薬物事件 [公開日]2020年5月25日

大麻の譲渡・譲受・売買の証拠って何?

最近、薬物犯罪で有名人が逮捕される事件が増加しています。犯罪を犯した場合は逮捕される可能性があるのですが、犯罪を犯した証拠がないと逮捕を行うことはできません。

それでは、大麻の譲渡や売買の証拠とはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、大麻の譲渡・譲受・売買の証拠について説明します。

1.大麻取締法の規制

薬物と言っても、大麻、覚せい剤、アヘン等様々なものがあります。これら薬物の規制は1つの法律でまとめて規制されているのではなく、個別に法律が定められています。

大麻取締法は大麻を規制しています。規制しているのは、大麻の輸出入、栽培、譲渡、譲受、所持です。罰則は以下の通りです。

輸出入、栽培
非営利目的の場合:7年以下の懲役
営利目的の場合:10年以下の懲役刑。300万円以下の罰金が併科される可能性がある

譲渡、譲受、所持
非営利目的の場合:5年以下の懲役刑
営利目的の場合:7年以下の懲役刑。200万円以下の罰金を併科される可能性がある

ところで、大麻取締法では大麻の自己使用は処罰対象となっていません。他の薬物犯罪では使用の罪はあるのに、なぜ大麻は使用罪がないのでしょうか。

これについては、下記の記事をご覧ください。

[参考記事]

大麻所持と使用の罪の違いとその理由|所持せず使用とはどういうことか

2.大麻譲渡・譲受・売買の証拠とは

被疑者を逮捕する場合、罪を犯したと疑うに足りる証拠が必要です。証拠不十分だと、逮捕が認められなかったり、起訴しても無罪判決となったりします。

大麻の譲渡・譲受・売買の証拠は、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?

(1) 大麻草と使用した容器

薬物犯罪において、薬物それ自体は非常に重要な証拠です。無論、大麻草も例外ではありません。

捜査機関による被疑者住宅の捜索で大麻草が発見された場合、大麻所持の確かな証拠となります。

また、大麻草自体はなくとも、大麻の繊維や樹脂などが付着した使用済みのストローがあれば、大麻を所持していたことを推認させる証拠のひとつとなります。

(2) 尿検査による大麻の陽性反応

尿検査で大麻の陽性反応が出た場合、大麻取締法違反の証拠となります。

大麻の使用は処罰対象となっていませんが、大麻を所持せずに使用することは基本的にありません。そのため、尿検査による反応=大麻を所持していたことを推認させる証拠のひとつとなります。

尿検査は、被疑者の任意で行われます。もっとも、被疑者が尿検査を拒み続ける場合、最終手段として強制採尿が行なわれることがあります。

[参考記事]

警察の尿検査は拒否できる?反応が出たら逮捕・起訴されるのか

(3) 犯行の現場を見られた

捜査機関や第三者に大麻の取引に関する現場を見られた場合、その者の供述は大麻譲渡・譲受の証拠となります。

もっとも、薬物の取引は公に行われるものではないので、通常の方法では、取引現場をおさえることはできません。

しかし、薬物犯罪においては、おとり捜査が行われる場合があります。そのため、大麻取引の相手方や関係者が捜査機関やその協力者であり、取引現場で現行犯逮捕されるといったこともありえるのです。

(4) メールやライン、通話等の通信

大麻取引に際しては、事前に当事者間の交渉があるのが通常です。そのため、交渉がメールやライン、電話で行われた場合、その通信が証拠となります。

捜査機関は、通常の捜査では通信をおさえるのは困難です。しかし、薬物犯罪の場合、最終手段として、通信傍受法に基づいた傍受が行われることがあり、この捜査方法により薬物取引の通信内容を把握できます。

3.大麻取締法違反で逮捕されたら

大麻取締法違反で逮捕された場合、警察署に連行されてしまいます。逮捕だけでなく、証拠隠滅や逃亡のおそれありとされて勾留(長期の身体拘束)が決定されると、10日以上身柄を拘束されてしまいます。

また、起訴がなされると裁判となります。検察は証拠を押さえた上で起訴をしますので、ほとんどのケースで有罪となってしまうでしょう。

そのような事態となると、これからどうすればいいのか非常に不安に思うのではないでしょうか。

大麻取締法違反で逮捕されたら、又は、身近な人が逮捕されてしまったら、弁護士にご相談ください。弁護士はすぐに逮捕されている被疑者の元に駆け付け、取調べで何を話すべきか、これからどうするべきかを、被疑者の親身になって相談してくれます。

また、被疑者の身体拘束を回避・解除(釈放)するための活動や、不起訴にするための活動、さらに裁判となった場合には執行猶予判決を目指す弁護活動を行ってくれます。

仮に、大麻取締法に違反することが明らかだとしても(犯罪が現実だとしても)、起訴を免れるため、刑を軽くするための弁護活動は行えます。

特に、薬物犯罪においては、違法捜査がよく問題となります(最近だと、東京地判令和2年3月18日。出典:LEX/DB)。違法捜査が行われ、重大な人権侵害があると、大麻取締法違反が明らかな場合であっても、違法捜査によって収集された証拠の提出が認められず、無罪判決がなされる場合があります。

というのも、たとえ犯罪者を逮捕し処罰するためだとしても、適切な法的手続きに則った方法を取らないで集められた証拠で有罪とすることを認めるならば、捜査機関による人権侵害を抑止できないからです。

違法捜査による逮捕だった場合、弁護士はその旨を指摘し、被疑者に有利になるような判決を得ることが可能となります。

[参考記事]

大麻取締法違反!身に覚えのない大麻所持で逮捕は不起訴にできるか?

4.まとめ

大麻取締法違反で有罪判決となると、非常に重い刑罰が科される場合があります。
特に営利目的の場合は、初犯でも執行猶予がつかず、即刑務所行きが確実です。

そのような事態を回避するためにも、薬物事件は泉総合法律事務所の弁護士にお早めにご相談ください。

ダウンロードができませんでしたが、TKCが扱っている判例集のうち、LEX/DBインターネットに載っております。

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