刑事事件における示談総説。示談の意義、タイミング、費用など解説!

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刑事事件における示談総説。示談の意義、タイミング、費用など解説!

刑事事件で逮捕された際、釈放・不起訴となるためには示談が必要不可欠になります。そして、被害者のある犯罪の場合、被疑者・被告人の依頼があれば、弁護士は示談の成立に向け努力するものです。

以下においては、刑事事件における示談の意義、示談の方法、刑事和解制度、示談に当たっての留意点、刑事事件における示談金の相場などについて解説していきます。

1.刑事事件における示談の意義

刑事事件における「示談」とは、一般的な例でいいますと、被害者を「甲」、被疑者・被告人を「乙」とした場合、

「①乙は、本件について深く反省し、甲に対して謝罪の意思を表し、甲はこれを受け入れる。②乙は、甲に対し、本件の示談金として金○○万円の支払義務があることを認める。③乙は、甲に対し、前項の金員を本日支払い、甲はこれを受領した。④甲は、本件につき、乙を許すこととし、処罰を一切求めない。⑤甲と乙は、本件に関し、本示談書に定めるほか、何らの債権債務関係のないことを相互に確認する。」

などとする示談書を交わし、被害届や刑事告訴(親告罪の場合)を取り消してもらうことです。

示談が成立した場合には、それは最終的な判決において有利な情状として斟酌されるだけでなく、それ以前の段階でも、検察官の起訴・不起訴の決定に有利に働くことはもとより、被疑者・被告人を身体拘束から早期に解放する材料にもなるのです。

このように、被害者のある犯罪では、示談の重要性は高いのです。

参考:被害届を出されても示談で取り下げてもらうことはできるのか?

2.示談の方法

被害者のある犯罪の場合、被疑者・被告人の処分結果に最も影響を与えるのが、被害者との示談です。そのためには、いかに早期に示談を成立させることができるかにかかっているともいえます。

しかし、示談となりますと、被害者の心情に配慮しなければなりません。犯罪の内容によっては、被害者が被疑者・被告人側からのいかなる申入れも拒否し、示談の話どころではない場合も考えられます。

そのような場合には、捜査機関を介して、被疑者・被告人側の誠意を被害者に伝えてもらうしかなく、時の経過により、被害者の態度が軟化するのを待ち、捜査機関の感触を手掛かりに、被害者と折衝せざるを得ないことも起こり得るのです。

事を急げば、被害者の心情を害してしまい、逆効果を招かないとも限りません。すべてにおいて、慎重さが求められるのです。

したがって、被害者との折衝、そして示談交渉などは、法律のプロである弁護士に委ねるのが望ましいといえます。

被害者の心情にも配慮しながら、適切な金額で示談成立に尽力していただけるはずですし、場合によっては、嘆願書まで作成してもらえるかもしれません。

なお、被害者が被害弁償を受け入れてくれるにとどまる場合には、被害者から弁償金の領収証を受け取ります。更に進んで示談に応じてくれる場合には、上記1のように、示談書の中に被疑者・被告人からの謝罪の意思や被害者から「処罰は一切求めない。」などの意思を表明する文言を入れることが多いようです。

弁護士が被害弁償・示談の努力をしたが、被害者がどうしてもこれに応じてくれなかった場合には、その交渉経過を記載した報告書を作成することもあります。

3.刑事和解制度

また、被告人と被害者等は、両者の間の民事上の争い(当該被告事件に係る被害についての争いを含む場合に限ります。)について合意が成立した場合には、当該被告事件の係属する裁判所に対し、共同して当該合意の公判調書への記載を求める申立てをすることができ(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律13条1項)、その合意が公判調書に記載されたときは、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有することになり、民事執行法上の債務名義性が与えられることになります(同法13条4項)。

したがって、この「刑事和解制度」を利用しますと、被告人に不払いがあったときには、すぐに強制執行ができ、合意した金額を回収することができます。

4.示談に当たっての留意点

まず、被害者の感情に十分に配慮しなければなりません。示談の成立は被害者の真意に基づくものでなければなりませんから、決して被害者に対して示談を押し付けるようなことのないように留意する必要があります。

また、性犯罪の場合には、被害者は被疑者・被告人に氏名や住所を絶対に知られたくないと思うのが当然ですから、弁護士から、あらかじめ、そのことの説明と了解を求められた際、被疑者・被告人は、そのことの了解の前提がなければ、示談交渉が行われない場合もあることを理解しなければなりません。

さらに、情状立証を念頭においておく必要があります。実際の裁判でも、被害者の真意に基づく示談であるのかに疑いが残るようですと、後の情状立証の際に、検察官から示談書を不同意とされる場合があります。

その原因は、被害者に対して示談の内容やその効果等を正確かつ丁寧に説明して、十分に理解してもらった上で示談を成立させていないために、起こるということなのです。

また、「宥恕」などといった一般市民が使用しないような文言は、被害者が十分に理解できていたのかに疑問を抱かせますので、使用すべきではないといわれています。

5.刑事事件における示談金の相場

示談金(損害の賠償金や慰謝料)については、罪種ごとに相場を見いだすことが可能なのでしょうか。

同じ罪種に属する犯罪であっても、事案ごとに、犯行に至る経緯・動機・目的、犯行の方法、犯罪の結果の重大性や犯行態様が異なりますので、被害の深刻さ、その程度や被害感情は一律ではありません

確かに、財産犯の場合は基本的には侵害された財産的価値が基準となります。しかし、その財産的価値も、通常は金銭的な交換価値を意味するとはいえ、例外的に、交換価値はないものの、被害者である所有者・占有者にとって主観的価値がある物も少なくないのです。

さらに、被害に遭った際の恐怖等の被害感情や捜査への協力等の被害者の負担も勘案しなければなりません。また、生命・身体に対する犯罪の場合、交通事故の場合の損害算定基準が参考とされる場合が多いとされています。

しかし、この場合も、被害結果の大小や深刻さ、将来に及ぼす影響、被害感情の強さについては、被害者ごとに斟酌すべき点も異なりますし、実際の事件では、被疑者・被告人側の支払能力が決定的な要素になることも少なくありません。

上記のように、財産犯であれば財産的価値が基準となり、生命・身体に対する犯罪であれば交通事故の場合の損害算定基準が参考とされるということから、それらがそれぞれの罪種に沿う相場だという説明も可能なのかもしれません。

ただ、被害者ごとに斟酌せざるを得ない不確定要素が多いため、罪種ごとに相場を見いだすことは難しいともいわれているのも事実なのです。そのことは、いくつかの法律事務所が、実際の示談の実例として、罪種ごとにWeb上で明らかにしている示談金額の幅の大きさからも、うかがい知ることができるのです。

特に、被害者が金銭に換算できないような精神的被害(学業や生活への支障も含まれます。)を被ったような場合(例えば、脅迫、痴漢、盗撮、児童買春・児童ポルノ、DV、ストーカー、淫行や性犯罪、名誉毀損等)には、示談成立には困難さが伴うとされているのも現実なのです。したがって、罪種ごとの示談金の相場を導き出すことは、難しいといわざるを得ません。

6.示談の弁護士費用

被害者のある犯罪では、上記のように、被害者との示談成立が重要な要素になることが多いものです。

刑事事件を依頼した場合、事件の着手金のほかに、示談交渉のために、更に着手金を支払う必要があるかどうかは、法律事務所によって違うとされています。また、示談が成立した際に報酬金を支払うかどうかも、法律事務所によって違いがあるようです。

したがって、示談の際の着手金や報酬金については、事前に確認するようにしましょう。

7.おわりに

被害者のある犯罪においては、示談が非常に重要な役割を持ちます。

もし刑事事件で逮捕されてしまい釈放されたい場合、不起訴になりたい場合、在宅事件でも罰金前科を免れたい場合には、お早めに泉総合法律事務所の弁護士に相談してください。刑事事件に強い弁護士が全力でサポートいたします。

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