刑事弁護 [公開日]2017年9月1日[更新日]2021年1月28日

刑事告訴されたらどうなる?手続きの流れをわかりやすく解説

告訴」という言葉はよく聞くかと思いますが、具体的にどのような意味合いなのかご存知ない方も多いと思われます。

ここでは「告訴」の正確な意味を確認し、告訴されたらどうなるのか、告訴を避けるためにはどうすればいいのかなどを解説していきます。

1.刑事告訴とは

(1) 告訴とは

告訴とは、犯罪被害者等の告訴権者が、警察官や検察官などの捜査機関に対して特定の犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求める意思表示を言います(刑事訴訟法第230条)。

告訴は、書面(告訴状)で捜査機関に対して提出することも、口頭で行うこともできます(241条1項)。口頭で告訴する場合には、捜査機関が告訴の調書を作成することになっています(241条2項)。

告訴することができる者は、被害者本人と被害者の法定代理人となっています(230条、231条1項)。
例えば、未成年者が被害者の場合には、直接本人が告訴しなくとも法定代理人である親が告訴することができます。

法定代理人が被疑者のとき、法定代理人が被疑者の配偶者などであるときには、被害者の親族が告訴できます(232条)。

被害者が死亡したときは、被害者の明示した意思に反しない限り、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹が告訴できます(231条2項)。

(2) 告発・被害届との違い

これに対して、告訴権者及び犯人以外の者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告して犯罪者の処罰を求める場合を「告発」といいます(239条1項)。

また、「被害届」は、犯罪被害に遭った者がその事実を捜査機関に伝えるものです(犯罪捜査規範61条)。犯罪者の処罰を求める意思表示が含まれていない点が、告訴との違いです。

[参考記事]

被害届を出されても示談で取り下げてもらうことはできるのか?

2.告訴された場合の刑事手続きの流れ

告訴状が捜査機関に提出された場合には、捜査機関は受理義務を負うとされています。

ただし、「告訴状」と名が付けば、どんな告訴状も受理しなくてはならないわけではありません。受理義務を負うのは適法な告訴に限ります

例えば、公訴時効が完成している場合や告訴期間を過ぎている場合はもとより、犯罪事実の特定を欠き、趣旨不明の場合などは不受理扱いが許されます(※1)。

裁判例でも、告訴の申立にかかる犯罪が成立しないことが明らかな場合(※2)、被害者が告訴の意思を明確に表示していない非親告罪の告訴(※3)、記載内容が不明確で特定を欠くのに、告訴人が補正に応じない場合(※4)などに受理しないことは違法でないとされています。

※1:元最高検察庁刑事部長検事・弁護士幕田英雄「実例中心・捜査法解説(第3版補訂版)」(東京法令出版)68頁
※2:大阪高裁昭和59年12月14日判決(判例タイムズ553号246頁)
※3:東京高裁昭和57年2月18日判決(判例時報1041巻68頁)
※4:高松高裁昭和58年11月18日判決(高等裁判所刑事裁判速報集417)

また、告訴状が警察に受理されれば、たとえ軽微な犯罪であっても、警察が微罪処分とすることは許されず、必ず事件に関する書類と証拠物を速やかに検察官に送付しなくてはならないと義務づけられているように、実際の捜査が開始されます(刑訴法242条)。

捜査によって被疑者が特定され、逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れがあると警察が判断した場合、警察は被疑者を逮捕します。

まずは、逮捕状の発布を裁判所に申請します。裁判所が犯罪を犯したと疑う相当な理由があり、逃亡や罪証隠滅の危険があって逮捕の必要ありと判断すれば、裁判所は逮捕状を発布します。警察は逮捕状を執行して被疑者を逮捕し、取り調べをすることになります。

逮捕されてから48時間以内に被疑者の身柄は検察官に送致されます。検察官が取り調べを行い、逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れの有無を判断し、裁判官に勾留請求をするか、直ちに起訴するか、それとも釈放するかを決めます。勾留請求をする場合には、送致から24時間かつ逮捕から72時間以内に請求しなくてはなりません。

勾留請求を受けた裁判官は、被疑者質問を実施したうえで、逃亡や証拠隠滅の危険があると判断すれば、勾留状を発布して、勾留請求の日から10日間の身柄拘束を認めます。捜査の必要性などによるやむを得ない事由があれば、検察官の請求によって、さらに10日間を上限とする勾留延長も認められます。

こうして勾留期間は、勾留請求の日から20日間が最大限となり、勾留期間が満了するまでに、検察官は公訴を提起するか否かを判断します。公訴を提起しないときには釈放しなくてはなりません。

なお、公訴の提起には、公開の法廷での正式裁判を裁判所に求める公判請求と、書類上の手続だけで罰金を命令する略式手続を裁判所に求める略式起訴(略式請求)があります。

略式起訴について
公判請求について

なお、検察官が起訴・不起訴処分をした場合には、速やかにその旨が告訴した者に通知されます(260条)。不起訴処分としたときに、告訴した者からの請求がある場合には、処分の理由も通知しなければなりません(261条)。

なお、告訴された被疑者に犯罪の嫌疑があるものの、逃亡や証拠隠滅の恐れがない場合には、身柄を拘束することなく、捜査が進められます。これを「在宅事件」と呼びます。

この場合、警察、検察から呼び出しを受けたときに出頭して、取調を受けることになります。捜査が終了すると検察官が起訴・不起訴の判断をしますが、身柄拘束されたときのような期間制限はありませんから、検察官の処分が決まるまで数ヶ月から数年を要する場合もあります。

3.処罰に告訴が必要な「親告罪」とは

犯罪には、告訴がないと起訴できない「親告罪」というものがあります。これは、被害者ら告訴権者の意思を尊重するものや、国家権力の介入よりも当事者間での解決が望ましいなどの趣旨によるものです。

以下、具体的に親告罪とされている犯罪を紹介します。

親告罪としては、

①事実が公になると、プライバシー侵害など被害者に不利益が生じるおそれのあることから親告罪としているものがあります。

これらには、未成年者略取・誘拐罪(刑法229条本文、224条)、名誉毀損罪・侮辱罪(同法232条、230条・231条)信書開封罪・秘密漏示罪(同法135条、133条・134条)があります。

②罪責が比較的軽微であり、被害者の意思を尊重するべきとして親告罪としているものがあります。

過失傷害罪(刑法209条)、私用文書等毀棄罪・器物損壊罪・信書隠匿罪(同法264条、259条・261条・263条)です。

③親族間のトラブルであるため司法が介入するのはできるだけ避けるべきだとの考えにより親告罪とされている犯罪として、親族間の窃盗罪・不動産侵奪罪(刑法244条2項、235条・235条の2)、親族間の詐欺罪・恐喝罪等(同法251条・244条2項準用、246条、249条など)、親族間の横領罪(同法255条・244条2項、252条など)などがあります。

親告罪の告訴は、原則として、犯人を知った日から6ヶ月以内に告訴をしなければならないとされています(刑訴法235条)。

【性犯罪の非親告罪化】
平成29年7月13日の刑法改正で、性犯罪の厳罰化の見地から、強制わいせつ罪や強制性交等罪(旧強姦罪)が非親告罪とされました。親告罪では起訴不起訴が被害者の意思にかかるために重い精神的負担を課すことになり、さらに被害者がプライバシー侵害など、いわゆるセカンドレイプの問題から告訴をためらって泣き寝入りする事例が多いため、これらを防ぐ目的があります。

4.告訴を避けるための示談交渉

不起訴処分となるためには、示談は非常に重要です。

起訴に告訴を要する親告罪では、刑事弁護の依頼を受けた弁護士が被害者など告訴人と示談交渉を行い、示談の内容として告訴を取消す約束を取り付けます。

通常、示談金を現金や預金小切手で支払うのと引き換えに、被害者側が署名押印した「告訴取下書」を受け取り、弁護士が告訴取下書を検察官に提出することで、確実に告訴が取り下げられるようにします。

当然、不起訴となりますので刑事裁判となる心配はありません。

非親告罪のケースでも、示談が成立し、告訴が取り下げられたという事実は被疑者に有利な事情として考慮されますから、検察官が不起訴処分とする可能性が高まります。

[参考記事]

刑事事件における示談の意義、タイミング、費用などを解説

5.告訴される可能性のある方へ

何らかのトラブルを起こし、今後、告訴される可能性がある方は、示談交渉などの対応策をできるだけ早くスタートできるよう、弁護士に相談することを早めに検討するべきです。

刑事弁護の経験が豊富な泉総合法律事務所にご依頼ください。
事務所の方針として、当所の弁護士は全員が刑事弁護に取り組むことになっており、各弁護士の刑事弁護スキルは高いと自負しております。

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