刑事弁護 [公開日]2020年3月18日

警察の内偵捜査・張り込みの仕方|見破るのは難しい?

痴漢や盗撮、窃盗、そして大麻草栽培など、刑事犯罪行為をしてしまい、「いつか逮捕されるのでは?」「警察に見張られているのでは?」と不安になる方は少なくないでしょう。

「警察の内偵捜査や張り込みは、どういった方法で行われるのだろうか?」「今の人は張り込み捜査員ではないだろうか?」というような心配が頭をよぎるかもしれません。

今回は、警察の内偵捜査・張り込みがどのような方法で行われているのか、見破る方法はあるのかという疑問から、今後どうするべきか、弁護士に相談するべきかなど、被疑者の方の正しい対処方法を解説していきます。

1.内偵捜査

(1) 内偵捜査とは

内偵捜査とは、対象者(被疑者や関係者)に知られないよう秘密裏に捜査を進める方法で、任意捜査の一内容です。

「犯罪が行われたのではないか?」と疑われるものの証拠が足りない場合などに、被疑者に気づかれないように周囲から証拠を固めていくために行われます。

あらゆる多様な捜査が含まれると言え、「張り込み」もそのひとつです。

(2) 内偵捜査の具体例

内定捜査では、以下のようなことが行われます。

  • 聞き込み(居宅周辺、職場周辺)
  • 戸籍・住民票取得など官公署への照会
  • 銀行口座の記録取得(万引き品の売却代金、盗撮動画の販売代金の流れを解明)
  • プロバイダーから情報取得(ネット盗撮動画)
  • 店舗内防犯ビデオの解析
  • 自宅やその周辺の撮影(逮捕時の逃走経路を確認)

内偵捜査では、当然ですが調査先に極秘を要請しますし、聞き込みなどは別事件の捜査を装います。

警察官はプロとして内偵捜査の専門技術を習得していますし、若い捜査官であっても長年の捜査活動の中で先輩から受け継がれてきたノウハウを継承していますので、一般の方がこれらを見破るのは難しいでしょう。

2.張り込み

(1) 張り込みとは

張り込みは、一定の場所に待機して対象者の行動を逐一観察し、必要ならば尾行を行って証拠を押さえる捜査方法です。

やはり、犯罪が疑われるけれども証拠が足りない場合などに、被疑者の自宅や職場の近く、被疑者の行きつけの場所、事件に関係すると考えられる場所などで張り込みが行われるケースが多数です。

張り込みの最中に犯罪が行われたら現行犯逮捕される可能性が高くなります。

(2) 張り込みの具体例

張り込みの具体的な手法には、以下のようなものがあります。

①居宅を監視

この場合、被疑者が居宅から移動すると「尾行」へ移行します。

主に痴漢の通勤経路確認、大麻の栽培場所確認、万引きの盗品売却先確認などのために行われます(通称「コウカク(行動確認)」)。

②事務所を監視

出入りする人物をチェックするために事務所を監視する場合もあります。
その人物が誰かを特定する必要が生じれば、①と同じく尾行へ移行します。

③駅や店舗で不特定の対象を監視

現行犯逮捕の目的で、痴漢・スリ・万引き目的の者を監視します。
張り込み中に犯罪が行われたら、現行犯逮捕されるでしょう。

上記のいずれに関しても、警察は捜査のプロであり、好条件の揃った「見つかりにくく観察しやすい場所」をうまく見つけて張り込みを行うようです。

閑静な住宅街での張り込みが必要なケースでは、いくら変装していても、近隣住民ではない警察官が張り込むと目立ってしまいます。
そういったケースでは、協力者に依頼して情報提供してもらう、共犯者や家族などに協力依頼をして被疑者を張り込み場所に誘い出すなどの工夫が行われます。

また、遠方から望遠カメラなどで出入りをチェックできる状況であれば、そういった方法も利用されます。

よって、対象者や通行人などが「張り込みだ」と気づくケースはほとんどないでしょう。

(3) 張り込みの方法

①人数は複数チーム

張り込みは、基本的に複数の人員で対応します。
途中交代して長時間張り込みが継続されるケースもあります。

【利用する車の種類やシチュエーションの工夫】
一般的には、覆面パトカーに男性警察官が2人くらい乗って、対象者を「じっと見つめている」イメージかもしれませんが、そのような状況は不自然です。
実際の張り込みの場面では、マーチなどの通常の車種のレンタカーを利用しているケースが多く、まったく警察官に見えない人が普通に乗車しています。
警察官のイメージとは異なり、ダッシュボードに足を投げて行儀悪く振る舞っているケースや、男女がペアになって恋人同士のフリをしているケースなどもあるようです。
「いかにも警察官」という風な張り込みが行われることはありません。

②期間は目的達成まで

張り込みは基本的に目的を達成するまで行われます(例:一ヶ月間毎日尾行・尾行開始から2日間ずっと尾行など)。

しかし、あまり長くなると警察官の集中力も保たなくなりますので、同じ人が1日〜2日という長時間の張り込みをするケースは少ないでしょう。
この場合、複数人が交代で張り込み続けることになります。

なお、仮に張り込みに気づかれてしまえば終了(打ち切り)となり、任意同行もしくは逮捕に移行します。

(4) 張り込みは気づかれないか

結論から言えば、警察は犯罪の性質や被疑者の家族関係、その他の状況に応じて張り込みの方法を使い分けているため、対象者側から張り込みを「見破る」のは困難でしょう。

年齢や性別も様々な警察官が、日常生活で接する色々な業者や店員(営業マン、勧誘員、工事業者)などに変装することもあり、調査対象者が「これは警察官ではないか?」と見破るのは困難です。
どのような服装、扮装、態度で張り込みしているか、対象者の側からは予測がつきません。

そもそも対象者に知られたら、張り込みは無意味なものになります。「気づかれない」ことが最優先なので、容易に見破れるような方法で張り込みが行われる可能性は0と考えるべきです(捜査機関は、気づかれそうになると張り込みをストップします)。

3.内偵捜査、張り込みが心配なら弁護士に相談を

犯罪行為をしてしまったら、警察の内偵捜査・張り込みが心配になるのも当然です。
しかし、内偵捜査(張り込み)は非常に高度な技術を駆使して行われているので、素人が自分で見破ろうとしてもほとんど不可能です。

不安な気持ちを抱えたまま日常生活を送るのも苦しいでしょう。知らない番号で携帯電話に着信があるたびに「警察からの呼び出しでは?」とおびえたり、「職場に逮捕に来られるかもしれない」と心配したりしているようでは、通常の生活も侭なりません。

もし、身に覚えがあって逮捕が不安なら、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか?

また、弁護士であれば、実際に警察や検察に呼び出しをされた・逮捕されたという時にも、取り調べに関して適切なアドバイスが可能です。

刑事事件に詳しい泉総合法律事務所の弁護士に、ぜひ一度ご相談ください。

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