痴漢 [公開日]2020年9月25日[更新日]2022年10月4日

痴漢の示談金相場はいくら?|増額するケース・減額するケース

痴漢をしてしまった被疑者の方は、被害者に示談を受け入れてもらうことで、長期の身体拘束・起訴決定・前科などの多くの不利益を回避できる可能性があります。

示談の成立には当然示談金の支払いが必要ですが、必要なお金がどのくらいか・相場はいくらなのかは、被疑者にとって非常に重要な問題でしょう。

そこで、今回は痴漢の示談金相場について解説します。

1.痴漢の示談金相場

示談に際しては、被疑者側が示談金を被害者に支払うことになります。
示談金を支払う側からすれば、示談金がいくらになるかは気になるところでしょう。

示談金の額は、被害者との話し合いで決まります。そのため、具体的なケースごとに金額は大きく異なります。

行為態様が悪質で、被害者の処罰感情が強かったり、被疑者の社会的地位が高かったりする場合には、示談金の額も増額することになるでしょう。

他方、被疑者が心から反省し、被害者に謝罪の意思が十分に伝わったことで被害者の処罰感情が薄れた場合には、示談金の額は減額することになるでしょう。

このように、示談金額の相場について一概に語ることはできません。
しかし、大まかな相場を言えば以下の通りです。

迷惑行為防止条例違反 20万円から50万円
強制わいせつ罪 50万円から100万円

ただし、100万円が強制わいせつの痴漢示談金の上限というわけではありません。
例えば、被害者が未成年で両親の怒りが相当のものである場合などには、100万円を超える額となることもあります。

なお、示談交渉では、相手から法外に高額な金額を提示されることがあります。
しかし、弁護士であれば、過去の類似した事案での例を示すなどして、妥当な金額で説得できる可能性が高くなります。

どのくらいの示談金が必要となるかは、ケースごとに弁護士に見通しを立ててもらうことをお勧めします。

2.痴漢事件における示談とは?

なぜ上記のような高額な示談金を支払う意義があるのでしょうか?

痴漢における示談金の性質は、被害者の精神的苦痛に対する補償である慰謝料です。
慰謝料を支払うことで事件について許してもらい、被害者の処罰感情が無くなったことを検察官に対し明らかにすることで、被疑者の処罰に関して考慮してもらえることになります。

示談成立の証拠として作成した示談書を検察官に提出すれば、検察官はこれを被疑者に有利な事情として考慮した上で、起訴するか否かの判断を下します。

つまり、検察官による終局処分の決定の際、被害者との示談が成立していることにより、不起訴となる可能性が高くなるのです。

また、示談が逮捕前や勾留請求前、勾留決定前といった刑事手続きの早い段階に成立した場合、以降は被疑者を身体拘束して捜査を進める必要性に欠けると判断され釈放とされることも多いです。

そのため、示談成立により「逮捕されない」「勾留請求されない」「勾留請求が却下される」など、身柄拘束の不利益を回避できる可能性が高くなります。

[参考記事]

刑事事件の示談の意義・効果、流れ、タイミング、費用などを解説

3.痴漢の示談金に関するよくある質問

  • 痴漢の罰金は何円?

    痴漢の「罰金」は、示談金とは根本的に性質の異なるものです。「示談金を支払ったから罰金は払わなくて良い」ということはありませんし、逆も然りです。
    例え示談が成立し示談金を支払っていても、前科がある場合や犯行が悪質である場合は、罰金刑が言い渡されることがあります。

    それでも、示談金を支払えば良い情状となり、罰金の金額が低くなる可能性もありますので、示談成立は重要となります。

    迷惑防止条例違反の痴漢事件の罰金は、上限が都道府県ごとに迷惑防止条例で定められています。
    例として、東京都の迷惑防止条例において、痴漢に該当する行為を行った場合の罰金は以下の通りです。

    通常の場合「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」(8条1項2号)
    常習の場合「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(8条8項)

    他方、下着の中に手を入れる等、犯行態様が悪質な痴漢は強制わいせつ罪となり、これについては罰金刑がありません。
    すなわち、起訴されれば必ず懲役刑(執行猶予の可能性はあり)となってしまいます。

    参考:痴漢の罰金と刑罰|逮捕後の流れと共に解説!

  • 痴漢の示談金はいくら?

    示談金額は被害者との話し合いで決まるため、具体的なケースごとに示談金の額は大きく異なります。
    しかし、大まかに相場を言えば以下のようになるでしょう。

    迷惑行為防止条例違反 20万円から50万円
    強制わいせつ罪 50万円から100万円

    金額については、以下のような事情によって前後します。

    • 行為態様
    • 被害者の処罰感情
    • 被疑者の反省の度合い
    • 被疑者の社会的地位や財力
  • 痴漢の示談金はいつ支払う?

    痴漢の示談金は、弁護士(被疑者の代理人)と被害者が示談書について取り交わした後に支払います。

    示談金額や支払い方法(一括払いか分割払いか等)、振込先、支払い期限などは示談書で取り決めます。

    被疑者の方は、示談書に記載された振込先に、指定の支払い方法により期限までに示談金を入金することになるでしょう。示談金金額支払われないと検察官からは示談成立とはみなされません。

    弁護士は、示談金の支払いが完了した後に、示談書のコピーを捜査機関に提出します。
    これにより被害回復がされていることが証明され、被疑者にとって有利な情状となります。

4.まとめ

被疑者は、被害者の連絡先を知ることができません。警察官や警察官は、被疑者に対し被害者の連絡先を教えることがないのです。
よって、示談を当事者同士で行うのはそもそも不可能に近いです。

また、示談交渉はスピーディに行い、遅くとも検察官が起訴の判断をする前に示談を成立させることが最も重要です。
そのため、示談交渉は弁護士に依頼する必要があります。

相手から法外に高額な金額を提示されてしまった場合でも、弁護士が過去の類似した事案での例を示すなどして、妥当な金額で納得いただける可能性が高くなります。

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