薬物事件 [公開日]2018年2月2日[更新日]2020年12月16日

薬物事件で逮捕されたら実刑?不起訴のための弁護士依頼

「依存症状が強い」「中毒性がある」「後遺症がある」「幻覚が見える」「芸能人も使用している」……そんな薬物事件ですが、もし薬物の所持・使用が判明して逮捕された場合、他の刑事事件とは異なる多くの注意点があります。

ここでは、薬物事件で逮捕された場合における注意点について、刑事事件に精通している弁護士が解説します。

ちなみに、様々な薬物を取り締まる各種法律と、薬物犯罪に関する刑罰については以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

薬物事件を取り締まる法律の種類と刑罰

1.薬物の所持・使用等で逮捕された際の注意点

覚醒剤・大麻・コカイン等の薬物犯罪で逮捕されたときには、その後の処遇や刑罰に注意点があります。

(1) 長期の勾留(身柄拘束)がされる可能性が高い

まず、薬物犯罪は、他の多くの犯罪と同様に、逮捕後「勾留」される可能性が高いです。

勾留とは、逮捕後引きつづき警察の留置場内で身柄を拘束されることです。

犯罪行為で勾留されるのは、被疑者に逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがある場合です。

薬物犯罪は、①薬物の入手先という「共犯者」が必ず存在しますし(例外は、野生の自生する大麻を所持した場合)、②薬物という証拠は容易に処分できます。
このため、共犯者と口裏を合わせる、薬物を捨ててしまうことで証拠を隠滅する可能性が高いと考えられています。

そこで、薬物事犯で逮捕されたら、引き続いて10日間は勾留される(逮捕期間を合わせると最大13日間)ことを覚悟しなければなりません。

逮捕期間中は家族とも面会できませんし、勾留中も警察官立ち会いの下10分程度しか家族と接見できません。

勾留期間中には、捜査官により、厳しい取り調べを受けることになります。

更に、薬物事犯の場合、起訴不起訴を決定するためには、対象の薬物の「鑑定」が必要です。
薬物犯罪は、指定された成分が含まれているかどうかによって犯罪の成否が決まりますし、どの程度含まれているかにより犯情が変わってくるためです。

ただ、鑑定セクションの繁忙により、鑑定にはかなりの時間がかかるケースもあります。
この場合10日間の勾留期間に間に合わず、勾留延長されて最大20日間の身柄拘束が続きます。

(2) 被害者と示談ができない

薬物事犯の難しさとしては「被害者と示談ができない」ことがあります。

たとえば暴行や傷害、痴漢やわいせつ犯罪などの被害者がいる犯罪であれば、被害者と示談を成立させることにより、処分を軽くすることができます。
起訴前に示談ができれば、初犯のケースでは多くのケースで不起訴にしてもらうことも可能です。

しかし、薬物事犯は、輸出入や製造、使用や所持をするものですから「被害者」は存在しません。

示談ができないので、示談によって情状をよくして検察官による不起訴処分や、裁判になったときの執行猶予判決の獲得を期待するという方法はとれません。

2.処分を軽くする方法

こうした薬物事犯においても、少しでも処分を軽くするにはどうしたら良いのでしょうか?

(1) 反省の態度を示す

まず、薬物犯罪が事実であるなら、しっかりと反省の態度を示すことです。

事実を認めるのであれば、「①何故、薬物に手を出してしまったのか?」「②自分の考え方、生活態度、交友関係などのどこに問題があったのか?」を真剣に考え、「③2度と薬物に接しないためには、どのように改善することが必要か?」に自分なりの答えを見つけるよう努力しましょう。

そして、その反省を取調官に伝えて、供述調書に記録してもらうことです。調書に記載されれば、検察官も裁判官も目にすることができ、しかも、被疑者自身が作成した反省文よりは、おおむね信用されるからです。

(2) 弁護士が有利な事情を探し主張する

弁護士が弁護を担当すれば、①依存性、常習性が強くないこと、②使用回数と頻度が少ないこと、③自ら求めて入手したものではなく、たまたま手にしたもので、偶発的犯行であることなど、被疑者に有利な事情を洗い出して主張します。

家族や勤務先などがしっかりしていて、今後の監督を期待できることを主張することも効果的です。

[参考記事]

示談・更生保護環境の確保など、不起訴処分のための弁護活動解説

(3) 贖罪寄付を行う

1-(2)でも解説をしましたが、薬物事件には被害者がいません。

しかし、示談に代わる方法として、贖罪寄付という方法を取り反省の態度を示すこともできます。

[参考記事]

贖罪寄付・供託により本当に情状が考慮されるのか?

このような活動を行えば、薬物犯罪でも不起訴処分にしてもらえる可能性も出てきます。

主な薬物犯罪の不起訴率は、次のとおりです。

法律総数(人)起訴総数不起訴総数起訴猶予
大麻取締法6,4422,863(44%)2,795(43%)1,587(25%)
麻薬及び向精神薬取締法1,035576(56%)386(37%)137(13%)
覚せい剤取締法14,0979,942(71%)3,200(23%)993(7%)

検察統計 2019(令和元年)「8 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」より

このうち起訴猶予は、検察官が起訴して有罪判決を得ることもできると判断したうえで、諸事情を考慮して、あえて不起訴とするものです。

重大犯罪につながりやすい覚せい剤事犯の起訴猶予率が低いことと対照的に、大麻事犯では4分の1が起訴猶予となっていることが特徴的です。

薬物犯罪で逮捕されることが、ただちに起訴・有罪・前科につながるわけではないことがご理解いただけると思います。

3.薬物事件における弁護活動

薬物事件の依頼を受けた弁護士は、まず、身体拘束されている本人と接見し、これからの弁護方針を練ります。

逮捕直後の段階で弁護士がついた場合には、引き続きの勾留を避けるべく、検察官と交渉し、本人は反省していること、身体拘束による不利益が大きいこと等を伝え、勾留を避けるよう働きかけます。

それでも勾留をされてしまった場合には、早期の釈放・不起訴処分を獲得すべく、上で述べた贖罪寄付の援助をする、身体拘束から解放された後の再犯を避けるためダルク(薬物治療施設)への入所など、再犯防止の計画を練るなどします。
家族の方に再犯防止のための協力をお願いすることも不可欠です。

それでも起訴処分となってしまった場合には、何とか実刑を回避するため、公判において本人の弁護人として活動します。

まずは、速やかに保釈請求をして身柄を釈放してもらうよう働きかけます。

公判においては、事案によって細部は異なりますが、被告人は再犯の可能性が低いこと、深く反省していること等を主張していくことになります。

4.薬物犯罪の弁護は泉総合法律事務所へ

軽い気持ちで薬物に手を出すのは絶対に避けるべきです。

薬物使用で逮捕されてしまった場合、身柄拘束される可能性が高く、その期間も長引くことが多いです。そうなると、解雇や退学などの問題も発生してきます。

薬物犯罪を何度も繰り返していたり、初犯でも社会に薬物中毒を蔓延させる危険性の高い重大犯罪(覚せい剤やヘロインの営利目的の所持等や輸出入など)を犯したりすれば、確実に相当な長期間の実刑になります。特に覚せい剤の営利目的輸入罪は最高刑が無期懲役まであり、裁判員裁判となりますので、極めて長期間の実刑になるだけでなく、事件自体も相当長期化することになります。

海外の友人に頼まれたからなど、軽い気持ちで薬物の受け取りを了解すると、それだけで貴重な青春時代を刑務所で過ごすことになります。

不利益をできる限り小さくするために、お早めに刑事事件の弁護実績が豊富な泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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