露出をしてしまった!現行犯以外では逮捕されない?
露出行為をした場合、逮捕されることがあります。そろそろ暑くなる時期がきますが、「つい出来心から」といって露出をすることは絶対にいけません。「現行犯以外では逮捕されないだろうから、見つからなければ平気だ」といった認識は誤りです。
たとえ、露出行為をしたがその場では逮捕されなくとも、後に逮捕される可能性があります。
ここでは、露出をした場合に成立しうる犯罪、露出で逮捕される場合について説明します。
1.露出をした場合に適用される法律
露出行為は犯罪です。露出をすると逮捕されることがあるのですが、適用される可能性がある法律は以下の3つです。
(1) 公然わいせつ罪
公然わいせつ罪という罪については、皆さんが聞いたことあると思います。
刑法174条「公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」
公然とは、不特定又は多数の人が認識できる状態を指します。電車や公園でわいせつな行為をした場合は、公然性ありとされます。
また、わいせつな行為とは、いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為を言います。
分かりにくい表現ですが、他人が性的な意味で恥ずかしいと思うような行為を指します。
性器を露出することは、もちろんわいせつな行為にあたります。
(2) 迷惑防止条例
迷惑防止条例とは、各都道府県が定めるもので、痴漢や盗撮など公衆に迷惑をかける行為を規制しています。
例えば、東京都迷惑防止条例は以下の行為を規制しています。
同条例5条1項柱書「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない」
同5条1項3号「・・・人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。」
露出行為は卑猥な言動にあたる可能性があります。迷惑防止条例違反となった場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます(常習犯は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。
(3) 軽犯罪法
軽犯罪法は、比較的軽微な犯罪行為を規制する法律です。軽犯罪法では33個の行為を違法なものとして規定しています。
軽犯罪法1条柱書「左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。」
20号「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」
なお、拘留とは30日未満の身体拘束、科料とは1000円以上1万円未満の罰金を言います。
このように、露出をした場合には以上の3つの法律が適用される可能性があります。
2.露出で逮捕される場合
冒頭で述べたように、露出をした場合、現行犯ではなくとも逮捕される場合はあります。ここでは、露出で逮捕される場合について説明します。
(1) 現行犯逮捕
露出で逮捕される場合でもっとも多いのは、現行犯逮捕によるものと考えられます。
刑事訴訟法212条1項「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。」
同213条「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」
例えば、公園や路上、電車内で露出行為をした場合に、周りにいた人や、駆け付けた警官に取り押さえられた場合です。
(2) 通常逮捕
通常逮捕とは、犯行後、警察官等が令状を取得して行う逮捕です。逮捕の基本的な形態がこの通常逮捕です。通常逮捕をするには、裁判官から逮捕を許可する令状の発付を受けている必要があります。
通常逮捕がなされる場合としては、露出行為が監視カメラに記録されていたり、周囲にいた人の証言から犯人が特定されたりした場合に行われます。
(3) 逮捕には必要性が必要
露出をすると逮捕される場合はあります。もっとも、必ず逮捕されるというわけではありません。
犯罪を犯したら必ず逮捕されるとか、必ず逮捕しなければならないといった認識は誤りです。逮捕は刑罰ではなく、裁判に向けて被疑者の身柄を確保しておく手段に過ぎませんし、被疑者の身体の移動の自由を侵害するので、逮捕の必要性が求められるのです。
逮捕の必要性がある場合とは、例えば、被疑者が容疑を否認して罪証隠滅の恐れがあったり、住所不定で逃亡の恐れが推認されたりする場合がこれにあたります。
他方、犯行の証拠が全て集まっていたり、被疑者が容疑を認めていたり、妻子持ちで定まった住所があり定職についていたりする場合は、逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れがないと評価され、逮捕の必要性がないと判断される可能性が高まります。
3.露出で逮捕された場合に弁護士に相談すべき理由
露出で逮捕された場合には、即座に弁護士に相談することをお勧めします。理由は以下の通りです。
(1) 身体拘束からの早期解放を目指す
逮捕がなされると、2~3日の拘束がなされます。その期間は家族と会うことや、仕事に行くことはできません。
更に、逮捕に続き勾留がなされると、10日以上の身体拘束がなされます。
このような長期の拘束を防ぐためには、適切な弁護活動が必要です。
法律の知識がない一般の方だと、身体拘束が不要だとの主張に説得力を持たせることが困難です。弁護士であれば、被疑者の解放のために、最善の弁護活動を行ってくれます。
(2) 起訴・有罪を回避
露出行為が犯罪となる場合、検察官が起訴し裁判となる可能性があります。これは、逮捕がなされない場合も同様です。裁判となり有罪判決が下されると、前科がついてしまいます。
日本の司法は有罪率99%と言われるように、裁判となった場合は有罪判決が出される可能性が高いので、起訴されるのを避ける必要があります。
しかし、起訴を回避するために何をすべきなのか分からない方が多いのではないでしょうか。実際、自ら起訴を回避するために動くのは困難を伴います。
刑事事件に精通した弁護士に相談すれば、起訴回避の活動を適切に行ってくれます。

[参考記事]
露出で逮捕されたら|示談をすると不起訴になるか
4.まとめ
露出に限らず、刑事事件・性犯罪で逮捕された場合は、早期に弁護士へご相談ください。
泉総合法律事務所では、刑事事件の解決実績豊富な弁護士が、示談交渉・起訴回避を全面的にサポートいたします。
今後の人生への影響を最小限に抑えるためにも、警察に取り調べをされた・逮捕されるか不安などという段階でも、是非一度、当事務所の無料相談をご利用いただければと思います。