国選弁護人がやる気なし?解任を申し出たい場合はどうすればいいか

刑事弁護士

国選弁護人がやる気なし?解任を申し出たい場合はどうすればいいか

刑事事件で裁判まで発展してしまった場合、経済力のない被告人には国選弁護人が裁判所より選任されます。

この国選弁護人とどうしても気が合わない・やる気が感じられない等の理由で解任したいと思った場合、それは可能なのでしょうか?

1.国選弁護人とは

(1) 国選弁護人と私選弁護人の違い

ある被告人の弁護を引き受けた弁護士のことを「弁護人」と言います。

被告人が自分で弁護士を選び、刑事弁護をしてもらう契約をした弁護士のことを「私選弁護人」と言います。

一方、私選弁護人をつけることができない被告人には、国(裁判所)が弁護人を選任します。国から刑事弁護を依頼された弁護人は、「国選弁護人」と言います。

①弁護人なしの刑事裁判は不可能

起訴された後、起訴前に弁護人がついていない人のうち、必要的弁護事件(死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役または禁錮刑が定められている犯罪の被告事件)の被告人については、資力に関係なく、私選弁護人をつけない人には国選弁護人がつけます。そうしなければ、刑事裁判を行うことができないと刑事訴訟法に定められているからです。

それ以外の軽微な事件では、資力のない人に国選弁護人をつけることになっています。実務上、国選弁護人をつけずに刑事裁判を行うことはほぼありません

(2) 国選弁護人の選任方法

国選弁護人が必要な場合、裁判所は、法務省管轄下の日本司法支援センター(通称「法テラス」)にこの被告人に国選弁護人が必要ですから、国選弁護人を指名してくださいという通知を出します。

日本司法支援センターは、あらかじめ、国選弁護人を引き受けてもいいと言っている弁護士(日本司法支援センターと契約している弁護士)の名簿の中から弁護士を選んで裁判所に指名通知します(もちろん、個々の案件を引き受けてくれるかについて、弁護士に事前に確認はしています)。

裁判所は、指名通知を受けた弁護士を国選弁護人に選任します。

(3) 国選弁護人はやる気がない?

「国選弁護人はやる気がない」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは本当なのでしょうか?もし、本当だとしたら、そう言われるのはなぜなのでしょうか?

実際は、国選弁護人でも、きちんとした弁護活動をしてくれる弁護士はたくさんいます
しかし、残念ながら、国選弁護人だからという理由で、私選弁護人の場合と比べると、それほど熱心には弁護活動をしない弁護士も確かに存在します。

かつては、起訴されてから、裁判の日まで1回も被告人に面会せずに(つまり、何も打ち合わせせず、被告人の言い分も聞かずに)、刑事裁判の法廷で弁護をしていた国選弁護人もいたなどという話も聞いたことがあります。

さすがに、現在はそこまで極端な国選弁護人はいないと思いますが「私選と国選では、力の入れようが違う」弁護士は少なからず存在すると言われます。

これは、国選弁護人の報酬が、私選弁護人の報酬よりも極端に安いことが原因です。

2.国選弁護人の費用

(1) 国選弁護人の報酬は誰が支払うのか

国選弁護人は、報酬を国から受けとります。実際には、法律援助事業を委託されている日本司法支援センターが、支払いの基準に則って支払いをします。

国選弁護人の報酬は、「訴訟費用」の一つです。「訴訟費用」には、その他に精神鑑定の費用や証人の日当なども含まれます。

①被告人の負担となる場合

裁判所は、被告人に有罪判決を言い渡すときには、この「訴訟費用」を被告人に負担させるかどうかも決めます。
訴訟に出てきた事情一切から見て、訴訟費用を負担できると考えられる被告人に対しては、判決の言い渡しのときに、「訴訟費用は被告人の負担とする」という言い渡しをします。

この言い渡しを受けた被告人は、訴訟費用(弁護士の報酬や鑑定費用等)を負担することになります。なお、訴訟費用の一部の負担を命じる、例えば、鑑定の費用は負担させないが、国選弁護人の費用は負担させるという言い渡しを受けた事例もあります。

国選弁護人の報酬は、国(日本司法支援センター)が計算しますので、弁護士が決めるということはありません。計算基準は、弁護士会と日本司法支援センターの合意によって決められています。

被告人は、裁判所で、決められた訴訟費用の支払いをします。国選弁護人に直接払うことはありません。

②被告人の負担が免除される場合

一方、判決の言い渡しの中に「訴訟費用は被告人の負担とする」という言い渡しが含まれていなかった場合は、被告人には、訴訟費用の負担はさせないということですから、国選弁護人の費用は免除されます(国選弁護人へは、税金や弁護士会からの寄付金から報酬が支払われます)。

また、無罪判決を受けた人は、原則として、訴訟費用を負担させられることはないので、国選弁護人の費用を払う必要はありません。

(2) 国選弁護人の報酬の相場は?

国選弁護人の報酬は、その案件によって変わります。例えば、覚せい剤所持や暴行罪など裁判員裁判の対象にならないような比較的軽い犯罪であれば、基本の金額は7~8万円です。

裁判の回数が多くなれば、その分の加算がありますし、示談が成立したり、保釈が認められたりした場合にも、多少の加算がありますが、弁護士が弁護活動にかける時間や労力に見合ったものとはとても言えないことが多いのです。

しかも、国選弁護人の報酬は、基本的な経費込みです。国選弁護人の報酬の中から、交通費や裁判記録のコピーの費用などを支出していると、実質的にはほとんど手元に残らないこともあります。

かつては、お金のない人の国選弁護事件で、無罪を争うような事件、複雑な事件などでは、受け取る報酬よりも経費の方が上回って、弁護士の持ち出しになることもあり「手弁当」だと言われていました。

このような状況から、弁護士としても、国選弁護事件は、多少、ボランティア(社会貢献)だという気持ちがなければやれないという側面もあり、これが、国選弁護人のやる気を奪ってきたと言えます。

もっとも、裁判員裁判が導入されてから、国選弁護人の報酬には改善があり、裁判員裁判事件については、必ずしも、私選弁護の場合の報酬より安いとはいえない場合もあります。

3.国選弁護人の解任はできるのか

国選弁護人は、自分が依頼し、契約した弁護人ではありませんから、自分で解任することはできません
国選弁護人は、国(裁判所)から弁護を依頼されていますので、国選弁護人を解任できるのは裁判所です。そこで、国選弁護人を解任したい場合には、裁判所に解任請求をすることになります。

刑事訴訟法第38号の3の第1項では、下記のとおり解任できる場合が定められています。

  1. 第30条(弁護人の選任権)の規定により、弁護人が選任されたことその他の理由により弁護人を付する必要がなくなったとき
  2. 被告人と弁護人との利益が相反する状況にあり弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき
  3. 心身の故障その他の事由により、弁護人が職務を行うことができず、又は職務を行うことが困難なとき
  4. 弁護人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき
  5. 弁護人に対する暴行、脅迫その他の被告人の責めに帰すべき事由により弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき

実務上では、国選弁護人を解任請求しても、ほとんど認められないのが現状です。 はっきり言うと、国に弁護人をつけてもらっているのだから、多少のことは我慢するべきだということです。

また、国選弁護人の解任請求を繰り返すことによって、訴訟を遅延させようとする被告人などもいるため、裁判所としても簡単に解任請求は認めるわけにはいかないのです。

①国選弁護人からの辞任について

なお、これは、国選弁護人の側から見ても、辞めたい・やりたくないと思っても、簡単に解任してもらえないということでもあります。国選弁護人は、上記5号のように被告人から暴行や脅迫を受けたような極端な場合でなければ、辞任できません。

これは、弁護士が「辞めたい」というのを簡単に認めていたら、問題がある被告人の国選弁護人になる人がいなくなるので、一旦引き受けた以上は、よほどのことがない限り、最後(第一審の判決言い渡し)まで弁護してくださいということです。

このように、国選弁護人は、なかなか解任できないので、どうしても、解任したい場合には、上記1号の私選弁護人へ変更するという手段を取ることになります。

また、仮に国選弁護人の解任が認められたとしても、次に選任される国選弁護人がどのような弁護士かは分かりません。そして、そのような手続きをしている間にも、裁判の準備をするための期間が奪われていきますし、保釈されていない状態なら、身柄拘束が長引くだけです。

それならば、自分や家族がこの人にお願いしたいという弁護士を私選弁護士として契約した方が、早く自分のための弁護活動が開始するでしょう。

4.私選弁護人は泉総合法律事務所の弁護士へ

国選弁護人は原則として解任できませんが、私選弁護人に代えることはできます。

泉総合法律事務所は、私選弁護の重みを十分に意識して、どの弁護士も刑事弁護に力を入れており裁判となっても執行猶予付き判決や無罪判決を目指して全力で取り組みますので、逮捕され起訴されてしまった場合にもぜひご相談ください。

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