警察の尿検査は拒否できる?反応が出たら逮捕・起訴されるのか

[公開日]2017年11月24日[更新日]2019年11月1日

尿検査といえば、学校や会社での健康診断を思い浮かべる方が多いと思います。

しかし、刑事上、尿検査は覚せい剤、大麻などの違法薬物犯罪の立証のために用いられます。つまり、警察署や入国する際の空港などで、薬物使用を疑う警察から尿検査を求められることがあります。

このような時、尿検査を拒否することはできるのでしょうか?また、尿検査で薬物反応が出た場合、自分は覚せい剤を使っていないと争うことができるのでしょうか?

この記事では、尿検査と薬物事件について解説していきます。

1.尿検査で薬物反応が出た場合

キットなどを用いる尿検査で薬物反応が出る期間は、薬物の種類や身体条件、頻度にもよりますが、一般に使用から3日〜2週間といわれます。

尿検査で覚せい剤や大麻の成分を示す薬物反応が出てしまった場合、その検査結果は、その人が違法な薬物を使用したことを強くうかがわせるものです。

検査結果を根拠として薬物使用の容疑で逮捕・勾留されたり、裁判になった場合は有罪と認定されたりするおそれがある重要な証拠となります。

2.尿検査の結果を争うことができるのか

では、尿検査で薬物反応が出てしまった場合、自分は覚せい剤を使っていないと否認することはできるのでしょうか。

覚せい剤の使用の罪は故意犯、つまり、わざとやった場合ですので、覚せい剤を含む違法薬物であると認識してこれを使用した場合に成立します。
したがって、知らない間に体内に入ってしまった、誰かに無理矢理入れられたという場合は、犯罪は成立しません。

しかし、そのような主張がなかなか認められないのも事実です。

東京高等裁判所の裁判例(平成19年2月28日高等裁判所刑事裁判速報集平成19年143頁)では、以下のように判示しています。

「覚せい剤は、法律上その取扱いが厳格に制限され…一般の日常生活において、…誤って体内に摂取されるというようなことは通常ではあり得ないことである。したがって、…他人が強制的に、あるいは被告人不知の間に、覚せい剤を被告人の体内に摂取させたなどの被告人が覚せい剤を使用したとはいえない特段の事情が存在しない限り、…被告人が、自らの意思に基づいて覚せい剤をそれと認識した上で摂取したものと推認するのが相当である。」

つまり、尿から覚せい剤の成分が検出された場合は、原則として、その故意があったと推定されるというものです。

【実際に釈放された事例】
もっとも、当事務所の弁護士が担当した事件で、覚せい剤の使用の被疑事実で逮捕・勾留されたものの起訴されずに釈放されたものがあります。
これは、被疑者の女性が覚せい剤を使用したものの、男性から体を抑えられ無理矢理注射を打たれたという事件でした。その女性と男性が性行為を行う前に、男性が覚せい剤を使って女性の性的な快楽を増進させようとしたのか、覚せい剤を注射したというものです。これを裏付けるように、(血管をはみ出して注射針が挿入されたにもかかわらず、そのまま覚せい剤が注入されたせいか)女性の腕の一部は青く変色した様子がうかがわれました。
この事件では、当所の弁護士が、すでに警察が腕の変色部分を写真撮影したことを女性から確認し、取調べには黙秘を貫いてもらい、弁護士の方から女性の言い分を検察官に伝えました。その結果、起訴されることなく勾留の満期で釈放されました。

3.尿検査の拒否は可能か

では、尿検査を拒否することはできるのでしょうか。

結論から言うと、尿検査を拒否することはできません
警察が裁判所に対して採尿のための令状を求め、裁判所が発付した場合、強制採尿を行うことができます(裁決昭和55年10月23日刑集34巻5号300頁)。

具体的な方法としては、医師が尿道にカテーテル(導尿管)を挿入して、体内から強制的に尿を採取するというものです。

この令状は、「被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合に」発付されることになっています。

例えば、自宅の捜索差押で違法薬物が見つかった場合や、すでに先に捜査を受けている違法薬物の売人の携帯電話やメモ等の記録にその人の連絡先が記載されている場合などは、濃厚な嫌疑があるとして、その他の事情も考慮したうえで、強制採尿の令状が発付されます。

4.薬物犯罪の弁護も泉総合法律事務所へ

上記のように、尿検査を拒否することは原則としてできません。また、尿検査で陽性の反応が出た場合、逮捕を免れることは難しいでしょう。「反応が出ない方法」というのもありません。

大麻や覚せい剤等の違法薬物に関する嫌疑をかけられている場合、捜査への対応や今後の手続きの進み方等に関しては、薬物犯罪の弁護に強い弁護士にご相談、ご依頼されることをお勧めします。

警察の捜査で不利な供述調書を作成されてしまうと、その内容を後で争うことは困難です。
今後が不安な方は、刑事事件専任の弁護士が全力でサポートしますので、是非お早めに泉総合法律事務所にご相談ください。

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