痴漢 [公開日]2017年9月20日[更新日]2022年2月28日

痴漢事件で警察に被害届は出すべき?被害届の取り下げ方法は?

犯罪の被害を受けた者(被害者)から、被害届が警察に提出され、それが受理されると、警察はその犯罪についての捜査を開始します。
これは、痴漢被害にあった場合も同じです。

電車内等で痴漢行為をした加害者側からすると、痴漢被害者に被害届を出された場合、自分が逮捕されたり、起訴されたりする可能性があるので、被害者側に被害届を取り下げてもらう必要が出てきます。

今回は、都道府県の定める迷惑防止条例違反・強制わいせつ罪に該当する痴漢にあったら、警察に被害届は出すべきか、もし被害届を出されたら加害者はどうすれば良いのかについて検討していきます。

なお、痴漢の罰則は以下のものとなっています。

  • 迷惑防止条例違反(東京都)・・・50万円以下(常習の場合100万円以下)、又は6月以下(常習の場合1年以下)の懲役
  • 強制わいせつ罪・・・6月以上10年以下の懲役

1.痴漢された場合|事件の流れと被害届の意味

(1) 痴漢された後の事件の流れ

痴漢にあったら、被害者や目撃者・駅員の方が、現場で被疑者を現行犯逮捕することができます。
その後の通報で警察が来て、被疑者は警察署に連行され、取調べ(事情聴取)を受けることになります。

他方、被害者がその場で声が出せず被疑者を取り逃がしてしまった場合でも、被害届を捜査機関に提出すれば、痴漢の捜査が開始されます。そして、捜査の結果、後日に通常逮捕(後日逮捕)されることがあります。

このように、被害届は捜査機関に犯罪があった事を知らせ、捜査を開始してもらうといった意味を持ちます。

[参考記事]

被害届とは?提出すると事件はどうなるのか・提出方法の解説

取調べの後、最終的には検察官(警察官ではない)が、その被疑者を起訴して刑事裁判にかけるかどうかを判断することになります。

起訴された場合、被疑者は、刑事裁判を受けることとなります(初犯で悪質でない場合などには、裁判を省略した略式起訴となり罰金刑を受けることが多いでしょう)。

なお被害者は、必要に応じて捜査機関から事情聴取を受けることになります。

(2) 痴漢被害に遭ったら被害届は提出すべきか

痴漢事件に限らず、盗撮事件や窃盗事件等の刑事事件においては、警察に対して被害届が出されることによって犯罪の捜査が始まります。被害届は交番や警察署で提出することができます。

警察に被害届を出すかどうかは痴漢の被害者の方の判断になりますので、必ず出されるとは限りません。
しかしながら、仮に当事務所の弁護士が「痴漢の被害に遭ったのだが、警察に被害届を出すべきかどうか」との相談を受けた場合には「絶対に被害届は出すべき」と答えるでしょう。

「被害届を出すべきかどうか」で迷っている被害者の方は、
①犯人に刑事罰を与えたいかどうか
②犯人に慰謝料を請求したいかどうか
という、刑事・民事の両面について、現時点で方針が決まっていません。

最終的に、犯人を許し刑事処分を受けさせない、慰謝料を請求しないという決断をする可能性があるにしても、それを今の時点で判断する必要はありません。
迷ったならば、「とりあえず被害届を出しておくべき」と言えます。

もしも被害届を出さず、事件から相当日数が経過してから「やはり処罰してほしい」「慰謝料を請求したい」と考えても、事件直後に被害届すら提出されていなければ、捜査も開始されていないため証拠を集めることが困難となります。

結果、犯人が誰か特定できない、もしくは特定できたとしても痴漢行為を行ったという証拠がないという事態になりかねません。

また、痴漢の被害に遭ってから直ちに被害届を提出したという事実は、痴漢の被害に遭ったことを示す証拠のひとつとなりますが、その事実がないのでは、痴漢行為の存在自体が疑われ、民事としても慰謝料請求が認められない可能性が高くなります。

後になって後悔しないためにも、最初の段階で被害届は出しておくべきです。
後で犯人を許す気持ちになったなら、その時点で、被害届を取り下げれば済むことです。

(3) 被害届の取り下げについて

では、痴漢の被害者が、加害者側から「既に出された被害届を取り下げてくれ」と懇願された場合、どのように対応すべきでしょうか?

当然、実際に被害届を取り下げるかどうかは被害者の方の判断になるのですが、加害者側と示談ができていない段階または示談金が支払われていない段階での取り下げはすべきでないと思われます。
何故なら、いったん被害届を取り下げてしまうと、再び警察に提出しようとしても、受理してもらうことはほとんど不可能だからです。

また、示談金を支払うとの約束がなされていても、本当に支払ってくれるかどうかはわかりません。

したがって、示談金の未払いを回避するためにも、被害届の取り下げは、きちんと示談書の取り交わしをして、なおかつ示談金の支払いも全額完了した後にすべきです

なお、痴漢事件に限らず、どの刑事事件でも、被害者が自ら加害者と示談交渉をすることは再度の被害に遭う危険があり、避けるべきです。
弁護士を代理人として示談交渉に臨んでもらうのが賢明です。

【告訴との違い】
被害届は、犯罪の被害者が犯罪事実を捜査機関に申告するものです。他方、告訴は加害者の処罰を望む旨の意思表示です。告訴は口頭でも告訴状を提出する方式によっても行えます。犯罪によっては、被疑者を起訴するために告訴を要するというもの(親告罪)がありますが、その場合には被害者は被害届を提出するだけでは被疑者の刑事責任を追及することができないので注意しましょう。

2.痴漢してしまったら|被害届を取り下げてもらうために

では、今度は痴漢容疑のかかった加害者側に立ったとして、被害者から被害届が出されてしまった場合、それを取り下げてもらうにはどうすればよいのでしょうか?

結論から言えば、被害者に被害届を取り下げてもらうには、真摯に反省し、弁護士を通じて被害者側と示談をして、反省の態度を評価してもらったうえ、慰謝料として相応の示談金を支払う必要があります。

この場合の示談交渉ですが、通常、加害者(被疑者)は被害者の連絡先を知りませんし、警察や検察官が被害者の連絡先や氏名を教えてくれることはありません。

そこで、被害者と示談交渉をするには、弁護士に刑事弁護を依頼して、弁護士が警察や検察官に被害者の承諾をとってもらった上で連絡先を開示してもらい、被害者との示談交渉をすることになります。

示談では、被害者が被疑者の謝罪を受け入れて許し、被疑者の処罰を望まないので被害届を取り下げることを内容とする示談書を作成して検察官に提出する形をとります。

示談が成立し、被害届が取り下げられれば、検察官が不起訴処分の判断をして刑事裁判にかけられず、前科とならない可能性が高まります。
このように、示談の成立は加害者にとってメリットのあるものなのです。

[参考記事]

痴漢で不起訴・前科の回避を目指す方法とは

逆に、何もしなければ、何らかの刑事罰を受ける可能性が高くなります。
そのため、痴漢事件を起こして被害者から被害届が出されてしまった場合、早期に弁護士を立てて被害者側と示談をすることが極めて重要だといえます。

なお、示談金の額は、犯人の財力、犯行の悪質性、被害者の処罰感情の強さなど、個別の事案によって異なるので、相場と言えるものがあるわけではありませんが、下は10万円程度から始まって100万円を超える場合もあります。

被害届の取り下げに関して更に詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。

[参考記事]

被害届を出されたら示談で取り下げてもらうことはできるのか?

3.被害届を取り下げは弁護士に相談を

痴漢事件を起こしてしまい、被害者に被害届を出されてしまった方・被害届を取り下げてほしいという方は、お早めに刑事弁護経験豊富な泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

痴漢の刑事弁護は泉総合法律事務所まで

痴漢など絶対にしないと思っていても、ふと魔が差して痴漢をしてしまった、ということは誰にでもあり得ることです。迷惑防止条例違反の行為といえども、逮捕・起訴されたりしますし、処分が罰金であっても前科となります。

不起訴などで最終処分を有利に導くためには、刑事弁護の経験豊富な弁護士に弁護依頼をしてください。

泉総合法律事務所は、刑事事件、中でも痴漢の弁護経験につきましては大変豊富であり、勾留阻止・釈放の実績も豊富にあります。

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