痴漢 [公開日]2020年9月25日

痴漢の示談金相場はいくら?|増額するケース・減額するケース

痴漢事件を起こした場合、示談をすることは、加害者・被害者共にメリットがあります。特に痴漢をしてしまった加害者は、被害者に犯罪を許して示談を受け入れてもらえなければ、刑事手続きにおいて多くの不利益を被ることになります。

示談に際しては示談金の支払いが必要なのですが、必要なお金がどのくらいかは、加害者にとって非常に重要な問題です。

そこで、ここでは痴漢の示談金相場について解説します。

1.痴漢をして逮捕後の流れ

痴漢は、各都道府県の定める迷惑行為防止条例に違反し、刑法の強制わいせつ罪にも該当する犯罪です。

痴漢の被疑者は現場で現行犯逮捕されることが多く、その場で逮捕されなくとも後日に通常逮捕(後日逮捕)される可能性があります。

(1) 逮捕~勾留

逮捕された被疑者は、警察署に連行されます。これは、現行犯逮捕された場合に限らず、通常逮捕された場合も同様です。

警察署で、被疑者は取調べを受けることになります。取調べの結果、警察官が身柄の拘束を継続することが必要と判断した場合、身柄拘束された被疑者を証拠と共に検察官に送致します(検察官送致)。これは、逮捕から48時間以内に行われます。

身柄を受け取った検察官は、裁判官に勾留を請求するか否かを判断します。これは、検察官が身柄を受け取ってから24時間以内かつ逮捕から72時間以内に行われます。勾留請求しない場合には、被疑者は釈放され、在宅事件として刑事手続きが進んでいくことになります。

勾留請求を受けた裁判官は、被疑者に犯罪の嫌疑があるか、罪証隠滅の恐れがあるか、逃亡の恐れがあるか、勾留の必要性があるかを判断します。勾留を認めた場合、被疑者には10日間に及ぶ身体拘束が行われます。

勾留期間の延長は、検察官の請求により、原則として1回だけ、やむを得ない事情がある場合に限って、10日間の延長が認められます。

ただし、ほとんどの場合、捜査の必要性を理由に延長が申請され、裁判所がこれを却下することもほとんどありませんから、結果として勾留が20日間に及ぶことが通常です。

(2) 起訴の判断

検察官は、勾留期間が終わるまでに、被疑者を起訴処分にするか、あるいは不起訴処分にするかを判断します。

検察官は、上記判断に際して様々な事情を考慮することができます。

犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。(刑事訴訟法248条)

考慮要素としては、犯罪の重大性、犯行態様の悪質性、被疑者の反省や前科の有無、被害者の処罰感情、示談の成立の有無等が挙げられます。この中でも、示談の成立の有無は非常に重視されます。

不起訴の判断を下した場合、被疑者は釈放されます。他方、起訴の判断を下した場合には、被告人は刑事裁判にかけられることになります。

なお、勾留されている被疑者が起訴された後は、自動的に、身柄拘束は「被告人勾留(起訴後勾留)」に切り替わります。起訴後勾留の期限は、起訴された日から2ヶ月ですが、その後、1ヶ月単位で延長されます。

2.早期釈放・不起訴処分を獲得するには

痴漢をした場合には、身から出たサビとは言え、多くの不利益を被る可能性があります。これを回避するためには、示談が非常に重要となってきます。

(1) 身体拘束・不起訴処分が与える影響

逮捕は2~3日間続きますが、この期間は、たとえ家族であっても弁護士以外の方と面会することはできません。逮捕段階で弁護士に弁護を依頼すれば、弁護士が意見書の作成などで勾留を阻止して釈放となることも少なからずあります。

勾留された場合には、家族等と接見することは可能ですが、接見は平日の日中15分に制限されます。

起訴前における、逮捕・勾留を合わせた身体拘束期間は、最大で23日間です。起訴の判断が下された場合には、前述のとおり、起訴後勾留が続くので、保釈が認められない限り、身体拘束の期間が長期間します。

迷惑行為防止条例の痴漢の場合は、大半が在宅事件となる一方、強制わいせつにあたる痴漢の場合には、長期間の身柄拘束となることが多いと言えます。

身体拘束が長期間に及んでしまうと、会社に痴漢の事実が発覚してしまうでしょう。そうすると、会社から処分を受ける可能性があります。最悪の場合、懲戒解雇となることも否定できません。

また、起訴された場合、被告人は刑事裁判にかけられることになります。有罪率99.9%と言われる日本の司法では、起訴=有罪と言っても過言ではありません。

  • 東京都迷惑防止条例違反の罰則・・・6月以下の懲役または50万円以下の罰金(常習犯は1年以下の懲役、100万円以下の罰金)
  • 強制わいせつ罪の罰則・・・6月以上10年以下の懲役

このように、痴漢は罰金刑だけでなく懲役刑があります(罰金刑でも前科はつきます)。特に、強制わいせつ罪の法定刑は懲役刑のみなので、執行猶予がつかない実刑判決の場合、即刑務所行きとなってしまいます。

そのため、検察官に起訴の判断を控えてもらい不起訴とすることは、被疑者にとって非常に重要なことなのです。

(2) 示談の重要性

示談は、示談金を支払うことで被害者に犯罪を許してもらうものです。示談成立の証拠として作成した示談書を検察官に提出すれば、検察官はこれを被疑者に有利な事情として考慮して、起訴するか否かの判断を下します。

示談が、逮捕の前や勾留請求前、勾留決定前といった刑事手続きの早い段階に成立した場合、以降被疑者を身体拘束して捜査を進める必要性に欠けると判断されることも多く、逮捕されない、逮捕されても勾留請求されない、勾留請求されても請求が却下されるなどにより、身柄拘束の不利益を回避できる可能性が高くなります。

また、先述のように検察官は諸般の事情を考慮して被疑者を起訴するか否かを決定します。

示談が成立していることは、①被疑者が反省、謝罪し、被害を補てんする努力をしたこと、②被害が示談金の支払いによって補てんされたこと、③被害者が被疑者を許し、処罰感情がなくなったことを示していますから、起訴して刑事罰を与える必要性は減少したと評価されます。

とりわけ、被害者の意思を尊重することが要請される性犯罪では、示談が成立している場合には、検察官は起訴の判断を控えることが一般的です。

3.痴漢の示談金相場は?

示談に際しては、示談金を被害者に支払うことになります。示談金を支払う側からすれば、示談金がいくらになるかは非常に重要な問題です。

示談金の額は、被害者との合意で決まります。そのため、具体的なケースごとに示談金の額は大きく異なります。

犯行態様が悪質で、被害者の処罰感情が強い場合には示談金の額も高くなる傾向にあるでしょう。他方、被疑者が心から反省し、被害者に謝罪の意思が十分に伝わったことで被害者の処罰感情が薄れた場合には、示談金の額はさほど高額にはならないでしょう。

このように、示談金額の相場について一概に語ることはできないのですが、大まかに言えば、迷惑行為防止条例違反の場合には30万円から50万円、強制わいせつ罪の場合には50万円から100万円程度の示談金がかかると思われます。

ただし、100万円が上限というわけではありません。被疑者に財力があり、どうしても前科を避けたくて示談を望み、一方、被害者が高額の示談金でなくては納得しないという場合は、数百万円となることも珍しくはないのです。

どのくらいの示談金が必要となるかは、弁護士に相談することをお勧めします。

4.まとめ

性犯罪事件の当事者という関係上、痴漢事件の当事者同士の示談交渉は却って問題を複雑化します。また、実際、被疑者は被害者の連絡先を知ることができないですし、一般の方は示談の方法もわからない場合が多いので、示談を当事者同士で行うのは不可能に近いです。

また、示談交渉はスピーディに行い、遅くとも検察官が起訴の判断をする前に示談を成立させることが最も重要です。知識も経験もない一般の方が交渉すれば、時間切れとなってしまいます。そのため、示談交渉は弁護士に依頼する必要があります。

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痴漢など絶対にしないと思っていても、ふと魔が差して痴漢をしてしまった、ということは誰にでもあり得ることです。迷惑防止条例違反の行為といえども、逮捕・起訴されたりしますし、処分が罰金であっても前科となります。

不起訴などで最終処分を有利に導くためには、刑事弁護の経験豊富な弁護士に弁護依頼をしてください。

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