刑事弁護 [公開日]2018年2月26日[更新日]2024年2月6日

検察庁に呼び出された場合の正しい対応と対策

交通事故や窃盗等の刑事事件を起こし、警察での取り調べ(いわゆる事情聴取)を終えて在宅捜査(在宅事件)となっている場合、突然検察庁から呼び出されることがあります。

不安に思うのは当然のことですが、これを無視すると、逃亡や証拠隠滅の恐れがあるとの疑いがかかり、逮捕等の身柄拘束を受けることがありますのでご注意ください。

この記事では、在宅事件の場合を前提として、検察庁から被疑者に呼び出しがきた場合に拒否した場合はどうなるのか、呼び出しがあった場合に弁護士へ相談するメリット等を解説します。

在宅事件について、詳しくは以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

在宅事件の流れ|起訴・前科がつくことはあるのか

なお、以下では、刑事訴訟法は「法」、刑事訴訟規則は「規」と略記します。

1.検察官に呼び出される理由

(1) 捜査上の取り調べのため

検察捜査の中で、重要な役割を担っているのが取り調べです。検察官は、警察官による取り調べの後、これを補充する形で被疑者の取り調べを行います。

被疑者は、在宅事件の場合、取り調べへの出頭を拒むことができます(法198条1項ただし書)。
もっとも、後述するように、出頭を拒むことで不利益を被る場合もあります

取り調べに応じた際に供述するかどうかも被疑者の任意です。もし、任意に出頭し供述したときは、供述内容を調書に録取されます(同条3項)。

この被疑者供述調書については、被疑者が閲覧し、又は読み聞かせられた上、誤りがないかを問われます。被疑者が増減変更(内容を付け加えてほしい・削除してほしいなど)の申立てをすれば、その供述は調書に記載されます(同条4項)。
被疑者が調書に誤りがないと申し立てたときは、検察官は署名・押印を求めます(同条5項)。これに応ずるかどうかも被疑者の任意です。

検察官作成の被疑者供述調書は、被疑者の署名又は押印があるとき、一定の条件のもとで後に公判廷で証拠(法322条1項)として用いられることがあります。

[参考記事]

検察の「取り調べ」と「供述調書」とは?警察の取り調べとの違い・注意点

(2) 取り調べ後の最終判断のための呼び出し

取り調べが終わって数日後、検察から携帯電話等に電話がかかってくることがあります。
この場合、検察官の呼び出しの目的は最終判断のためということになるでしょう。

すなわち、検察庁から呼び出しがきた場合に考えられることは、検察官が被疑者に対し、起訴(公判請求又は略式命令請求)するか不起訴処分にするかの終局処分をするためということになります。

そして、起訴との判断になったとして、刑種に罰金や科料が含まれている場合には、検察官は公判請求とするのか略式命令請求とするのかの判断が必要になります。

公判請求の場合、公開の法廷で裁判が開かれます。
他方、略式命令請求による場合、簡易裁判所は公判を開かずに、非公開の簡易な書面審理の手続で迅速に罰金刑の手続きを行うことになります。

なお、在宅事件だからと言って必ず略式命令請求になるとは限りません。

[参考記事]

略式起訴・略式裁判で知っておくべきこと|不起訴との違い

2.呼び出しを拒否した場合はどうなるか

被疑者が在宅捜査になっていても、検察庁からの呼び出しを拒否・無視したりすると、被疑者に「逃亡のおそれ」又は「罪証隠滅のおそれ」があると判断され、逮捕されることもあり得ます(法199条2項、規143条の3)。

逮捕されたケースでは、2~3日間にわたり身体拘束されます。その後勾留された場合には10日間から20日間、身体拘束が続きます。
そして、最終的には起訴され刑事裁判となってしまう恐れがあります。

起訴処分となった場合、保釈が認められない限り起訴後勾留が続くことになります。

勾留とは

3.呼び出しへの対応を弁護士に相談するメリット

弁護士は、被疑者から話を聴き、有利な事情を汲んで被疑者に代わり捜査段階から様々な弁護活動をすることができます(例えば、被害者との示談交渉、事件処理を行う検察官に対し被疑者に有利な証拠・情状の伝達等)。

したがって、被疑者にとっては、捜査の初期段階から刑事弁護に詳しい弁護士のアドバイスが得られれば、犯罪の成否だけでなく、処分の見通しも立てやすくなるといえます。

特に、被疑者が在宅事件のまま検察官の取り調べを受けるような場合には、弁護士のアドバイスが重要になってきます。

検察官が在宅のまま被疑者の取り調べを行い、その結果を踏まえて最終的な処分を決するという場合、刑事事件に造詣の深い弁護士であれば、事件処理の在り方として何が予想でき、どのような見通しが考えられるのかについて、被疑者にとって適切なアドバイスをしてくれるからです。

そうであれば、被疑者は検察官の取り調べを受ける前に、どのように供述すべきか、黙秘権を行使するのは得策なのか、虚偽供述をすればどうなるのか、不起訴処分の道はないのかなどについても、弁護士の適切なアドバイスを受けた上、納得して検察官の取り調べに臨むことができることになります。

以上のように、様々な形でアドバイスを受けられる点が、弁護士に相談する最大のメリットです。

[参考記事]

検察の「取り調べ」と「供述調書」とは?警察の取り調べとの違い・注意点

4.まとめ

刑事事件の場合、早めに示談を成立させることで不起訴になる可能性が高まります。

在宅事件で検察官に呼び出されたら(呼び出される前でも)、刑事事件に強い泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。刑事事件に関して無料相談も実施しております。

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