには、刑事弁護の経験豊富な弁護士に弁護依頼をしてください。

泉総合法律事務所は、刑事事件、中でも痴漢の弁護経験につきましては大変豊富であり、勾留阻止・釈放の実績も豊富にあります。

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