禁固刑、懲役刑はどちらが重い?違いと刑務所での生活について解説

刑事事件用語

禁固刑、懲役刑はどちらが重い?違いと刑務所での生活について解説

罪を犯してしまった場合、禁固刑・懲役刑などの刑が科せられる場合があります。

それでは、これらは具体的にどのような刑罰で、それぞれどんな違いがあるのでしょうか。

1.禁固、懲役の違い

禁固とは、受刑者を刑事施設に拘置する刑をいいます(刑法13条)。また、懲役とは、受刑者を刑事施設内で拘置し、所定の作業を行わせる刑をいいます(刑法12条)。

禁固も懲役も刑の自由刑(国民の身体の自由を拘束する刑)の一種です。しかしながら、懲役は、規則的労働(定められた刑務作業のこと)を強制されるのに対し、禁固は規則的労働を強制されることはありません

歴史的沿革からして、禁固は政治犯等を対象とする刑であり、名誉拘禁的な性格があることから、規則的労働を強制されることがないとされているようです。

(1) 禁固と懲役ではどちらが重い刑か

刑法9条及び10条によれば、刑の順序は、重い順に死刑、懲役、禁固、罰金、拘留及び科料と規定されていますので、懲役が禁固より重いとされています。

ただし、無期の禁固と有期の懲役と比較した場合と、有期の禁固の長期が、有期の懲役の2倍を超える場合には、禁固が重い刑となります。

(2) 執行猶予との関係

執行猶予とは、有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予し、その間に刑に服さないことを条件として刑罰権を消滅させる制度です。

初回の執行猶予(刑法25条1項)の要件としては、3年以上の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金の言い渡しを受けた場合とされており、また再度の執行猶予の要件としては1年以下の懲役又は禁固の言い渡しを受けたことが要件とされており、これら意味では懲役も禁固も異なるところがありません。

ちなみに、再度の執行猶予の場合では、保護観察は必要的になります(刑法25条の2)。

(3) 仮釈放との関係

仮釈放とは、懲役・禁固の執行を受けている者に改悛の状があるとき、刑期満了前行って一定の時期に条件付きで釈放する制度です(刑法28条)。

有期の懲役又は禁固の処せられた者の仮釈放も刑期の3分の1を経過した場合に行うことができますので、この意味では、禁固も懲役も異なるところがありません。

(4) 累犯との関係

累犯とは、犯罪を重ねるうちに一定の要件を備えることにより刑が加重されることをいいます。累次反復するごとに再犯、3犯、4犯等をいわれ、その総称が累犯です。

懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内にさらに罪を犯した場合で、その者を有期懲役に処す場合には、再犯として刑が加重されます(刑法56条1項)。

そうすると、禁固の処せられた者が、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内にさらに罪を犯し、その者を有期懲役に処す場合には再犯として刑が加重されません。

また、懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその免除を得た日から5年以内にさらに罪を犯した場合で、その者を禁固の処す場合には、再犯として刑は加重されません(例えば有期禁固の場合に再犯加重を否定した最高裁判所昭和32年2月21日決定があります。)。

2.禁固・懲役期間中の生活

(1) 面会について

親族等との面会について、懲役の刑に処せられた受刑者(懲役受刑者)と禁固の刑に処せられた受刑者(禁固受刑者)は、その態様、制限等について異なるところはありません。

すなわち面会は、親族等が面会の申出でをした場合に認められるもので、その時間、場所、回数及び態様について刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上の必要な制限があります。

(2) 文書の閲覧について

基本的には懲役受刑者も禁固樹形者も、自らの費用で支弁した書類等を閲覧することはできますし、その閲覧に関し、刑事施設の管理上必要な制限を課させられることについても変わるところはありません。

(3) 刑務作業について

懲役の刑に処せられた受刑者(懲役受刑者)は、刑務所内で、刑務作業が強制されます。

刑務作業は、刑法に規定された懲役刑の内容であるとともに、受刑者の矯正及び社会復帰を図るための重要な処遇方策の一つです。受刑者に規則正しい勤労生活を送らせることにより、その心身の健康を維持し、勤労意欲を養成し、共同生活における自己の役割・責任を自覚させ助長するとともに、職業的知識及び技能を付与することにより、円滑な社会復帰を促進することを目的とされています。

刑務作業の種類は、①生産作業②社会貢献作業③職業訓練④自営作業の4つがあります。

①生産作業

生産作業は、以下のAないしCの作業です

(A)製作作業:生産に用いる原材料の全部又は一部が国の物品である作業

(B)事業部作業:生産に用いる原材料の全部又は一部が事業部物品である作業

(C)提供作業:生産に用いる原材料の全部が契約の相手方から提供された物品である作業又は国が被収容者の労務のみを提供して行う作業

②社会貢献作業

社会貢献作業は、労務を提供する作業であって、社会に貢献していることを受刑者が実感することにより、その改善更生及び円滑な社会復帰に資すると刑事施設の長が特に認めるもので、矯正局長が認可した作業です。

③職業訓練

職業訓練は、受刑者に免許若しくは資格を取得させ、又は、職業的知識及び技能を修得させるための訓練を行っています。

④自営作業

自営作業は、経理作業(炊事、洗濯、清掃等の施設の自営に必要な作業)と営繕作業(施設の改修等直営工事に必要な作業)に分かれます。

他方、禁固刑に処せられた受刑者(禁固受刑者)は、刑務作業を強制されることはありません。しかしながら、禁固受刑者で会っても自発的に刑務所長に申し出て、刑務作業を行うことができます。

そうすると、懲役受刑者も禁固受刑者も刑務作業ができるという意味では異なるところはありません。

なお、刑務作業については作業報奨金が受刑者に支給され、刑務作業を行ったのが懲役受刑者であろうと、禁固受刑者であろうとその額は異なるところはありません。

3.禁固刑・懲役刑となる罪

具体的に、どのような犯罪だと禁固刑・懲役刑となるのでしょうか。

(1) 懲役刑がなく禁固刑のみの犯罪

内乱に関する罪として、内乱罪(刑法77条)、内乱予備・陰謀(刑法78条)内乱等ほう助(刑法79条)があります。

次に、国交に関する罪として私戦予備・陰謀(刑法93条)、中立命令違反(刑法94条)があります。

このように禁固刑のみが規定されている犯罪を一見すると政治犯的な傾向が高いようです。

(2) 懲役刑及び禁固刑の双方がある犯罪

公務執行妨害罪(刑法95条)、公務員職権濫用罪(刑法193条)、特別公務員職権濫用罪(刑法194条)、特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条)、名誉棄損罪(刑法230条)などがあります。

(3) 懲役刑のみの犯罪(例示列挙)

例えば、殺人罪(刑法199条)、強盗罪(刑法236条)、傷害罪(刑法204条)、暴行罪(刑法208条)などがあります。

4.実刑を免れるためには弁護士に相談を

禁固刑・懲役刑では、確かに禁固刑の方が軽いという意味合いになりますが、禁固刑でも自由を奪われて何もすることができず、退屈な思いをすることになるでしょう。

裁判となってしまっても諦めず、実刑を免れて執行猶予となるために、刑事事件の弁護に強い泉総合法律事務所の弁護士にお早めにご相談ください。

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