送検とはどういう意味?身柄送検、書類送検、逮捕の違いとは。

刑事事件用語

送検とは

1.はじめに

「書類送検された」「身柄送検された」「逮捕された」という言葉はよくニュースで聞きますが、それらはどういった違いがあるのでしょうか?

まず、送検、身柄送検、書類送検、逮捕の概念を確認した上、身柄送検あるいは書類送検されたらどうなるのか、どのような場合に逮捕されるのか、逮捕されたら前科がつくのかなどについて、説明することとします。

2.送検とは?

送検とは、一般的に、警察が捜査した事件を検察官に送ることをいうとされています。しかし、これはあくまでも俗称であって、法律的には正確とはいえません。

条文で確認しておきましょう。

刑訴法246条本文は、

「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。」

と規定しています。

そして、刑訴法246条本文にいう

「この法律(すなわち、刑訴法)に特別の定のある場合」には、「被疑者が逮捕(通常逮捕、緊急逮捕及び現行犯逮捕)された場合(これを実務上「身柄事件」と呼んでいます。)」

が当てはまります。

この場合、司法警察員は、被疑者の身体を拘束してから48時間以内に、書類及び証拠物とともに被疑者を検察官に送致する手続をしなければなりません(刑訴法203条、211条、216条)。実務上は、このような被疑者の送致とともに、事件そのものの送致(刑訴法246条本文)も同時になされています。

法律に照らした「送検」の解釈

これらの条文を合理的に解釈しますと、「司法警察員は、犯罪の捜査をして、被疑者が逮捕された場合には、その身体を拘束してから48時間以内に、犯罪の捜査で収集した書類及び証拠物とともに、被疑者の身柄付きで事件を検察官に送致すること、また、被疑者を逮捕しないか、逮捕された被疑者を釈放した場合には速やかに、犯罪の捜査で収集した書類及び証拠物のみで事件を検察官に送致すること」ということになります。

これが、法律に照らした「送検」ということになります。

身柄送検とは?

身柄送検とは、一般的に、逮捕した被疑者を検察官に送ることをいうとされています。しかし、この点は、上記2で整理したように、身柄送検は、「送検」の一つに含まれることになります。

すなわち、「身柄送検」とは、「司法警察員は、犯罪の捜査をして、被疑者が逮捕された場合には、その身体を拘束してから48時間以内に、犯罪の捜査で収集した書類及び証拠物とともに、被疑者の身柄付きで事件を検察官に送致すること」ということになります。

書類送検とは?

書類送検とは、一般的に、被疑者を逮捕しない(逮捕後に釈放した場合も含みます。)で、書類のみを検察官に送ることをいうとされています。この場合、刑訴法246条本文に照らして、送る対象としては書類のほか、証拠物も含まれることになります。

そして、この点も、上記2で整理したように、書類送検は、「送検」の一つに含まれることになります。

すなわち、「書類送検」とは、「司法警察員は、被疑者を逮捕しないか、逮捕された被疑者を釈放した場合には速やかに、犯罪の捜査で収集した書類及び証拠物のみで事件を検察官に送致すること」ということになります。

以上から、明らかなように、「送検」には、「身柄送検」と「書類送検」の2種類があることになります。

3.逮捕とは?

逮捕について確認しておきますと、逮捕とは、罪を犯した疑いのある者(被疑者)の身体を拘束し、引き続き短時間の拘束を継続することをいいます。逮捕には、上記2のように、通常逮捕、緊急逮捕及び現行犯逮捕があります。

逮捕は、あくまでも身柄の確保にとどまります。

参考:逮捕されると?

4.身柄送検されたらどうなるのか?

身柄送検されますと、検察官は、被疑者を受け取ってから24時間以内に裁判官に対し、より長期の身体拘束を求める勾留の請求をします。逮捕されてすぐに私選弁護人を選任した場合には、私選弁護人が上申書などを作成して検察官に提出するなどして交渉することで検察官の勾留請求を阻止することができることもあります。

被疑者国選弁護人の選任は検察官の勾留請求を受けて裁判官が勾留質問を行い、勾留決定をする場合に被疑者国選弁護人の選任ができることを被疑者に伝えることになっております。

勾留決定

裁判官がこれを認めますと、それから10日間勾留(留置)されます。このような裁判官の勾留決定が出た場合には、弁護人が3名の裁判官からなる合議体の裁判所に勾留決定取り消しを求める裁判(これを準抗告といいます)を申し立て、準抗告が認容されて勾留決定が取り消されて釈放されることも稀にあります。そのためには刑事弁護経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼されることをお勧めします。

更に勾留が延長されれば、当初の勾留から起算して最長20日間(事件によっては最長25日間)身体を拘束されることになります。その間、警察官や検察官による被疑者の取調べが、連日のように行われます。

また、取調べ以外にも、被疑者の自宅や勤務先における証拠品探しや押収(いわゆる家宅捜索)、事件現場における実況見分、被疑者以外の事件関係者に対する取調べなどといった捜査が行われます。

参考:勾留請求とは?準抗告で釈放を目指すなら泉総合法律事務所へ!

身柄送検時の弁護士の役割

被疑者は、身体を拘束されている間、警察官等の立会いなしに、弁護士とは原則として自由に面会することができます。

早期釈放に向けて被害者との示談や勾留決定に対する不服申立て(すでに述べた準抗告がこれにあたります)等をしてもらうためには、法律の専門家である弁護士に頼るのが最善ということになります。

心当たりの弁護士がいて、弁護士費用を支払うことができる場合には、被疑者本人や家族が弁護士(私選弁護人ということになります)に依頼することができますが、依頼できる弁護士がいない場合や弁護士費用を支払えない場合には、当番弁護士制度被疑者国選弁護制度を利用することで、弁護士と相談することも、また、弁護活動をしてもらうこともできます。

弁護士を選ぶ時の注意点

被疑者国選は弁護士を選ぶことはできませんので、その点はご了解ください。私選弁護人を依頼する場合には、刑事事件はその後の一生に大きな影響を及ぼすこともあることから、刑事弁護経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼することを強くお勧めします。

そして、勾留満期の段階で、検察官は、送致された事件につき、起訴するか、不起訴にするかの判断をすることになります。もっとも、被害者が個人であり、重大事件でない場合には、勾留期限までに弁護士が被害者と示談を成立することができれば、勾留期限を待たずに釈放されて不起訴となることがあります。

5.書類送検されたらどうなるのか?

書類送検は弁護士に任せる

書類送検の場合、検察官の処理には、身柄送検のような時間的な制約はありません。しかし、検察官が、書類・証拠物のみで送致された事件についても、起訴するか、不起訴にするかの判断をすべきことは、身柄送検の場合と同じです。

ただ、書類送検の場合、法律上は、身柄送検の場合と異なり、起訴・不起訴の結果を出すまでの期間の制限がありませんので、どの程度の期間がかかるかは事件の内容によるとしかいえないことになります。被疑者の取調べ(間隔が置かれるのが一般的ですが)や捜査一般の問題は身柄送検の場合と基本的に同じといえます。

書類送検時の弁護士の役割

ただし、弁護士については、在宅の場合、被疑者国選の適用がなく私選弁護人に依頼することになります。書類送検の場合、逮捕を伴わない在宅事件ですので、軽い事件という印象を受けかねませんが、必ずしもそうではありません。

逮捕を伴わない在宅事件には、道路交通法違反事件や過失運転致死傷事件も含まれますので、場合によっては実刑ということもあり得ます。その意味で、在宅事件だからと油断せずに、刑事事件の重みを受け止めて、刑事弁護経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼することをお勧めします。

最終的に、検察官は、送致された事件につき、起訴するか、不起訴にするかの判断をすることになります。

6.どのような場合に逮捕されるのか?

罪を犯した事実があっても、必ず逮捕されるわけではありません。捜査官は、被疑者に逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがある場合で、裁判官からあらかじめ発付を受けた逮捕状を被疑者に示して逮捕するのが原則です。なお、犯行を現に目撃した目撃者や被害者が被疑者を現行犯逮捕することもありますが、その後の流れは令状逮捕の場合と異なりません。

したがって、そのようなおそれがないなど、明らかに逮捕の必要がない場合には逮捕されません。また、軽微事件では、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由なく出頭の求めに応じない場合のように、特別な場合でなければ逮捕されません。

7.逮捕されたら前科がつくのか?

逮捕されたからといって、必ず前科がつくというものではありません。前科としての履歴は、刑事裁判において有罪判決を受けた場合に生じます。

罪を犯した事実があっても、検察官の裁量により起訴されない場合(起訴猶予)には、刑事裁判が行われませんので、その罪が前科として残ることはありません。

起訴猶予の多くは(被害者が個人の犯罪の場合には)弁護士が被害者と示談交渉して示談を成立させた場合に起訴猶予とされるものです。

8.おわりに

逮捕され身柄送検されてしまった方は、非常に不安な時間を送ることになるでしょう。

泉総合法律事務所は、多数の逮捕、勾留の刑事事件に取り組み多数の結果を出しておりますので、一日でも早く釈放されることをご希望の方は是非とも当所泉に刑事弁護をご依頼ください。また、書類送検されて不安だという方も、在宅事件でも前科がつきますので、必ず刑事弁護経験豊富な弁護士にご相談ください。

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