検察庁に呼び出されても不起訴になるか。被疑者の場合と参考人の場合

刑事事件弁護

無視できない?被疑者として検察庁に呼び出されても不起訴になるか

【この記事を読んでわかる事】

  • 被疑者として検察庁に呼び出されたら、逮捕される可能性がある
  • 参考人として検察庁に呼び出されたら、誠実に対応すべき
  • 検察官の取り調べを受ける場合、弁護士のアドバイスを受けるとメリットが大きい

 

刑事事件を起こし、警察での取調べを終えて在宅捜査となっている場合、突然検察庁から呼び出されることがあります。

不安に思うのは当然のことですが、検察庁に呼び出されるとその後はどうなってしまうのでしょうか。

また、いわゆる参考人の立場で、検察庁から呼び出される場合は、どうなるのでしょうか。

以下においては、被疑者であれ参考人であれ、在宅の場合を前提として、検察官の責務と取調べ、検察庁から呼び出しがきた場合に考えられること、検察庁からの呼び出しを拒否したりした場合はどうなるのか、弁護士に相談するメリットなどについて、解説することとします。

なお、以下では、刑事訴訟法は「法」、刑事訴訟規則は「規」と略記します。

【参考】在宅事件でも起訴・前科!?長期化するからこそ弁護士に相談を!

1.検察官の責務と取調べ

(1) 責務

検察官は、捜査の最終段階において、特定の犯罪の嫌疑の有無や公訴提起の要否について判断しなければなれませんので(法248条)、捜査活動の全般を通じて事件を把握し、捜査方針を策定したり時機に応じた必要な法的判断を行ったり、警察官の捜査を指示・指揮したり(法193条)、あるいは自ら捜査を行ったりする(検察庁法6条、法191条1項)必要があります。

 

また、検察官の捜査には、公判を維持・遂行するための準備作業という側面もあります。

捜査段階で集められた資料は、裁判における証拠となりますから、検察官はそのことを念頭に置き、収集・保管された資料の証拠能力や証明力についても意識しながら捜査の遂行を指示・指揮することが必要です。

そして、捜査を遂げた検察官は、被疑者に対する責任追及の在り方を検討します。

検察官は、捜査の結果判明した様々な事情を総合考慮した上で、事案の処理として最適と考えられる選択をします。

捜査を遂げた被疑者に対する検察官の判断を終局処分といいます。

選択肢としては、大きく分けて、公訴提起と不起訴処分があります。

おおまかに言えば、終局処分とは公訴を提起するか否かに関する判断です。

刑罰による責任追及のために訴追の必要があると判断した場合には、被告人に対する公訴を提起します。公訴の提起をすることができるのは検察官のみであり(起訴独占主義・法247条)、検察官は公訴を提起するか否かの裁量を有し、公訴提起の要件が満たされていたとしても、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況にかんがみ、検察官が公訴を提起すべきでないと判断して公訴提起を控える場合もあります(起訴便宜主義・法248条)。

このように、公訴提起がなされない場合、すなわち「不起訴処分」も多いのです。

(2) 取り調べ

検察捜査の中で、重要な役割を担っているのが取り調べです。

この取り調べには、被疑者に対するもの(法198条)と、被害者・被害関係者・目撃者等の参考人に対するもの(法223条)があります。

①自分が被疑者の場合

まず、被疑者についてみてみましょう。被疑者は、在宅の場合、出頭を拒むことができます(法198条1項ただし書。また、いったん出頭しても、いつでも退去できます。)。

取り調べに応じて供述するかどうかも、被疑者の任意です。もし任意に出頭し、供述したときは、これを調書に録取されます(同条3項)。

この被疑者供述調書については、被疑者が閲覧し、又は読み聞かせられた上、誤りがないかを問われますが、被疑者が増減変更の申立てをすれば、その供述は調書に記載されます(同条4項)。

被疑者が調書に誤りがないと申し立てたときは、検察官は署名・押印を求めます(同条5項)。

それに応ずるかどうかも被疑者の任意です。

検察官作成の被疑者供述調書は、被疑者の署名又は押印があるとき、一定の条件のもとで後に公判廷で証拠(法322条1項)として用いられることがあります。

【参考】警察と検察の取り調べに違いはあるのか?聴取・調書の対策は?

②自分が参考人の場合

次に、参考人についてみてみましょう。参考人の典型は、上記の者ですが、被疑事実又は被疑者と様々な関係のある者や共犯関係にある者も含まれます。

参考人は、在宅被疑者と同様、出頭義務もありませんし、取調べに応ずる義務もありません。取調べに応じて供述したときは、供述調書の作成の点も被疑者の場合と同様になります(法223条2項による法198条1項ただし書及び3項ないし5項の準用)。

検察官作成の参考人供述調書も、参考人の署名又は押印があるとき、一定の条件のもとで後に公判廷で証拠(法321条1項2号)として用いられることがあります。

2.検察庁から呼び出しがきた場合に考えられること

(1) 被疑者の場合

まず、被疑者の場合、警察での取り調べを既に終えているわけですから、検察官の目的は、上記1のとおり、最終判断のためということになります。

すなわち、検察庁から呼び出しがきた場合に考えられることは、検察官が被疑者に対し、公訴提起(公判請求又は略式命令請求)するか不起訴処分にするかの終局処分をするためということになります。

検察官送致(法246条本文)後も、在宅捜査になっているわけですから、検察官の取調べは、警察での取調べを前提とした内容の確認と、終局処分の判断ができるように、より詳細な事実関係の聞き取りがなされるものと思われます。

したがって、検察官の被疑者取調べは、検察官が被疑者に対する最終処分をするために欠かせないものなのです。

その上で、上記1に見たとおり、検察官は、公訴提起か不起訴処分かの最終的な判断をすることになります。

そして、公訴提起との判断になったとしても、刑種に罰金や科料が含まれている場合には、検察官は、公判請求とするのか、略式命令請求とするのかの、判断が必要になります。

検察官が、被疑者の取調べの結果を踏まえ、略式命令(法461条)の請求により事件を処理するとの判断をした場合には、検察官は、あらかじめ被疑者に対し、略式手続について理解をするのに必要な事項を説明し、通常の手続で審判を受けることができる旨を告げた上で、略式手続によることに異議がないかどうかを確認し、異議がないときは、被疑者作成の異議なきことを示す書面(申述書あるいは同意書)を起訴状に添付しなければなりません(法461条の2、462条)。

略式手続による場合、簡易裁判所は、公判を開かずに、非公開の簡易な書面審理の手続で迅速に行うことになります。

そうしますと、検察官が、警察の送致記録を検討し、罰金あるいは科料が相当な事案と判断した場合であれば、検察庁の被疑者呼び出しは、略式手続によるための前提として、被疑者から、異議なきことを示す書面(申述書あるいは同意書)を作成してもらうためということになります。

なお、統計上、起訴される被告人の8割前後が、略式命令請求により行われる「略式手続」により処理されているのです。

【参考】略式起訴・略式裁判(略式請求)と不起訴処分で必ず知っておくべきこと

(2) 参考人の場合

特に思い当たる節もなく、また警察で取調べを受けていない場合にも、検察庁から呼び出しがきて、上記1のとおり、参考人として取り調べを受ける場合があります。

検察官が、参考人の取り調べをするのは、その取り調べの結果も判断資料に加えた上、当該被疑者の最終処分を決するためですから、参考人としても、当該被疑者の刑責を左右することにもなりかねないだけに、真摯かつ誠実に取り調べに応ずる必要があります。

3.検察庁からの呼び出しを拒否したりした場合はどうなるのか

(1) 被疑者の場合

被疑者が在宅捜査になっていても、検察庁からの呼び出しを拒否したりすることが、被疑者に「逃亡のおそれ」又は「罪証隠滅のおそれ」があると認められることになれば、逮捕されることもあり得ることになります(法199条2項、規143条の3)。

そして、一定の軽微な犯罪(30万円[刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円]以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪)の場合には、原則として逮捕状が発付されませんが、「被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由なく(法198条により捜査機関のなす)出頭の求めに応じない場合」には、逮捕されることもあり得るのです(法199条1項ただし書)。

(2) 参考人の場合

参考人の取調べは、被疑者の取調べと同様、任意の取調べですが、①犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、この取調べに対して、出頭又は供述を拒んだ場合(法226条)、及び、②この取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては、前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合(法227条1項)には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができるとされています。

したがって、この要件に当てはまる参考人であれば、証人として尋問を受けることになります。

4.弁護士に相談するメリット

弁護士は、被疑者から話を聴き、有利な事情を汲んで被疑者に代わり捜査段階から様々な活動をすることができます(例えば、被害者との示談交渉、事件処理を行う検察官に対し被疑者に有利な証拠・情状の伝達等)。

したがって、被疑者にとっては、捜査の初期段階から弁護士のアドバイスが得られれば、犯罪の成否だけでなく、処分の見通しも立てやすくなるといえます。

被疑者にとって有利な結論が得られるためには、まず何をしなければならないのか、被害者との示談交渉なのか、就職先の確保なのか、保護環境の整備なのかなどについて、弁護士のアドバイスが必要不可欠になります。

特に、被疑者が在宅のまま、検察官の取調べを受けるような場合には、弁護士のアドバイスが重要になってきます。

刑事事件に造詣の深い弁護士であれば、検察官が在宅のまま被疑者の取調べを行い、その結果を踏まえて、最終的な処分を決するという場合、事件処理の在り方として何が予想でき、どのような見通しが考えられるのかについて、被疑者にとって適切なアドバイスをしてくれるからです。

そうであれば、被疑者は、検察官の取調べを受ける前に、弁護士に相談する中で、検察官の処分(公判請求、略式命令請求、不起訴処分)の見通しの感触がある程度得られますから、どのように供述すべきか、黙秘権を行使するのは得策なのか、虚偽供述をすればどうなるのか、略式手続を受け入れれば、罰金でも前科となるけど、その結論でよいのか、不起訴処分の道はないのかなどについても、弁護士の適切なアドバイスを受けた上、納得して検察官の取調べに臨むことができることになります。

以上のように、様々な形でアドバイスを受けられる点が、弁護士に相談する最大のメリットです。

【参考】警察による取り調べの対応策!弁護士がアドバイスします

5.まとめ

在宅事件で検察官に呼び出されたら(呼び出される前でも)、刑事事件に強い泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

刑事事件の場合、早めに示談を成立させることで不起訴になることがあります。刑事事件はスピード勝負です。

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