在宅事件でも起訴・前科!?長期化するからこそ弁護士に相談を!

在宅事件

在宅事件でも起訴・前科!?長期化するからこそ弁護士に相談を!

刑事事件で逮捕されたけれども在宅事件となった、という場合、その後の手続の流れはどのようになるのでしょうか?前科はついてしまうのでしょうか?

今回は、在宅事件・在宅起訴について、基礎から解説します。

1.在宅事件・在宅起訴とは

(1) 在宅事件

在宅事件」とは、被疑者が捜査機関(警察・検察)に身柄拘束(逮捕・勾留)されていない事件を言います。
在宅事件の反対語は、「身柄事件」です。身柄事件は、被疑者が捜査機関に身柄を拘束されている事件のことです。

実は、在宅事件、身柄事件という言葉は、法律用語ではありません。刑法にも刑事訴訟法にもこの言葉は書いておらず、ただの業界用語です。

逮捕、勾留されていれば「身柄」、されていなければ「在宅」と呼んで区別しているだけです。

(2) 在宅事件の様々なケース

逮捕も勾留も、ひらたく言えば、被疑者が、犯罪を犯したという疑いがあり、社会に置いたままでは、逃亡したり、証拠隠滅をしたり、証人を脅かしたりする危険があると考えられる場合に、被疑者の自由を拘束するのです。

ですから、犯罪を犯した疑いがあるけれど、逃亡や証拠隠滅の恐れが無いだろうというケースでは身柄を拘束しないのです。

最初から逮捕すらしないケースもありますし、逮捕したけれど勾留まではしないケース、勾留したけれど起訴になる前に釈放されたケース、あるいは起訴後に保釈されたケースなど、いろいろなパターンがあります。

要は、裁判の判決を受けるまで、逃げたり、証拠や証人に危害を加えたりしないだろうと認められたケースです。

逆に、当初は、逮捕・勾留されておらず、このまま在宅事件でゆくかと思われたのに、被疑者が行方不明になったり、被害者宅に押しかけたりした結果、逮捕されて身柄事件となる場合もあるわけです。

(3) 身柄事件と在宅事件の数

平成27年版犯罪白書によりますと、平成26年、全被疑者に占める身柄事件の割合は約34%だったとの報告です(ただし、この統計での身柄事件の用語は、警察等で被疑者が逮捕されて検察官に送致された事件と検察庁で被疑者が逮捕された事件を指していますので、後で釈放されて在宅となったケースは含みません)。

つまり、身柄事件より、在宅事件の方が、数が多くなっています。

(4) 在宅事件と略式起訴

このように、在宅事件という言葉には、逮捕、勾留されていないという意味しかありませんので、それ以外の点は、身柄事件と何も変わりはありません。

よく、在宅事件=略式起訴(略式命令)になると誤解されている方がいます。

もちろん、略式命令は100万円以下の罰金刑を受ける場合ですので、微罪が多く、したがって、在宅事件が多いとはいえます。

しかし、在宅事件でも通常の公判請求(通常の起訴)をされて、最悪実刑となるケースも当然にありますし、逆に逮捕、勾留されていても、略式で終わる場合も多くあります。

略式起訴(略式命令)について、詳しくは「知っておきたい不起訴処分と略式請求(略式起訴、略式裁判)について」をご覧ください。

2.在宅事件の流れ

(1) 在宅事件の手続の進行

在宅事件といっても、先にお話したとおり、色々なパターンがあります。

最初から逮捕されないままのケースで考えると、取り調べはすべて任意ですから、警察から出頭するよう呼び出され、何度か警察署で取調べを受けます。その後、警察が事件を検察庁に送りますから、検察庁から出頭するよう連絡が来て、何度か(微罪であると通常は1回)検察官の取り調べを受けます。

その後、検察官が起訴するか否かを決めます。起訴されれば、起訴状が郵送されてきます。

略式起訴の場合は、略式とすることについて検察官から説明があり、被疑者本人の同意も必要ですから、事前にわかります。簡易裁判所が略式命令(つまり罰金の命令)を出すと、書類が郵送されてきます。

その後、検察庁から、罰金の納付書が送られてきますから、記載された指示にしたがって納付します。

通常の公判請求がされた場合は、裁判所から呼出状が郵送されてきます。

(2) 起訴までの時間

身柄事件の場合は、逮捕してから起訴するまでの期間が厳格に決まっていますから、逮捕から最長約23日で起訴不起訴が決まります。

しかし、在宅事件では、そのような期間制限がありません。捜査の開始から、起訴、不起訴の決定までどれほどの期間がかかるかは、まったく不明です。

事案により数ヶ月ですむ場合もあれば、何年も放って置かれる場合もあります。軽微な在宅事件は後回しになる場合が多いのです。

3.在宅起訴となる事件条件

(1) 自白、家族、勤務先、微罪

在宅起訴(つまり身柄拘束されないままで起訴を迎えるケース)となるのは、どんな場合か決まっているわけではありませんが、事実上の条件はあります。

第一に被疑事実を認めていることです。否認のままであれば、捜査機関は、証拠隠滅の危険があると見ますので、まず逮捕されます。

次に、身元がしっかりしていることです。家庭、家族があり、仕事もしっかりした勤務先があれば、逃亡するとは考えにくいでしょう。

それから、事件の内容次第であることはもちろんです。いかに身元がしっかりして、犯行を素直に認めていても、殺人や強盗は在宅になりません。窃盗や詐欺なども同様です。薬物事件も、証拠隠滅の可能性が高いと見られてしまいます。

(2) 交通事故事件

ほとんど在宅事件となるのは、交通事故事件です。交通事故事件の場合は、例えば、被疑者が過失を否認していても、逮捕はされないことが多いです。

ただ、不幸にして、被害者が死亡してしまうと逮捕されるケースもありえます。

また、共犯者がいて、その者が所在不明といった場合は、接触、連絡を防止するために身柄を取られる場合が多いです。

4.弁護士の弁護活動内容

(1) 在宅事件での弁護士の役割

起訴前の段階で弁護士を依頼する大きなメリットは、身柄事件であれば、本人と面会して、外部との連絡役を担当してくれることです。

在宅事件の場合は、その必要はありません。ただ、在宅事件でも身柄事件でも、有利な処分を得るためになすべきこと、被害者との示談交渉や被疑者に有利な事情、証拠を集めて検察官に提出するといった役割は同じです。

(2) 弁護士の必要性

先ほど話したとおり、在宅事件は結論が出るまで、非常に時間がかかります。どうなるかわからない宙ぶらりんの状態を1人で不安でいるよりも、弁護士をアドバイザーとした方が、よほど精神的に落ち着くでしょう。

また、そう頻繁にあるケースではないですが、在宅事件は裁判まで時間がかかるため、捜査がはじまったときには、予想していなかった事態が公判で生じることがあります。

例えば、証人の死亡です。被告人に有利な証人であったら目もあてられません。そのような可能性があるならば、公判前に証人尋問を行っておくよう証拠保全を裁判所に請求する必要があります。

そういった臨機応変の対処は、弁護士でないとできません。

5.在宅事件でも弁護依頼を

在宅起訴でも、裁判となれば無罪にならない限り前科がつくことになります。略式起訴の罰金も前科であることは間違いありません。在宅事件だからといって甘く見ずに弁護士に相談してください。

泉総合法律事務所は、様々なパターンの刑事事件弁護の経験が豊富です。身柄事件・在宅事件問わず、刑事事件を起こしてしまったという場合はお早めにご相談ください。ご相談者様それぞれの状況に応じて臨機応変にサポートいたします。

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