オレオレ詐欺で逮捕されたらどうなる?非常に重い量刑の刑期
【この記事を読んでわかる事】
- オレオレ詐欺(振り込め詐欺)の罪名、刑罰と厳しい量刑について
- 被疑者が逮捕された際、詐欺グループの仲間が弁護人を選任することがあるってどういうこと?
- オレオレ詐欺の刑罰を軽くするために家族ができることとは?
オレオレ詐欺(振り込め詐欺)は、以前は家族を装い高齢者に電話をかけ、騙して高額の金銭の振り込みをさせることが大半でした。
現在はそのようなオレオレ詐欺を防止するために、金融機関が高額の振り込みを受け付けなかったり、高齢者の振り込みや預金引き出しに職員などが質問して問題ないかどうかチェックしたりすることで、同種手口のオレオレ詐欺はほぼなくなっています。
しかし、オレオレ詐欺は手口をかえて検挙を巧みに免れ、現在も被害が続いています。
今回は、そんなオレオレ詐欺(振り込め詐欺)で逮捕されてしまった場合どうなるのか、弁護士に刑事弁護を依頼するとどんな弁護活動をしてくれるのかを解説します。
1.オレオレ詐欺の被疑者の実情
泉総合法律事務所の弁護士も、オレオレ詐欺の刑事弁護を担当しております。
オレオレ詐欺で検挙されるのは、詐欺事件の末端の出し子(金銭を引き出す役割)・受け子(金銭を受け取る役割)・かけこ(電話をかける役割)といった役割を担う方が大半です。
これら末端の被疑者(中学生を含む未成年なことも多いです)は、アルバイト感覚で、最初はオレオレ詐欺の案件だとは気づかずに関与してしまいます。
そして、オレオレ詐欺だとわかった時には、既に詐欺のグループから抜け出せなくなってしまっているのです。
このような末端の被疑者は、オレオレ詐欺グループの幹部ら上位者のことや、グループの秘密事項は一切知らされていません。
そのため、オレオレ詐欺は後を絶たずに繰り返されてしまうのです。
2.オレオレ詐欺の罪と刑罰
オレオレ詐欺(振り込め詐欺)は、その名の通り詐欺罪に当たります。
刑法246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪には罰金刑がないため、起訴され有罪判決を受ければ、必ず懲役刑となってしまいます。
また、出し子や受け子として、不正に銀行の預金を引き出したり、手渡しで金銭を受け取ったりした場合、窃盗罪が成立します。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
オレオレ詐欺犯罪の集団に関与していた場合には、「組織犯罪取締法違反」の併合罪で、懲役15年以上の判決が言い渡された例もあります。
3.オレオレ詐欺の厳しい量刑
「基本実刑判決」という厳しい量刑・刑罰
オレオレ詐欺は被害金額が大きく、被害者が高齢者に多かったり、被害金が暴力団の資金源になっていたりするため、社会的に大きく問題視されています。
そのため、裁判所の判断も非常に厳しく、初犯であっても重い実刑判決が言い渡される傾向があります。
オレオレ詐欺の判決での量刑・刑罰は、役割が末端か中位以上の役割か、被害金額がいくらぐらいか、被害者への示談ができているか、オレオレ詐欺に関与するに至った事情などから総合的に判断されます。
泉総合法律事務所で刑事弁護を担当した事案では、被害額が相当の金額でしたが、役割が末端であったことや、示談ができたことから、なんとか執行猶予付き懲役刑の有罪判決を得ることができました。
他方で、かなりの部分で示談できていたものの、役割が中位とも末端とも言えないケースでは、厳しい実刑判決となりました。
後者は、被疑者が一般的な職業と考えて詐欺段階に就職したものの、途中からおかしいと気づいたケースです。気づいた時点で辞めなかったことが厳しく裁判所に評価されたものと考えられます。
しかし、事情を知ってからオレオレ詐欺グループから抜け出すことは容易ではないのも実情です。
4.弁護方針〜被害額と示談金〜
オレオレ詐欺の弁護方針は、被害者との示談を成立させることに尽きます。
泉総合法律事務所では(家族が警察から被害金額を含めたおおよその事情を聴いていますので)、被害金額を刑事相談に来たご家族に尋ね、それら被害金額を示談金として用意できるかどうかを聞き取ります。
示談金として用意できない場合には、残念ながら判決は国選弁護人の場合と異ならない可能性が高いため、刑事弁護をご希望でも辞退させていただくことがあります。
5.詐欺グループが選任する私選弁護人?
オレオレ詐欺で逮捕された際に、家族が依頼していないにも関わらず、国選弁護人ではなく私選弁護人が被疑者の刑事弁護につく場合があります。
これは、オレオレ詐欺グループの幹部なり上位者が、被疑者のために私選弁護人を選任した場合です。
では、オレオレ詐欺グループは何故このようなことを行うのでしょうか。
(1) 接見禁止処分の解除防止
オレオレ詐欺のような組織犯罪や共犯事件では、逮捕に続く勾留に「弁護人以外は接見できない接見禁止処分」がつけられるのが一般です。
そして、私選弁護人は通常はその接見禁止処分を親など家族に限って解除して接見(面会)できるように裁判所に申請し、裁判所もその解除申請を認めるのが通常です。
しかし、被疑者が知らないで詐欺グループが事実上選任した私選弁護人は、そのような接見禁止の一部解除申請は行いません。
オレオレ詐欺グループが選任した私選弁護人は、被疑者が家族に伝言を依頼しても家族には伝えないのが通常です。
(2) 家族の情状証人申請
また、このような私選弁護人は、被疑者が起訴されて被告人になっても、家族には被疑者被告人の状況を伝えることはないため、家族は逮捕されたことは分かっていても(接見禁止処分がついているため)面会できず、今被疑者がどうなっているか皆目事情が分かりません。
そして、いずれ裁判(公判)が開かれると、私選弁護人は家族との接触を嫌って、通常なら行う家族の情状証人申請は行わず、家族は情状証人として家族の被告人の有利な証言をすることができないまま審理が集結し、判決となってしまうのが一般です。
家族は警察から事情聴取を受けることで、その時の担当警察官から状況を教えてもらえるかもしれませんが、捜査上の秘密から教えてもらえる内容にも限度があります。
(3) 家族がするべき対応
このような理由から、オレオレ詐欺グループから私選弁護人をつけられると、実刑判決になってしまうことが大半です。
そして、被疑者は社会復帰後もオレオレ詐欺グループと関係を持つことになりやすく、また同種の事件を繰り返す危険性が高いといえます。
オレオレ詐欺グループと完全に縁を切るために、被疑者の家族は(高額に上る示談金は用意できなくとも)弁護人をどうするか、別の私選弁護人を選任するかどうかをよく考えなければなりません。
このような私選弁護人がオレオレ詐欺の被疑者・被告人の刑事弁護を担当したケースで、何人かのご家族から、泉総合法律事務所に被疑者への接見と刑事弁護の依頼がありました。
ある被疑者の方は、泉総合法律事務所の弁護士が被疑者に接見した結果、前からの私選弁護人を自らの意思で解任しました。
他方で、弁護人選任の意思の確認のために被疑者の元へ出向いた結果、従来の私選弁護人でいいという被疑者本人の考えで、当所の弁護士が弁護人に選任されなかったこともあります。
家族が他の弁護士を希望しても、最終的に決めるのは被疑者・被告人自身であり、被疑者の自己責任となります。
しかし、被疑者本人のためにも、ご家族の方は刑事弁護の経験豊富な弁護士に弁護を依頼する事をおすすめします。
6.オレオレ詐欺(振り込め詐欺)のご相談は弁護士まで
オレオレ詐欺に関わってしまったとしても、詐欺グループの実態を知らず、前科前歴のない初犯の未成年でしたら、執行猶予付きの判決を得られることがあります。
しかし、そのためには被害者との示談交渉など、弁護士により刑事弁護活動が必要不可欠でしょう。
ご家族がオレオレ詐欺・振り込め詐欺で警察に検挙・逮捕されてしまったというご家族の方は、まずは泉総合法律事務所の無料相談を是非ご利用ください。