盗撮 [公開日]2022年1月31日[更新日]2022年11月22日

盗撮再犯で逮捕された!常習の再発防止策と不起訴のための弁護活動

盗撮の再犯は、発覚すれば逮捕・勾留・起訴される可能性が高くなります。
何故なら「懲りておらず、ここで処罰しなくては将来的にも犯行を繰り返す危険性がある」と評価されるからです。

このコラムでは、盗撮の「再犯」「常習犯」で逮捕された場合、不起訴を得るために注意するべき点について説明します。

1.盗撮の罰則

例えば、東京都の迷惑行為防止条例には、違反した場合に以下の刑罰が定められています。

違反行為 刑罰
人の通常衣服で隠されている下着又は身体を撮影する行為
(5条1項柱書、同2号)
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(8条2項1号)
【常習犯】
2年以下の懲役又は100万円以下の罰金(8条7項)
人の通常衣服で隠されている下着又は身体を撮影するために撮影機器を差し向け又は設置する行為
(5条1項柱書、同2号)
6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(8条1項2号)
【常習犯】
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(8条8項)

上の条文のように、盗撮犯は「常習として」違反行為を行った場合に刑が加重されます。これを「常習犯」と呼びます。

(1) 「常習犯」とは?

「常習犯」は、法律用語としては、同一の犯罪を「反覆累行する習癖あるもの」と定義されます。

「累行」とは重ねることを意味します。「習癖」とは、「性癖、習慣化された生活ないし行動傾向、人格的、性格的な偏向など」を意味し、当該犯行がその者の習癖の発現であると認められる場合であって、はじめて「常習犯」としての罰則が適用されます。

したがって、盗撮犯の場合、性的な衝動を抑えることができずに盗撮を繰り返してきた場合が典型的です。

ただし、性的動機に限らず、例えば、盗撮した画像をネットなどで販売する営利的な動機で盗撮行為を繰り返したケースなどにも、やはり同一犯罪を繰り返す習癖があるとして、常習犯とされる可能性もあります(最高裁昭和54年10月26日決定)。

常習性の有無を左右する明確な基準を定めた法令や判例はなく、前科、前歴、犯行態様、動機などの諸事情を総合考慮して裁判官が判断します。

多くの場合、同一犯罪の前科があること、すなわち同一犯罪での確定した有罪判決が重視されますが、それも判断要素のひとつに過ぎません。たとえ前科がなくとも、犯行が習癖の発現と判断されれば常習犯とされます(最高裁昭和25年3月10日決定)。

(2) 「再犯」とは?

「再犯」とは、法律上の用語としては、一定の要件を満たす場合に刑を加重する制度のひとつを意味します。これを「刑法上の再犯」と呼びます。

刑法上の再犯(刑法第56条)は、①懲役に処せられた者が、②その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から、③5年以内に更に罪を犯した場合において、④その者を有期懲役に処する場合を指します。
前の犯罪が同一犯罪や同種犯罪であることは要件ではありません。例えば、窃盗事件を起こした後に盗撮行為を行なった場合でも「再犯」となります(この点で、同一犯罪の反復を内容とする常習犯とは異なります)。

再犯とされた場合、その法定刑の長期は、その罪について定めた懲役刑の長期の2倍以下となります(刑法第57条)。短期は加重されません。

例えば、東京都において、被害者の下着を撮影した行為の懲役刑は1年以下ですが、再犯に該当すれば2年以下の懲役刑となります。
盗撮行為が常習犯の行為と認定されれば、通常の懲役刑は2年以下ですが、再犯に該当すれば4年以下の懲役刑となります。

再犯が加重処罰されるのは、懲役刑を受けた経験があるのに、反省して行いを改めておらず、強い非難に値するからです。

なお、再犯と混同されやすい言葉に「余罪」があります。これは捜査対象となった被疑事実や起訴された公訴事実ではない犯罪事実のことを意味します。
したがって、余罪は再犯(刑法上の再犯、一般用語としての再犯)や常習犯罪に該当する場合もあります。

[参考記事]

余罪とは?警察の捜査内容や逮捕・起訴への影響

【常習犯と再犯の犯行が複数回に及ぶ場合の加重】
常習犯は、複数回にわたり犯行を重ねても、それがひとつの習癖の発現と認められる限り、包括して一個の常習犯罪一罪として処罰されます(最高裁昭和26年4月10日判決)。
ただし、盗撮行為の場合、犯行場所が異なる自治体で、別個の迷惑防止条例が適用されるケースでは、違反した条例が異なります。よって、一罪と扱うことはできないので、常習犯であっても別個に数罪として刑が加重されます(併合罪加重・刑法45条、47条)(東京高裁平成17年7月7日判決)。
他方、再犯では、後の犯罪が2つ以上ある場合を「三犯」と呼び、3つめ以上の犯罪も再犯と同様に加重処罰されます(累犯加重・刑法59条)。

(3) 「初犯」とは?

初犯は、上記に当てはまらず、刑事事件について過去に前科・前歴がないケースです。

なお、「盗撮行為の初犯は逮捕・起訴されないのか?」との質問を弁護士が受けることがありますが、立件・起訴される犯行回数の基準というものはありません。検察官は、たとえ1回目の盗撮でも起訴する権限があります。

確かに、再犯・常習犯がある場合と比べ、初犯の場合は刑事手続きにおいて厳しい処分が出されることは少ないですが、初犯であっても起訴される可能性は0ではないです。

[参考記事]

盗撮で初犯の場合|逮捕・起訴される?

2.再犯の盗撮を弁護士に依頼すべき理由

盗撮行為が露見したときは、逮捕された場合はもちろん、身柄を拘束されていない場合でも直ちに弁護士に弁護を依頼するべきです。
特に再犯の場合、弁護士のサポートを受けることが不起訴の獲得には不可欠です。

再犯の場合、「今後、二度と盗撮はしません」などの言葉を信用する検察官・裁判官はいません。既にその約束を破った実例があるからです。
少なくとも二度にわたり罪を犯しているわけですから、「今回の犯行を行った原因は何か?」「前の反省と今回の反省はどこが違うから次はないと約束できるのか?」という点について、検察官・裁判官に説得的に説明できなくては、今後も犯行を繰り返す危険が大きいと判断されてしまいます。

これは家族についても同様です。今までの監督方法では再犯を抑えることができなかったのですから、その原因を考え、どのように監督方法を変更するか説明できなくては、検察官や裁判官を納得させることはできません。

とはいえ、これらは非常に難しい作業です。現実に今後の犯行を防止するにはどのような対策があるか、具体的に頭を捻る必要があります。
例えば、次のような対策が考えられます。

  • 女子学生等が多い交通機関に乗らないよう通勤経路を変更する
  • 毎日帰宅後はスマホを妻が保管し、保存された画像をチェックする
  • パソコンは家族共用のものだけとし、家族がデータをチェックする
  • 性的衝動を抑制するためカウンセリングを受け、通院をする

大切なのは、本人と家族が真剣に再犯してしまった原因と向き合い、様々な防止策を考えこれを実行する決意を持っていると検察官や裁判官に知ってもらうことです。

再犯事件における弁護士の役割のひとつは、法的専門知識と刑事弁護の経験から、このような本人と家族の作業が進むようアドバイスを与え、その結果を書面や口頭で検察官・裁判官に伝えて、処分の軽減を働きかけることにあります。

再犯事件では、未だ更生の可能性が残っていることを検察官、裁判官に理解してもらう必要があり、刑事弁護の経験豊富な弁護士を依頼するべきですので、刑事事件に力を注いでいる泉総合法律事務所にぜひご相談ください。

3.再犯の盗撮事件に関するよくある質問

  • 2回目の盗撮は罪が重くなるのか?

    盗撮犯が「常習として」違反行為を行った場合は、刑が加重されます。「常習犯」は、法律用語としては、同一の犯罪を「反覆累行する習癖あるもの」と定義されます

    また、懲役に処せられた者が、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合、刑法上の再犯として有期懲役に処されます。

    再犯とされた場合、その法定刑の長期は、その罪について定めた懲役刑の長期の2倍となります(刑法第57条)。

    例えば、東京都において、被害者の下着を撮影した行為の懲役刑は1年以下ですが、再犯に該当すれば2年以下の懲役刑となります。
    撮影した行為が常習犯の行為と認定されれば、通常の懲役刑は2年以下ですが、再犯に該当すれば4年以下の懲役刑となります。

  • 盗撮の再犯・常習犯でも不起訴になるのか?

    再犯・常習犯ともに、発覚すれば逮捕・勾留される可能性、起訴される可能性は高くなります

    少なくとも二度にわたり罪を犯しているわけですから、「今回の犯行を行った原因は何か?」「前の反省と今回の反省はどこが違うから次はないと約束できるのか?」という点について、検察官・裁判官に説得的に説明できなくては、今後も犯行を繰り返す危険が大きいと判断されてしまいます。

    とはいえ、本人と家族が真剣に再犯してしまった原因と向き合い、色々な防止策を考え、これを実行する決意を持っていると検察官・裁判官に知ってもらうことができれば、不起訴を勝ち取れる可能性は0ではありません

  • 盗撮の再犯防止のためには何をするべき?

    現実に、今後の犯行を防止するには以下のような対策が考えられます。

    • 女子学生等が多い交通機関に乗らないよう通勤経路を変更する
    • 毎日帰宅後はスマホを妻が保管し、保存された画像をチェックする
    • パソコンは家族共用のものだけとし、家族がデータをチェックする
    • 性的衝動を抑制するためカウンセリングを受け、通院をする

    弁護士は、法的専門知識と刑事弁護の経験からこのような本人と家族の作業が進むようアドバイスを与え、その結果を書面や口頭で、検察官・裁判官に伝えて、処分の軽減を働きかけます

    もちろん、被害者との示談交渉も弁護士が行うことが可能ですので、盗撮の再犯で逮捕された場合、一日でも早く刑事事件に強い弁護士までご相談ください。

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