尿検査で薬物反応が出たら絶対に逮捕・起訴?検査結果を争えるのか

薬物事件

尿検査で薬物反応が出たら絶対に逮捕・起訴?検査結果を争えるのか

大麻や覚せい剤など違法薬物に関する犯罪を疑われている場合、警察から尿検査を求められることがあります。

このような時、尿検査を拒否することはできるのでしょうか。また、尿検査で薬物反応が出た場合、自分は覚せい剤を使っていないと争うことができるのでしょうか。

以下、尿検査と薬物事件について解説していきます。

1.尿検査で薬物反応

尿検査で覚せい剤や大麻の成分を示す薬物反応が出てしまった場合、どうなるのでしょうか。

このような場合、その検査結果はその人が違法な薬物を使用したことを強くうかがわせるものですので、検査結果をもとに逮捕・勾留されたり、裁判になった場合は有罪と認定されたりするおそれがある重要な証拠となります。

2.尿検査の拒否は可能か

では、尿検査を拒否することはできるのでしょうか。

警察が裁判所に対して採尿のための令状を求め、裁判所が発付した場合、強制採尿を行うことができます(裁決昭和55年10月23日刑集34巻5号300頁)。

具体的な方法としては、医師が尿道にカテーテル(導尿管)を挿入して、体内から強制的に尿を採取するというものです。

この令状は、「被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合に」発付されることになっています。

例えば、自宅の捜索差押で違法薬物が見つかった場合や、すでに先に捜査を受けている違法薬物の売人の携帯電話やメモ等の記録にその人の連絡先が記載されている場合などは、濃厚な嫌疑があるとして、その他の事情も考慮したうえで、強制採尿の令状が発付される可能性があります。

このような場合、強制なので当然拒否することはできません。

3.尿検査の結果を争うことができるのか

では、尿検査で薬物反応が出てしまった場合、自分は覚せい剤を使っていないと否認することはできるのでしょうか。

覚せい剤の使用の罪は「故意犯」ですので、覚せい剤を含む違法薬物であると認識して、これを自ら使用した場合に成立します。したがって、知らない間に体内に入ってしまった、誰かに無理矢理入れられたという場合は、犯罪は成立しません。

しかし、そのような主張がなかなか認められないのも事実です。東京高等裁判所の裁判例(平成19年2月28日高等裁判所刑事裁判速報集平成19年143頁)では、

「覚せい剤は、法律上その取扱いが厳格に制限され、取扱資格者でない者は、その使用、所持及び譲渡が禁止され、その違反に対しては厳罰をもって取締りがなされている薬物であるため、一般の日常生活において、それが覚せい剤であると知らないうちに誤って体内に摂取されるというようなことは通常ではあり得ないことである。したがって、被告人の尿中から覚せい剤が検出された場合には、他人が強制的に、あるいは被告人不知の間に、覚せい剤を被告人の体内に摂取させたなどの被告人が覚せい剤を使用したとはいえない特段の事情が存在しない限り、経験則上、被告人の尿中から覚せい剤が検出されたということのみで、被告人が、自らの意思に基づいて覚せい剤をそれと認識した上で摂取したものと推認するのが相当である。」

と判示しています。

つまり、尿から覚せい剤の成分が検出された場合は、原則として、その故意があったと推定されるというものです。

刑事裁判では、全ての立証責任は検察官が負いますので、知らない間に覚せい剤の成分を摂取したことがないこと、あるいは他人に強制的に覚せい剤の成分を摂取させられたことがないことを検察官が立証しなくてはならず、嫌疑をかけられた方の方でそのようなことがあったことを立証する必要はないのですが、上記の判示からすると相当な困難が伴うということです。

4.実際に釈放された事例

もっとも、当事務所の弁護士が担当した事件で、覚せい剤の使用の被疑事実で逮捕・勾留されたものの起訴されずに釈放されたものがあります。

これは、被疑者の女性が覚せい剤を使用したものの、男性から体を抑えられ無理矢理注射を打たれたという事件でした。その女性と男性が性行為を行う前に、男性が覚せい剤を使って女性の性的な快楽を増進させようとしたのか、覚せい剤を注射したというもので、これを裏付けるように、血管をはみ出して注射針が挿入されたにもかかわらず、そのまま覚せい剤が注入されたせいか、女性の腕の一部は青く変色した様子がうかがわれました。

この事件では、当所の弁護士が、すでに警察が腕の変色部分を写真撮影したことを女性から確認し、取調べには黙秘を貫いてもらい、弁護士の方から女性の言い分を検察官に伝えました。その結果、起訴されることなく勾留の満期で釈放されました。

5.薬物犯罪の弁護も泉総合法律事務所へ

警察の捜査で供述調書を作成されてしまうと、その内容を後で争うことは困難です。大麻や覚せい剤等の違法薬物に関する嫌疑をかけられている場合、捜査への対応や今後の手続きの進み方等に関しても、薬物犯罪の弁護に強い泉総合法律事務所にご相談、ご依頼されることをお勧めします。

刑事事件専任の弁護士が全力でサポートしますので、是非お早めにご相談ください。

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