交通事故 [公開日]2018年1月24日[更新日]2021年6月4日

飲酒運転で呼び出し!?逮捕後の流れ

飲酒運転に対する取り締まりは年々厳しくなってきています。
厳罰化も進められているので、「たかが飲酒運転」と軽く考えていると、思ってもみなかったような重大な刑罰を適用される可能性もあるので注意が必要です。

特に、飲酒した状態で人身事故を起こすと、その場で現行犯逮捕される可能性が高いです。また、その場で逮捕されなくとも、後に警察から呼び出しがかかり捜査に協力するよう要請されるでしょう。

以下では、飲酒運転で逮捕される場合、その後の流れ、警察から呼び出された場合にすべきことなどについて、刑事事件に詳しい弁護士が説明します。

1.飲酒運転で逮捕される場合

飲酒運転をしたからといって、必ず逮捕されるわけではありません。在宅のまま捜査が進む場合もあります。

もっとも、以下で説明するようなケースでは、悪質な犯罪であるとして逮捕されることが多いです。

なお、飲酒運転をした場合に成立する犯罪についての詳しい説明は、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

飲酒運転で適用される刑罰

(1) 人身事故を起こした

まずは、飲酒状態で人身事故を起こしたケースです。

人身事故の原因がたんなる不注意であったときは「過失運転致死傷罪」、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態などでの運転行為が原因であったときは「危険運転致死傷罪」が成立します。

飲酒運転には、そのアルコール摂取量に応じた「酒気帯び運転」と酩酊の程度に応じた「酒酔い運転」の二種類がありますが、そのどちらであっても、道路交通法違反の犯罪です。

まして飲酒した状態で人身事故を起こすと悪質な犯行と評価され、逃亡や証拠隠滅の可能性も高いと判断されることが多いので、逮捕されてしまう可能性が高いと言えます。

さらにアルコールの影響で正常な運転が困難な状態などであるにも係わらず、自動車を走行させて人身事故を起こせば、あおり運転などがなくとも、それ自体で「危険運転致死傷罪」となります。

なお、アルコールの影響で正常な運転に支障が生じるおそれがあるのに運転して「過失運転致死傷罪」を犯した場合に、飲酒運転と発覚しないようにその場で酒を飲んでみせたり、その場を離れて水を飲み身体に保有するアルコールの濃度を減少させようとしたりした場合は「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」として、さらに重く処罰されます。

(2) ひき逃げをした

飲酒運転か否かにかかわらず、ひき逃げをすると逮捕されることが少なくありません。
逃亡の恐れがある被疑者の身柄を確保することも逮捕の目的であり、ひき逃げ犯の場合、現実に逃げているからです。

ひき逃げは、最終的に多くの事件では立件されます。人体との衝突によって破損した車両の部材・部品・塗装など豊富な物証が事故現場に残ること、Nシステムや街中の防犯カメラの普及によって映像による逃走経路の追跡が容易になったことなどから、加害車両を特定しその行方を追うことは困難な捜査ではなくなったからです。

ひき逃げは、それだけで事故の責任とは別に、被害者を助けなかった救護義務違反に問われますし、飲酒して人身事故を起こし逃げたとなると、情状としては非常に悪く、重い刑罰を覚悟しなくてはなりません。

[参考記事]

ひき逃げの罪-必ず後日に検挙されて逮捕される?弁護士必須の重大事件

(3) 同種前科がある

軽い酒気帯び運転の場合でも、同種前科がある場合には要注意です。

何度も酒気帯び運転を繰り返している場合、以前にも飲酒状態などによって交通事故を起こしている場合などには、逮捕される可能性が極めて高くなります。

飲酒運転以外でも、過去に道路交通法違反行為を頻繁に繰り返しているケース(例えば、無免許運転やスピード違反など)では、逮捕される可能性が高くなるでしょう。

2.逮捕された後の流れについて

上記のようなケースで逮捕されてしまった場合、まず、逮捕後48時間以内に検察官のもとに身柄を送られます。
そして、その後24時間かつ逮捕から72時間以内に、検察官によって裁判所に勾留請求が行われます。

検察官により勾留請求がなされても、裁判官によって勾留の必要がないと判断された場合には、勾留されることなく釈放されることもあります。しかし、住所不定であったり、逃亡・証拠隠滅の可能性があると判断されれば、裁判官に勾留決定されてしまうでしょう。

その後、勾留請求の日から最大20日間の勾留期間の満了までに、検察官は被疑者を起訴するか否かを決定します。起訴となった場合には刑事裁判となります。

[参考記事]

逮捕から起訴・不起訴の決定までの流れ

【逮捕されない場合のその後の流れ】
飲酒運転が発覚しても、その場で逮捕されない場合があります。その場合には、在宅のまま事故の捜査が行われます。後日、警察署や検察庁から呼び出しがかかるでしょう。
呼び出しがかかった場合、警察署での取り調べや事故現場での実況見分等が行われます。検察庁でも取り調べを受けることになります。警察・検察からの呼び出しに応じないと、逃亡や罪証隠滅の恐れありと判断され逮捕される可能性があるので、呼び出しにはしっかり応じましょう。

3.不利益を小さくするためにすべきこと

飲酒運転で事故を起こしてしまった場合、逮捕・勾留され、最終的には懲役刑を課される可能性が高いです。また、仮に執行猶予が付されたり、罰金刑がついたとしても前科はついてしまいます。
被疑者としては、必要以上の不利益を受けることを避けなければなりません。

では、逮捕後に被疑者ができる対応策にはどのようなものがあるのでしょうか。

(1) 勾留を避ける

まずは、逮捕後の勾留を避けることです。
事故現場では逮捕されたものの、被疑者の酒が抜けて落ち着いてみると、本人は真面目で定職があり、家族がいて監督が期待できることなどが判明するケースがあります。

そのような場合は、勾留されずに釈放されることもあります。

こうした被疑者に有利な事情について、弁護士がしっかりと検察官や裁判官に伝えて納得させることで、釈放される可能性が高くなります。

(2) 被害者と示談する

また、人身事故を起こしてしまい被害者がいる場合には、被害者と示談を成立させることも重要です。

示談が成立すると、被疑者や被告人の情状が非常に良くなるので、処分を軽くしてもらえる可能性が高くなります。

ただ、人身事故における示談交渉は、被害者の怪我が治るか、症状が固定して損害額が確定してからでないと進めることはできませんから、通常は勾留満期には間に合いません。
逮捕勾留されている事件では、起訴後の公判において有利な情状とするために示談を目指すことになります。

他方、在宅事件の場合は、検察官が起訴・不起訴の判断を下す前に示談をまとめることを目指します

なお、刑事処分においては、示談によって「被害者から宥恕を得られたか」否かが重要です。宥恕(ゆうじょ)とは、「許す」ということです。
適正な損害賠償金を支払っても、被害者が「お金は受け取るものの、厳しい処罰を望んでいる」という場合は、示談の効果も限定的となってしまいます。

損害賠償金(示談)を受け取ってもらうだけでなく、「宥恕する」「寛大な処分を願います」「刑事処分を望みません」などの宥恕文言と呼ばれる、被害者の処罰感情がなくなったことを示す文言を示談書に記載してもらうことがベストなのです。

そのためには、示談交渉を保険会社任せにせず、弁護士に依頼する必要があります。保険会社の示談代行は、あくまでも民事上の賠償金額を決めるための話し合いであって、保険会社は被害者の「宥恕」を得るために活動してくれるわけではないからです。

[参考記事]

刑事事件の示談の意義・効果、流れ、タイミング、費用などを解説

以上のように、飲酒運転のケースでは、弁護士(刑事弁護人)が効果的な弁護活動を展開することにより、被疑者であれば不起訴処分を勝ち取り、被告人であれば実刑ではなく、罰金刑や執行猶予判決を得ることにつながります。

4.飲酒運転で逮捕されたら泉総合法律事務所へ

飲酒運転は年々厳罰化されており、人身事故を起こしてしまった場合はほとんどのケースで逮捕されてしまうでしょう。
逮捕されてしまったら、不起訴処分や執行猶予判決を得るためにも、刑事弁護に強い弁護士によるサポートを受けることをお勧めします。

飲酒運転をしてしまったという方は、お早めに泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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