覚せい剤(覚醒剤)で逮捕されたら?早期保釈・再犯防止が最重要!

薬物事件

覚せい剤(覚醒剤)で逮捕されたら?早期保釈・再犯防止が最重要!

薬物事件における「薬物」には幾つか種類がありますが、今回はその中でも重い刑罰を科せられる可能性が高い「覚せい剤(覚醒剤)」について、逮捕のきっかけから判決までの流れや保釈などの弁護活動について解説します。

覚せい剤を使用して逮捕された場合、使用を確認するための鑑定に2週間前後時間がかかるためより勾留期間が非常に長引くのが通常です。このため、覚せい剤事件では、起訴に備えて、逮捕直後からいかに迅速に保釈活動をするのかが重要になります。

1.覚せい剤(覚醒剤)とは?

覚せい剤とは、覚せい剤取締法により定義されている違法薬物のことです。

覚せい剤の種類

同法では、フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン等の薬物とされており、精神刺激薬の一種となります。麻薬及び向精神薬取締法における麻薬とは別物で、所持や製造・摂取がより厳しく規定されています。

この覚せい剤ですが、1951年(昭和26年)に覚せい剤取締法により法規制の対象となる前は、「ヒロポン」という商品名で、疲労回復や眠気解消の改善薬として市販されていた時期がありました。

症状は?

それが、徐々に薬物依存性があることがわかるようになりました。常用者には、統合失調症におけるのと同様の幻聴、慢性の幻覚、妄想状態などの症状が現れ、これにより、自己や他者を傷つけてしまうことや、殺人や放火等の凶悪犯罪を引き起こす引き金となることがあるといわれております。

2.譲渡、譲受、使用、売買、密輸等それぞれの法定刑は?

覚せい剤取締法によれば、一般的な所持や譲渡、譲受、使用等が1ヶ月以上10年以下の懲役となり、これに営利目的が加わりますと、1年以上20年以下の懲役刑になります。

輸出や輸入(密輸)はさらに重く処罰され、1年以上20年以下となり、これに営利目的が加わると、無期もしくは3年以上20年以下の懲役となります。

3.発覚するきっかけと逮捕

覚せい剤の所持・使用などが発覚するきっかけには、様々なものがあります。

中でも最も多いのは、警察官による街頭や検挙件数の多い地域での、職務質問・所持品検査です。覚せい剤を使用している疑惑のある人は、痩せていたり、顔色が悪かったり、やけにキョロキョロして落ち着きがなく挙動不審なところがあるようで、警察官はこれらの覚せい剤使用者の特徴を共有しており、職務質問等の際におおよその判断がつくそうです。

家族や売人を通して

次に、売人や常習者などが逮捕されて、所持していた携帯電話番号をきっかけとして内偵捜査が進み、逮捕されたというのもよくあることです。

さらには、家族の一人が突然意味不明なことを言い始めたため家族が精神科を受診させた結果、精神病ではなく覚せい剤の影響であることがわかり、家族の者が更生のために警察へ通報したり、覚せい剤の使用を知った会社の同僚・恋人等身近の者が警察に通報したりするというのもよく聞かれます。

警察官による捜査の他に、厚生労働省の麻薬取締官が、覚せい剤やその他違法薬物犯罪の捜査に当たり、警察官と同様の捜査権限(逮捕など含め)を有し、警察と同様の捜査活動を行っています。俗に麻薬Gメン、マトリと呼ばれており、麻薬Gメンによる摘発も多くあります。

4.覚せい剤取締法違反は何を証拠とされ逮捕されるのか?

覚せい剤の譲渡や譲受、所持の罪は、職務質問や家宅捜索の際に、覚せい剤そのものが発見され没収されることにより、証拠とされます。これに対し、覚せい剤使用の罪は、被疑者の尿から覚せい剤の成分が検出されることが必要になります。

よって、被疑者の尿から覚せい剤の成分が検出されなければ、覚せい剤使用罪で逮捕、勾留、起訴されることはないといってよいでしょう。なお、覚せい剤の常習的使用ですと、毛髪から覚せい剤の成分が検出されることもあり、それも証拠となり、有名人が立件されたこともあります。

もっとも、多くのケースで同時に覚せい剤所持の罪も被疑事実となっているでしょうから、それらの罪で逮捕、勾留、起訴の手続きが進められます。

ちなみに、覚せい剤の成分は、覚せい剤を自己の体内に摂取した日から、2週間程度の期間、尿として排出されると言われています。

5.覚せい剤で逮捕されたら、その後の手続きの流れは?

覚せい剤で逮捕されたら、その後の手続きの流れは?

(1) 警察官による逮捕、検察庁への送致手続き

警察官に覚せい剤に関する罪で逮捕されると、逮捕された時間にもよりますが、通常はその翌日に(法律上は逮捕後48時間以内)、所轄の検察庁に送致の手続きがとられます。

(2) 検察官の弁解録取、勾留請求

被疑者が検察庁に送致されると、検察官は、当日中に犯罪事実についての被疑者の弁解を聞き、勾留の必要があると考えられる場合は裁判所に勾留請求を行います。

覚せい剤に関する犯罪の場合は、ほとんどのケースで検察官に勾留請求が行われると言ってよいでしょう。その理由は、尿に覚せい剤が含まれているかどうかを科学捜査研究所で鑑定をするのですが、その鑑定結果が出るのに2週間ほどかかるためです。つまり、鑑定結果が出るまで被疑者を勾留する必要があるのです。2週間ですので、10日間の勾留だけでは日数が足りず、さらに勾留を延長するのが通常です。

(3) 裁判官の勾留質問

勾留請求を受けた翌日に、裁判官は、被疑者に対し勾留質問を行い、勾留を決定します。そうすると、以後10日間、警察署に身柄が拘束されます。

この間警察官により、被疑者を犯行現場に連れて行き犯行状況について再現させたり、取り調べを行ったり、家宅捜索などの捜査が行われたりします。検察官も必要に応じて取り調べを行っていきます。

先述の通り、覚せい剤や麻薬などの薬物犯罪は薬物の成分の鑑定が必要で、これに2週間前後の時間を要することが多く、通常、検察官は10日間の勾留の延長を請求します。

そして、覚せい剤の成分が検査で検出された場合には、勾留期限の最終日に、検察官が裁判所に対し被疑者を覚せい剤使用の罪で起訴することになります。

(4)公判手続き

起訴されると、被疑者は、被告人と呼ばれるようになります。そして、起訴後約1~1ヶ月半後に、第1回公判期日が開かれます。

覚せい剤事件の場合、否認していない限り、通常、公判は1回で結審します。次回期日は、1週間から1ヶ月後くらいまでの間に開かれ、判決が言い渡されることになります。ケースによりますが、第1回公判期日に、即判決が言い渡されることもあります。

判決はといいますと、初犯で常習性のない覚せい剤の所持・使用である場合は、懲役1年6月~2年に執行猶予3年がつくのが通常です。しかし、覚せい剤をはじめ薬物関係は常習性、依存性があるため、執行猶予中に覚せい剤に手を出して起訴される方がかなりおり、そうなると実刑になり、刑務所で服役となってしまいます。

薬物関係の依存症の治療

そうならないためにも、専門病院や心療内科で薬物関係の依存症の治療を受け、再犯しないように努めることをお勧めします。

ただし、覚せい剤の営利目的所持の場合ですと、極めて悪質性が高いと判断されて、初犯でも実刑となり、所持量により刑期が異なってきます。単なる所持か営利目的所持かは所持の量により判断され、通常の使用のための量とは言えない程度ですと、営利目的の所持と認定されることになります。1回分の使用量は通常、0.03グラムとされておりますので、所持量が多いか少ないかはこの量も参考にして判断されます。

覚せい剤の営利目的所持ですと、判決は(覚せい剤をまん延させるという)悪質性の高さから、3年以上の実刑となるのが通常です。

(5) 保釈の手続き

上記の通り、起訴後判決までは少なくとも1ヶ月少々かかり、長い時は2カ月以上になることもあります。私選弁護人の方が、国選弁護人の場合よりも早く裁判(公判)期日は入ると思います。この間、被告人の勾留は続きますので、被告人は職場に行けず、家族のもとに帰ることもできず、大きな社会生活上の不利益を負うことになります。

そこで、生活再建のためには1日も早く社会復帰して、第1回公判期日に望むのが得策であるといえます。

このため、起訴後は保釈請求の手続きが認められており、この手続きを利用すれば、被告人を早期に釈放させることができます。この保釈手続きは、弁護士に依頼することにより行うことができます。

保釈金

通常は、被告人やその親族等により保釈金150万~200万くらいを用意し、それらの者が身元引受人となり身元引受書を作成して、弁護士が裁判所に保釈請求を行います。裁判所が検察官に保釈に関して意見を求め、それも参考にして裁判所は被告人を保釈させるかどうかを判断します。保釈金が自前で用意できない方もいるかと思いますが、その場合には、弁護士を通して日本支援協会から立て替え払いをしてもらうことができます。

もちろん、事案によっては保釈の許可が出ないこともありますが、前科がなく初犯であり、これまでの覚せい剤の使用期間も比較的短く常習性がない場合は、保釈されるのが通常です。

6.覚せい剤事件の弁護活動はスピードが命

上述したように、被疑者が逮捕されてから起訴されるまでの間、最大で23日間、被疑者は身柄拘束され続けることになります。

痴漢等であれば、弁護士が検察官や裁判官に対して釈放を働きかけたり、裁判官が勾留決定を下した場合でも、準抗告という手続きを裁判所に申し立てたりすることにより、裁判官の行った勾留決定の取消しが認められて釈放されることもあります(ただし、準抗告はハードルが高いため、それまでの働きかけが重要となります)。

しかし、覚せい剤事件の場合、検察官や裁判官への釈放の働きかけはもとより、この準抗告の手続きが認められることはないと言えます。

弁護士の役割

そうすると、弁護士ができる被疑者の救済手段としては、上記の保釈の手続きを起訴後いかに迅速に行うかにかかっており、これをスムーズに行えば、起訴後の比較的早期の段階で被告人を釈放することができます。東京地裁の場合には土日祝日を除いて最短で3日間です。

そして、初犯で常習性のない場合は、通常執行猶予判決となりますから、保釈後は、再び身柄拘束を受けることはありません。

7.覚せい剤事件の再犯率と再犯対策方法

犯罪白書などの公的資料によると、覚せい剤事件の再犯率は50パーセントにも昇るとも言われております。

保釈が決定し執行猶予判決となり、無事社会復帰できたのに、再び覚せい剤に手を染めてしまうと、執行猶予中の覚せい剤使用で実刑判決になり、執行猶予も取り消されますので、少なくとも3年から4年は服役することになります。執行猶予中でなくとも、前回の執行猶予判決から6、7年は経過していないと2回目以降の判決は実刑判決の可能性が高いと言えますので、本人だけでなく家族も再犯をしないように十分に注意する必要があります。

覚せい剤に再び手を染めないように、薬物関係の依存症の治療に重点を置いている病院やクリニック(心療内科など)での治療や、ダルクといった更生支援施設での更生、他に没頭できることを見つけて覚せい剤に頼らない生活を送るなど、自らを管理し、二度と覚せい剤には手を出さないようにしていく必要があります。

8.最後に

覚せい剤事件で逮捕、起訴されてしまった場合の判決自体は、国選弁護人と私選弁護人とで違いはないと思われます。しかし、国選弁護人はあまり接見に来てくれなかったり保釈申請を速やかにしてくれなかったりするとの理由で、当所泉総合法律事務所に刑事弁護の依頼をされることが多々あります。

早期の身柄解放の実現や速やかな接見をお望みの場合や、所持を否認する場合であれば、ぜひ、経験豊富な弁護士が多数在籍する弁護士法人泉総合法律事務所にご相談されることをお勧めいたします。

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