性・風俗事件に関する質問
痴漢事件で無実を証明するのに弁護士に依頼するメリットとは?
身に覚えのない痴漢事件の疑いをかけられてしまったときには、まずは検察官に起訴されないこと、つまり不起訴を目指すことになります。そのためには、検察官に「起訴したら無罪判決になってしまう(=検察官が負けてしまう)可能性がある」と考えさせる必要があります。
このために最も重要なのは、取り調べに対してどのように対応をするかです。検察官がやっていないと言っている被疑者を起訴に踏み切るのは、①被疑者が法廷で何を言うかが明らかであり、かつ②その弁解が信用できないことを証明できる、と判断できた場合です。逆に言えば、これを困難にすれば、起訴を断念させられるわけです。
起訴された被告人が法廷で何を話すかがわからないと、検察官はどのような準備をしたらいいのかがわかりません。そうすると、検察官が起訴に踏み切るのを心理的にも躊躇させやすくなります。また、被告人の供述が信用できないと判断してもらう最も効果的な手段は、「被告人の主張はころころ変わっており、本当にその事実を経験したとは到底思えない」と指摘することです。これを供述の変遷と言います。しかし、これも取り調べでの供述がわからなければ、変遷しているのかどうかの判断が検察官にはできません。
以上のことから、取り調べの対応としてはほとんどの場合、黙秘がベストな選択となります。もちろん、すべての事件がそうではありません。しかし、黙秘権を行使せずに、何かを検察官に伝えることにメリットがあるのかは、しっかりと考えなければなりません。
そしてこれを判断することは、被疑者本人には不可能です。黙秘でいいのか、話したほうがいいのか、話すとして何をどこまで話すのか、これを判断して、被疑者の方に適切にアドバイスをすることが、弁護人の仕事です。弁護士をつけなければ、この適切なアドバイスが受けられず、検察官が起訴に踏み切ることを躊躇させる事実を作れなくなってしまうのです。