財産事件 [公開日]2020年5月18日[更新日]2020年5月18日

下着泥棒で逮捕|示談すれば不起訴?慰謝料はいくら?

下着泥棒をやめられずに繰り返していると、警察に逮捕されてしまう可能性が非常に高くなります。

下着泥棒は重大な犯罪です。
一刻も早く対処しなければ起訴されて裁判にかけられ、最悪の場合実刑判決を受けてしまうこともあります。

万が一下着泥棒で逮捕されてしまったら、被害者との示談などを含めて、弁護士に依頼して速やかに対応する必要があります。

この記事では、下着泥棒に成立する罪・下着泥棒で逮捕された場合の流れ・示談をするメリットや方法、示談金の相場などについて詳しく解説します。

なお、下着泥棒をやめられないという心理について知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

[参考記事]

なぜ下着泥棒をするのか?下着泥棒の特徴と心理

1.下着泥棒に成立する罪とは

まず、下着泥棒にどのような刑法上の罪が成立するかについて見ていきましょう。

(1) 窃盗罪

下着泥棒は、被害者の意思に反して下着という財物の占有を奪う行為です。
したがって、下着泥棒には窃盗罪(刑法235条)が成立します。

窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

(2) 住居侵入罪

また、下着泥棒を行う際には、被害者の住居への侵入を伴うことが多いです。
この場合には、住居侵入罪(刑法130条前段)も成立することになります。

住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

ただし、窃盗罪と住居侵入罪は目的・手段の関係にあり、いわゆる牽連犯(刑法54条1項)に該当します。
したがって、重い窃盗罪の法定刑が適用されます。

(3) 強盗罪・強制わいせつ罪など

下着泥棒を行う際に住人に見つかってしまい、その住人に危害を加えた場合には、きわめて重い罪である強盗罪(刑法236条1項)または事後強盗罪(刑法238条)が成立してしまいます。

また、住人に対して劣情を催すなどしてわいせつな行為に及んだ場合には、強制わいせつ罪(刑法176条)、強制性交等罪(刑法177条)、強盗強制性交等罪(刑法241条1項)が成立する可能性があります。

これらの罪はいずれも非常に重い法定刑が定められていますので、住人に危害を与える行為は絶対に行ってはなりません。

2.下着泥棒で逮捕された場合の流れ

もし下着泥棒で逮捕されてしまった場合、どのくらいの期間身柄拘束が続くのでしょうか。
逮捕されてから、起訴・不起訴が決定するまでの流れについて解説します。

(1) 逮捕は現行犯逮捕と令状逮捕の2種類

まず、逮捕には①現行犯逮捕②令状逮捕の2つのパターンがあります。

現行犯逮捕は、犯行現場を警察や被害者に目撃され、その場で逮捕される場合です。
現行犯逮捕は誰でも行うことができ、また逮捕状も不要です(刑事訴訟法213条)。

令状逮捕は、犯行現場で逮捕されなかったとしても、現場の状況や証拠などから罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由が認められる場合に、裁判所の発行する逮捕状に基づいて行われる逮捕です。

現行犯逮捕、令状逮捕いずれの場合も、逮捕されると留置場などでの身柄拘束が開始することになります。

なお、逮捕にあたっては警察官から①弁護人を選任できる旨、および②黙秘権の告知が行われます。
弁護人選任権と黙秘権は、いずれも被疑者の重要な権利ですので、覚えておきましょう。

(2) 逮捕後48時間以内に検察官へ送致

警察官は、逮捕により身柄拘束が始まってから48時間以内に、被疑者を検察官に送致するかどうかを決定しなければなりません(刑事訴訟法203条1項)。

ここで警察官が「留置の必要性なし」と判断した場合には、被疑者は直ちに釈放されることになります。

(3) 検察官は24時間以内に勾留の要否を決定

警察官から被疑者の身柄の送致を受けた検察官は、24時間以内に被疑の勾留を請求するかどうかを決定しなければなりません(刑事訴訟法205条1項)。

なお、検察官による勾留請求は、身柄拘束が始まってから72時間以内に行わなければならないことも決まっています(同条2項。警察官から検察官に被疑者の身柄が送致される際に移動時間のラグがあり得るため、トータルでの身柄拘束時間が決まっています。)。

勾留とは、逮捕よりも長期間の身柄拘束です。
より詳細に罪状などを取調べして起訴の要否を決定する必要があると検察官が判断する場合には、検察官が裁判官に対して勾留を請求することになります。

検察官が身柄拘束の必要性がないと判断した場合や、裁判官が勾留請求を棄却した場合には、被疑者は直ちに釈放されることになります。

なお、釈放されたからといって不起訴が決定するわけではなく、引き続き在宅での捜査が行われる場合もあります。

(4) 起訴前勾留期間は10日間〜

勾留請求が認められると、「起訴前勾留」という段階に移行し、引き続き被疑者の身柄は拘束されます。
この起訴前勾留期間中に、検察官は被疑者を起訴するかどうかを決定することになります。

起訴前勾留の期間は10日間です(刑事訴訟法208条1項)。
ただし、裁判官がやむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、起訴前勾留の期間が最大10日間延長されます(同条2項)。

実務上は、勾留延長が認められるケースは非常に多いので、起訴前勾留は最大20日間と理解しておきましょう。

(5) 起訴なら引き続き勾留、不起訴なら釈放

起訴前勾留を経て、検察官が被疑者を起訴することを決定した場合には、「起訴後勾留」に切り替わり、被疑者は「被告人」としてさらに引き続き身柄を拘束されます。

起訴後勾留の期間は2ヶ月間で、1ヶ月ごとに何度でも延長することができます(刑事訴訟法60条2項)。
つまり、起訴されてしまうと身柄拘束の期間が非常に長期間に及んでしまう可能性が高いといえます。

一方、検察官が被疑者を不起訴処分にした場合、事件は終了し、被疑者は釈放されることになります。

不起訴処分は、罪を犯したと認めるに足りる事情がない場合(嫌疑不十分)だけでなく、罪を犯したことが確実であっても今回は起訴しないという判断により行われることもあり得ます(起訴猶予)。

【余罪があると身柄拘束期間が伸びる場合がある】
なお、上記の身柄拘束期間は、あくまで一つの犯罪についての話です。もし複数回にわたって下着泥棒を働いたなど、余罪がある場合には、上記の身柄拘束期間は事件ごとにカウントされます。
したがって、再逮捕・再勾留により身柄拘束期間がどんどん伸びてしまうという可能性もあります。

3.不起訴を得るためには被害者との示談が有効

長期間の身柄拘束や、懲役刑・罰金刑などを避けるためには、検察官に良い情状をアピールして不起訴処分(起訴猶予処分)にしてもらうよう努力するしかありません。

不起訴処分を得るために行われる活動のうち代表的なものが、被害者との示談交渉です。

(1) 示談が成立すると良い情状となる

窃盗罪・住居侵入罪は、起訴するために被害者の告訴が必要とはされていません(非親告罪)。
そのため、被害者との示談が成立したとしても、必ず不起訴になるというわけではありません。

しかし、被害者に対して誠心誠意謝罪した上でできる限りの金銭的な補償をし、被害者の処罰感情を軽減したということは、被疑者にとって有利な情状として考慮されます。

そのため、示談を成立することができれば、不起訴処分になったり、仮に起訴されたとしても実刑判決を免れたりすることにつながります。

(2) 示談を行うための方法

ただし、示談交渉を被疑者と被害者の当事者同士で行うことは現実的ではありません。

下着泥棒のような性的な犯罪では、被害者は被疑者に対して強い嫌悪感と処罰感情を持っていることが多いといえます。

そのため、直接顔を合わせての交渉を行った場合、被害者の感情を逆なでしてしまうおそれが大きいでしょう。

被害者との示談交渉を行う際には、弁護士に交渉を依頼するのがおすすめです。

弁護士は、被疑者および被告人の身柄拘束からの解放・不起訴処分の獲得・起訴された場合には被告人に寛大な判決の獲得などに向けて、法律の専門的知識と経験を活かして被疑者・被告人のために尽力してくれます。

示談についても、全面的に交渉の矢面に立って交渉を行ってくれます。

刑事事件の弁護活動はスピード感を持って行う必要がありますので、もし下着泥棒で逮捕されてしまったら、すぐに弁護士に相談してください

(3) 示談金(慰謝料)の相場

下着泥棒の示談金は、具体的な事件によってさまざまであるというのが実情です。

住居侵入を伴う態様で行われたか、被害者がどの程度の処罰感情を抱いているかなどによって異なりますが、おおむね30万円~100万円程度になることが多いようです。

いずれにしても、被害者に対して心から謝罪するという態度を明確に見せることが、示談を成立させるための重要なポイントになります。

4.逮捕されたら弁護士へ相談を

このように、下着泥棒で逮捕されてしまうと、長期間身柄を拘束された上に、最悪の場合懲役刑に処されてしまいます。

下着泥棒で懲役刑に処されてしまうと、社会から離れる期間が非常に長くなる上に、世間体も非常に悪く、社会復帰が困難になってしまいます。

万が一下着泥棒で警察に逮捕されてしまった場合には、弁護士に相談して、被害者との示談交渉などできる限りの善後策を速やかに講じる必要があります。
一刻を争う事態になりますので、すぐに泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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