痴漢で捕まったら~夏フェス・花火大会・コミケ・ハロウィンの場合~

痴漢

夏フェス痴漢

1.夏のイベントシーズンは痴漢行為に注意

夏フェスや花火大会など、多くの人が賑わうイベントが増えるこれからのシーズン、イベントを楽しみにしている方も多くいらっしゃると思います。

しかし、この大型のイベントには、痴漢などの犯罪行為も多く確認されています。

痴漢といえば、「電車」や「駅」をイメージすることと思いますが、実際は駅周辺だけで起こっているわけではありません。通常の状況では起こり得ないはずの痴漢行為に、場所や雰囲気などいくつかの要因が重なり、犯行が行われやすい状況が作られています。

普段、「絶対に痴漢なんてしない」と思っている方も注意が必要です。状況に流されて、つい手を出してしまう方は多くいます。

2.痴漢は電車だけではない!路上でも発生

では、実際のところ、痴漢は年間にどのくらいの件数が確認されているのでしょうか。

平成28年度の警視庁の発表では、1800件の痴漢が報告されています。全体のうち30%が、通学時間帯に発生し、迷惑防止条例違反として立件されているものの72%とは駅または電車内で発生しています。

痴漢行為のほとんどが駅や電車などで発生することについては、驚かないと思います。しかし、これを逆に考えてみると、28%は駅・電車以外の場所で発生しているということです。

また、痴漢行為の態様が卑劣な場合は、強制わいせつ罪の可能性もあります。平成28年度の強制わいせつの件数は800件です。一番多いのは路上の32.7%で、電車内は16%となっています。

このように、痴漢行為は駅・電車にとどまらず、路上などの別の場所でも行われています。これからの花火大会やフェスなどが始まるイベントシーズン、特に夏場〜秋にかけてはさまざまな要因から、魔がさして痴漢行為に及ぶ人が増えてきます。

3.モッシュ・夏祭り・花火大会

では、路上での痴漢行為はどのような場所で行われることが多いのでしょうか。

まず、路上での痴漢行為は、多く人が集まり、密集するような場所で行われることが多いのが実情です。サマソニ(サマーソニック)やフジロックフェスティバルなど野外イベント型の夏の音楽フェス、隅田川の花火大会、夏祭り展などが当てはまります。

死角になってしまう瞬間とは、どういう時か、みてみましょう。

3-1.ライブイベントのモッシュは痴漢が多い

フジロック・サマソニといったライブイベント・音楽フェスでは、モッシュと呼ばれる現象が起きることもあります。

モッシュとは、ライブ中に熱狂的に盛り上がり人々が前へ前へと押す行為によって、おしくらまんじゅう状態になることです。ライブ会場の前方中央付近は特に注意が必要です。

モッシュが起きると、熱気に包まれ騒音も激しくなります。同時に、人と密着することになるため、通常のライブ会場より、痴漢行為などの犯罪が誘発されやすい状況になります。

3-2.花火大会での痴漢・盗撮も要注意

花火大会でも痴漢被害が報告されています。

花火大会では、女性は浴衣を着てイベントを見学される方も多いと思いますが、浴衣を着ている女性をターゲットに盗撮・痴漢行為などが行われています。

花火大会の場合、見物場所確保までの道のりで多くの人が行き交い、混雑します。その際、人混みに紛れて痴漢行為を行うケースがあります。また、浴衣の女性だけではなく、薄着の女性も、同様の被害に遭っています。

具体的には、胸元や太ももを凝視する、盗撮する、気づかれないように身体に触れるなどです。

そして、イベントが開催される場所だけではなく、行き帰りの電車にも注意する必要があります。イベント効果で満員電車になるため、これを利用した電車での痴漢被害が報告されているためです。

このように花火大会では、浴衣という服装をターゲットになるケースもあります。しかし、混雑している状況でない限り痴漢行為は行いにくいため、人がひしめき合う場所で起こるという共通点があります。

3-3.アートイベントでの被害報告も

~ブラックボックス展~

これ以外にも、最近では、ブラックボックス展などでも被害が確認されています。ブラックボックス展とは、暗闇の中の芸術イベントです。Twitter で「人気のサザエBOT」の運営者である「なかのひとよ」さんの個展です。事前に展示内容は公表されず、撮影も禁止。入場の際は、内容を口外しないことなどの同意書も書く必要があります。

会場内は真っ暗で、壁をつたって移動するため、人と接触してしまうこともあるようです。このような状況のなか、痴漢行為の被害に遭ったケースがいくつかあるようです。

このように、痴漢行為が行われやすい場所は、人が多く集まるイベントです。盛り上がって出来心から痴漢行為に走ったりする人がいるようです。

3-4.実際の被害事例

次に、実際の被害事例をみていきましょう。

どのイベントにも共通しているのは、人と密着するような状況を利用しているということです。

サマソニ、フジロックなどの夏フェスでは、胸や臀部を触られるなどの痴漢行為だけでなく、下着の中に手を入れられたという被害もあります。

また、複数が関与しているケースも報告されています。具体的には、1人が押さえ付け、もう1人に服の中に手を入れられたなどの被害が報告されています。モッシュ時は、手を挙げたときに胸を触られるケースが多いようです。

ブラックボックス展では、暗闇を利用しての抱きつき行為、胸を触る、腕を引っ張りキスする、髪を撫でるなどの被害が報告されています。これらは、ツイッターなどで報告された事例のため、被害の一部でしかありません。実際に被害に遭った方のほとんどは、被害を公にしないため、他にも被害事例は多くあると思います。

被害者からは、「夏フェスに夢中で誰も気づいてくれない」「悪質な参加者のせいでアーティストやフェスの印象まで悪くなってしまう」「最悪な気分だった」「とても怖くて頭が真っ白になり声がでなかった」「声を上げて注目されるのが怖かった」という悲痛な声が上がっています。

海外の野外フェスでは、痴漢行為だけではなく性的暴行を受ける事件も発生しています。熱狂的な雰囲気にのまれてしまうこともあると思いますが、性的暴行まで発展するケースでは、計画的犯行もあるため女性に対する認知の歪みなども原因といえるでしょう。

このように、被害の実態は思っている以上に悪質です。計画的犯行や衣服の中に手をいれるようなケースでは行為態様から、罪も重くなります。

3-5.大型イベントで痴漢行為が起きる理由

ではなぜフェスや花火大会などの大型イベントで痴漢行為が起きてしまうのでしょうか。
実際に大型イベントで痴漢行為に走ってしまう心理状態は、以下のようなものです。

  • 混雑しているので誰だかわからないはずだ
  • 痴漢行為をしても誤魔化せるだろう
  • フェスの騒音が激しいので、声を出されても周囲に気づかれないはず

これらについては、混雑した状況の中にいることで、「犯罪行為が見つかりにくくなっているはず」と考えてしまうことに共通点があります。実際には、痴漢行為は絶対に許されない犯罪です。

しかし、楽しくて盛り上がっている雰囲気やお酒が入った状況などから理性が緩み、上記のような心理状態に陥ってしまうことがあります。

4.女性の肌の露出が多いイベント

コミケ 痴漢

4-1.コミケ会場

最近では、コミケ(コミックマーケット)やハロウィンイベントなどでも痴漢被害が報告されています。

コミケとは、同人誌を書く人・好きな人が自費で本を売買したり、友好を深めたりする場所のことです。夏コミと冬コミの年二回が通常開催されています。

販売されている本の多くは、漫画やアニメの二次創作で、小説やイラストなどの販売もあります。コスプレのイメージがあるかもしれませんが、あくまでコスプレイベントではなく本の自費販売が目的の集まりです。もっとも、コミケでは、コスプレした女性も多く被害にあうケースがあるようです。

4-2.ハロウィン渋谷&池袋の交差点で犯罪行為

他方、ハロウィンは近年日本で人気のある10月31日付近に行われる仮装イベントです。もともとは、欧米の文化ですが、最近では日本でもイベント化されています。渋谷&池袋の交差点や路上、クラブなどの各店舗や、ディズニーランド・USJなど大型アミューズメントパークでハロウィンイベントが開催されています。

もっとも、痴漢被害が問題になっているのは、池袋や渋谷のハロウィンの仮装パレードです。コスプレをした若者が道路上に人が大勢集まるため、痴漢などの犯罪行為が多発しています。

4-3.コミケの被害実態

では、実際の被害事例をみていきましょう。

コミケでは、人混みで臀部を触る、スカートの中に手を入れるなどコスプレ女性が多く被害に遭っているようです。コスプレ女性以外でも、列でスカートを履いた女性の後ろにぴったりくっつき、つきまとうなどの被害もインターネット上で報告されています。

4-4. ハロウィンの被害実態

渋谷や池袋の路上仮装パレードでは、交差点で通りすがりに臀部や胸を触るなどの報告が多発しています。痴漢だけでなくナンパや写真撮影を強要されることもあるようです。

被害者からは、「趣味の場で痴漢に遭ったのがショック」「怖くてこれからのイベントに参加できない」という声が上がっています。

ハロウィンイベントでは、交差点で人が混雑し、多くの人とすれ違うため、犯人を見つけることは難しいのが実情です。これは、コミケでも同様です。見つけたとしても会場が広いため、逃げられてしまう可能性も高いようです。

4-5.コミケやハロウィンで痴漢行為の何故?

では、なせコミケやハロウィンイベントなどで痴漢行為が発生するのでしょうか。
痴漢行為に出てしまう心理としては、以下のようなものが考えられます。

  • たくさん参加者がいるので犯人を特定できないはず
  • 会場も広いから逃げられるはず
  • コスプレしている女性は好きでその格好をしているのだから痴漢しても大丈夫

フェスや花火大会などのケースと同様に、「犯行が見つかりにくいはず」という心理が働いているケースもありますが、ハロウィンやコミケのコスプレ女性に対しては「痴漢をしても良い」という歪んだ考えも背景にあるようです

これ以外にも、路上のハロウィンイベントなどでは、飲酒などにより理性が飛んでしまうケースも考えられます。

「自分はしない」と考えていても、飲酒やその場の状況によって人は影響されてしまいます。どのような場所で、なぜ起こったのかについて理解しておくことは被害者だけでなく加害者になりうる側にとっても重要なことです。

5.路上やイベントでの痴漢と罪

では、イベント会場や路上での痴漢行為はどのような罪にあたるのでしょうか。

まず、衣服の上から胸や臀部などを触った場合は、迷惑防止条例違反(東京都の場合公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例5条1項1号など)となります。これにより、「6月以下懲役又は50万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。常習の場合は、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。

仮に、下着の中まで手を入れ、直接触れた場合は、強制わいせつ罪(176条)にあたります。これにより、「6月以上10年以下の懲役」が科せられる可能性があります。

強制わいせつ罪は、2017年7月13日の刑法改正により親告罪でなくなるため、迷惑防止条例違反の場合と同様に告訴は必要ありません。

5-1.迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪

「直接触ったかどうか」というのは、2つの犯罪を分ける一応の基準とはなりますが、絶対ではありません。衣服の上からであったとしても痴漢行為の態様から、「暴行・脅迫」を用いたと判断され、強制わいせつ罪になる可能性があります。

上記で解説したイベントの被害事例でいうと、「腕をひっぱりキスした」というケースは暗闇で抵抗することが困難な状況があるため、強制わいせつに当たる可能性があります。

これ以外にも、人気のない場所で衣服の上から触ったというケースでは、強制わいせつとして立件される可能性があります。

このように、路上やイベントでの痴漢行為は迷惑防止条例違反か、強制わいせつ罪を科せられる可能性のある行為です。

強制わいせつと判断されると罪が重くなることは確かです。この点を理解しておきましょう。

6.イベントで痴漢行為をして捕まったら泉総合法律事務所に相談を

ご説明した通り、痴漢行為は、駅や電車内だけのことではありません。フェスや花火大会でも被害が多数報告されています。痴漢被害に遭ったら、即時警察へ連絡しましょう。

また、痴漢加害者は、確信犯もいますが、実際は「まさか自分がするわけがない」と思っている方が、お酒に酔って、あるいはその場の勢いで魔が差して痴漢行為をしてしまったという例も数多くあります。

仮に痴漢をしてしまった・逮捕されたという方は、弁護士に相談することから始めてください。罪を認め、被害者に深く謝罪し、反省すれば、やりすことも可能です。

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