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不起訴の起訴猶予は無罪なのか?処分保留との違い

不起訴の起訴猶予は無罪なのか?処分保留との違い

起訴猶予で不起訴になったら無罪というということなのでしょうか?もう捜査されることはないのでしょうか?

ここでは、不起訴の起訴猶予は具体的にどのような処分なのか?また、処分保留との違いを弁護士が解説します。

1.起訴猶予とは具体的にどのような処分?

1-1.起訴と不起訴

起訴とは、検察官が犯罪の有無とその量刑の判断を求めて、裁判所に公訴を提起することです。

これに対して、不起訴とは、文字通り検察官が起訴しないことを決めたということです。

不起訴になる理由は、大きく分けて、

  1. 嫌疑なし
  2. 嫌疑不十分
  3. 起訴猶予

の3つがあります。

1.「嫌疑なし」とは、犯罪の嫌疑がかかったので捜査したがそのような嫌疑はなかったということです。
2.「嫌疑不十分」とは、罪を犯したという疑いは残っているが、これを証明するための証拠が十分ではないので、起訴しないということです。
3.「起訴猶予」とは、罪を犯しており証明もできるが、軽い犯罪であるとか、被害者と示談ができて被害者も許してくれた、社会的制裁を既に受けている、深く反省しているなどの理由で、今回は、起訴しないであげますということです。

検察官が起訴するか起訴猶予にするかを考えるときの考慮要素として、刑事訴訟法248条では、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の情状が挙げられています。

1-2.不起訴処分後、捜査されることはない?

検察官は必要な捜査がすべて終わった段階で、起訴にするか、不起訴にするかを決めます。

日本の刑事裁判では、起訴されれば、有罪率99.9%と言われています。

参考:日本の刑事裁判の起訴後有罪率99.9%は本当か?検察の捜査力について

逆に、不起訴処分になった後は、通常捜査されることはありません。

しかし、これは絶対ではありません。憲法39条には、「一事不再理」という重要な権利が定められています。

一事不再理と不起訴処分

一事不再理とは、すでに無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われないということと、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われないということをいいます。

この場合の「無罪」とは、無罪判決を受けたことを言います。また、一度、有罪判決を受けた事件で、重ねて刑事上の責任を問われることもありません。

厳密には「不起訴」=「無罪」ではない

不起訴処分を受けた人は裁判を受けていませんから、無罪判決を受けたわけでも、有罪判決を受けたわけでもありません。そこで、この一事不再理は適用されないので、さらに捜査を受けることもありえます。よって、厳密には「不起訴」=「無罪」ではありません。

もっとも、再度捜査がされるというのは、あとになって有力な証拠が見つかった、不起訴処分を受けた後に被害者に嫌がらせをしたなど、明確な理由がある場合のみなので、通常滅多にないと考えて良いでしょう。

2.起訴猶予ならば前科はつかない?

過去の犯罪に関する事実には、「前科」と「前歴」があります。ただし、これは法律上明確に分けられて定義されているわけではありません。「前科」とは、なんらかの犯罪で起訴され、有罪の判決を受けて、この判決が確定したという事実のことです。不起訴処分で、刑事裁判を受けていなければ、そもそも「前科」がつくことはありません

なお、罰金刑も「略式裁判」というものを経て有罪になっているので「前科」になります。スピード違反など交通関係で罰金刑になった場合にも、前科がついています。

「前歴」とは、捜査機関(警察、検察)の捜査の対象となったことがあるという事実のことです。起訴猶予を含む不起訴処分は「前歴」として残ります。

前歴が問題になるのは、主には、次に何か罪を犯したときです。前歴があることとは、悪い情状の1つになります(明らかに嫌疑なしの不起訴なら別です)。 前科がなければ任意の事情聴取など任意捜査で終わるところ、前科があるために逮捕されるなど強制捜査となることもありえます。

参考:略式起訴・略式裁判(略式請求)と不起訴処分で必ず知っておくべきこと

3.処分保留と起訴猶予との違い

テレビのニュースなどでは、「処分保留による釈放」という言葉もよく聞くと思います。起訴猶予と処分保留とはどう違うのでしょうか?

犯罪の嫌疑がかかって捜査が始まったら、警察は、その事件を検察官に送致しなければなりません。「送検」という言葉も使われますが、「検察に送致する」という意味です。原則として、警察は、検察に事件を全件送致することになっています(なお、明らかに軽い犯罪に対して行われる微罪処分などの例外はあります)。

微罪処分に関して詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。

参考:微罪処分になる要件とは?呼び出しはあるのか、前歴はつくか

検察官は、送致を受けた事件については、捜査がすべて終わったときに不起訴処分にするか起訴するかを決めなければいけません。

検察官が、起訴にするか不起訴にするかをまだ決めていないけれど、身柄を拘束しておかなくても、きちんとした住まい(住所)があって、逃亡したり証拠を隠滅したりする恐れがないと判断した場合に、身柄拘束から一旦解放することを「処分保留での釈放」と言います。

参考:「処分保留で釈放」とは?不起訴ではないのか、再逮捕は有り得るのか

3-1.在宅捜査

犯罪の嫌疑をかけられた人はすべて逮捕されそのまま勾留されているようなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、そうではありません。
自宅で生活しながら、警察や検察官に呼び出しをされた時にはこれに応じるという方法で捜査を受けている人もいます。これを在宅捜査といいます。

処分保留で釈放された人は、その後、在宅捜査を受けます。そして、在宅捜査が終わったら、起訴と不起訴のどちらになるかが決まります。

参考:身柄事件と在宅事件の違い

4.社会復帰のためにも弁護士に相談を

逮捕されてしまった方、逮捕され証拠も出揃っているが、社会に影響なく復帰したいという方は、お早めに刑事弁護経験豊富な泉総合法律事務所にご相談ください。示談を成立させることであるいは示談の成否が処分結果に影響しない犯罪の場合には検察官に対する不起訴処分を求める意見書の提出などをすることで、起訴猶予(不起訴)とし、社会復帰できるよう全力で弁護活動を行います。

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