性犯罪 [公開日]2018年2月28日[更新日]2021年1月25日

強制わいせつ罪で逮捕された!不起訴に向けた弁護活動

家族が強制わいせつの疑いで逮捕された場合、その後の流れはどうなるのでしょうか?
また、弁護士に依頼すると、弁護士はどのような弁護活動をしてくれるのでしょうか。

ここでは、強制わいせつ罪の要件や刑罰、逮捕後にどのような流れとなるのか、弁護士依頼のメリットについて解説します。

1.強制わいせつ罪とは

強制わいせつ罪を定めた条文は次のとおりです。

刑法176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする

ここに「わいせつな行為」とは、被害者の性的な羞恥心を害する行為を意味します。

局部、臀部、胸部に触る行為はもちろん、抱きしめる、キスをする行為も、わいせつな行為に該当します。加害者も被害者も、その性別は問いません。

強制わいせつ罪には2種類があります。

ひとつは13歳以上の被害者に対する、暴行又は脅迫を用いたわいせつ行為です。
この場合の暴行・脅迫は、被害者の抵抗を著しく困難とする程度であることが必要です。

また、暴行・脅迫をわいせつ行為の手段とした場合だけでなく、すれ違いざまに被害者の身体に触る場合のように、わいせつな行為それ自体が有形力の行使である暴行に該当するケースも含まれると理解されています。

それゆえ、電車内での痴漢行為のように、被害者の身体に触るだけの行為も、それ自体がわいせつ行為かつ暴行行為であると評価され、強制わいせつ罪が成立します。

ただ電車内での痴漢行為は、同時に各都道府県の迷惑防止条例にも違反しており、悪質とまで言えない事案では、強制わいせつ罪よりも法定刑が軽く、罰金刑もある迷惑防止条例違反のみで立件されます。

痴漢行為で強制わいせつ罪が問われるのは、下着の中に手をいれて直接に身体に触ったり、電車内を逃げる被害者を執拗に追って触り続けたりするような悪質な事例です。

もうひとつは、13歳未満の被害者に対する、わいせつな行為です。
この場合は、暴行も脅迫もしていなくても強制わいせつ罪が成立します。

どちらの場合も法定刑は6月以上10年以下の懲役刑であり、罰金刑のない重罪です。

【強制わいせつ罪の非親告罪化】
平成29年7月施行の改正法前は、強制わいせつは「親告罪」といい、被害者の告訴(被害者等が処罰を求めること)がない場合、起訴(検察官が刑事裁判を起こすこと)できませんでした。
いったん告訴がなされても、示談によって告訴が取消された場合も同様でした。
しかし、犯人を処罰するか否かの判断を被害者に委ね、重い精神的負担を課してしまう弊害があったので、改正後は、強制わいせつは非親告罪になりました。親告罪のときには、示談して告訴取り下げとなれば必ず不起訴となりましたが、非親告罪となった場合は、示談が成立しても悪質な場合は起訴される可能性があります。

2.強制わいせつ罪で逮捕されたら

(1) 逮捕

強制わいせつ罪で逮捕されると、警察の留置場に留置され、警察官から取調べを受けます。警察は逮捕から48時間以内に被疑者の身柄を検察官に送ります。

検察官は被疑者を取り調べたうえ、さらに長期間の身体拘束である勾留が必要か否かを判断し、必要であれば、身柄の受取から24時間かつ逮捕から72時間以内に裁判官に勾留請求をします。勾留請求をしない場合は釈放しなくてはなりません。

被疑者の家族でも、逮捕されている間は面会できませんが、弁護士はこの間も接見できます。その意味でも逮捕されたら直ちに刑事弁護経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼することをお勧めします。

(2) 勾留の流れ

勾留請求を受けた裁判官は、被疑者に勾留質問を行ったうえ、犯罪の嫌疑の有無、逃亡及び罪証隠滅のおそれを吟味して、勾留を認めるか否かを決めます。

裁判官が勾留を認めない場合はただちに釈放されますが、勾留が決定されると、勾留請求の日から10日間の身体拘束となります。

さらに捜査の必要性があれば、検察官の延長申請を受けた裁判官の決定で、最大10日間の延長が認められます。このように勾留は勾留請求の日から合計最大20日と長期間に及びます。

(3) 起訴

起訴処分か不起訴処分かは、勾留期間中に検察官が決めます。

その際には、示談の成否、前科前歴の有無、自白か否認か、犯行態様の悪質性等様々な事情が考慮されます。

このうち重要なもののひとつが示談です。先ほど申しましたように、刑法改正で性犯罪の厳罰化の方向となりましたので、示談が成立しても悪質な場合や再犯の場合などは起訴される可能性はあります。

起訴されてもなお、示談の成立は、執行猶予の獲得や刑期の軽減など被疑者の今後について非常に重要なものであることに変わりありません。

非親告罪となってからも、性犯罪の捜査にあたっては、被害者の意思を尊重する運用がなされていますし、検察官や裁判官は、示談が成立し被害者が託したという事実を被疑者に有利な事情として考慮してくれるからです。

そのため、示談が成立すれば、検察庁や裁判所での処分が被疑者にとって軽いものとなる可能性が高まります。

3.強制わいせつ事件の弁護活動

(1) 逮捕・勾留段階の弁護活動

身体拘束が長期化すると、日常生活に大きな影響を与えます。逮捕されたら直ちに弁護士に依頼し、後に続く勾留決定・延長の阻止や早期の釈放に向けた弁護活動を行わなければなりません。

弁護士は、直ちに被疑者が逮捕されている警察署に出向いて接見し、被害者から詳しく事情を聞き取り、その後の取り調べの注意点、手続きの流れを説明して、被疑者の意向も考慮したうえで弁護方針の検討を行います。

逮捕段階では被疑者のご家族は会うことができませんが、ご家族からの伝言などを弁護士が被疑者に取り次ぐこともできます。

(2) 釈放活動

被疑者の学校の無断欠席や、会社の無断欠勤が続くのは、当然避けたいところです。

学校では、単位が取れなかったり退学になったりする可能性があり、勤務先では、無断欠席を理由に解雇される可能性もあります。そうでなくとも事件が発覚すれば懲戒解雇の可能性もあるでしょう。

これらの危機を避けるためにも、早期に釈放されるための弁護活動が非常に重要となります。

泉総合法律事務所の弁護士は、検察官に対して、家族の身元引受書や上申書、弁護士意見書を提出することで勾留請求をしないように働きかけます。

(3) 準抗告(じゅんこうこく)

裁判官が勾留決定や勾留延長決定をしてしまった場合でも、弁護士は、勾留決定、勾留延長決定の取り消しを求めて、「準抗告」という裁判を提起することができます。

準抗告の結果、勾留の要件を満たしてないとの結論に至れば、準抗告を認容して、勾留決定・勾留延長決定が取り消され、勾留請求・勾留延長請求は却下されて、被疑者は釈放されます。

泉総合法律事務所では、4週間連続して4件の準抗告が認容されて(そのうち1件は強制わいせつの事案でした)勾留決定が取り消しとなって釈放となり、被疑者とご家族に大変喜んでいただくことができた経験があります。

捜査機関の権力が強大な我が国では、逮捕・勾留された被疑者とそのご家族は絶望感に襲われて、戦うことを諦めてしまいがちです。

しかし、私たち泉総合法律事務所の弁護士は、どのような事件でも、決してギブアップすることなく、依頼人の利益を守るための最大限の努力を惜しみません。

[参考記事]

勾留請求・準抗告とは?釈放を目指すなら泉総合法律事務所へ!

(4) 被害者との示談交渉

強制わいせつの弁護活動において、被害者との示談は極めて重要なものとなります。

示談交渉を行うには被害者の連絡先を知る必要性があります。検察官や警察官は、弁護士相手に限り、被害者の了解を得た上で、その連絡先を教えてくれます。

被害者が未成年の場合には親権者である両親が示談交渉の相手方となりますが、我が子に強制わいせつ行為を行った被疑者への怒りは非常に強いことが普通ですから、示談交渉の進め方は成年の被害者の場合よりもさらに慎重さが求められる難しいものとなります。

被害者に死亡や傷害の結果が生じていなければ、示談金の中身は慰謝料が大部分となります(被害者の衣服の損傷があれば相応の弁償金も加算されます)。慰謝料は精神的な傷を補てんするものですから金額の基準はありません。

また、強制わいせつ事件の犯行態様は様々であり、その悪質性に応じて示談金の額も左右されます。例えば、凶器をもって脅した場合や、長時間の犯行に及んだ場合に高い慰謝料が相当であることは当然です。

ただ、無い袖は振れませんから、示談金の天井は加害者の財力によって決まる現実も否定できません。

これらの事情如何で額に大きな違いが出るので示談金の相場は一概には言えません。

[参考記事]

刑事事件における示談の意義、タイミング、費用などを解説

(5) 保釈

起訴後は、保釈という制度があります。

保釈とは、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを前提として、保釈金を収めることで被告人の身柄が解放され、一時的に社会に復帰できるという制度です(もちろん、公判には出廷しなければなりません)。
保釈に付された条件に違反することなく裁判が終了すれば、保釈金は返還されます。

弁護士は、裁判官に面接して、被告人が逃亡の恐れや証拠隠滅の恐れがないこと、身柄引受人がいて指導監督をすることを主張します。裁判官は、検察官の意見を聞いたうえで、保釈するかどうか判断します。

自白事件で、凶悪事件ではない場合には、裁判官は保釈金の納付と保釈条件の遵守(住居の指定、旅行制限、被害者や証人との接触制限など)を条件として、保釈を認めてくれます。

弁護士が裁判官に保釈申請してから保釈決定まで、東京地裁ですと最短で土日祝日除き概ね3日間かかります。

【保釈金の相場】
保釈金の相場は最低額が150万円から200万円ですが、被告人に財力があったり、犯行態様が悪質であるなどの事情があtたりすれば、保釈金も増額されます。
保釈金を準備できない方は、日本保釈支援協会の保釈金立て替え制度を利用することができますので、詳しくは弁護士にお尋ねください。

(6) 起訴後の示談

起訴前に示談が成立していない場合でも、起訴された後も、判決での量刑を軽くし、執行猶予付き判決を目指すために、引き続き被害者と示談交渉をする必要があります。

起訴前に断わられていても、示談金の増額によって納得を得られるケース、時間の経過とともに被害感情が落ち着き理解を示してくれるケース、被告人やその家族の度重なる真摯な謝罪が被害者の心を動かすケースなど、起訴後に被害者が対応を考え直してくれる例は珍しくありません。

どうしても示談に応じていただけない場合には、示談金を法務局に供託したり、贖罪寄付をしたりするという手段もあります。

4.逮捕されたら早期の弁護活動が必須

以上、強制わいせつで逮捕された場合の裁判までの流れと、それにかかる弁護士の弁護活動を説明させて頂きました。

逮捕されてしまったら、お早めに刑事事件に強い弁護士に弁護活動を依頼してください。

泉総合法律事務所は弁護経験・釈放実績が豊富にあり、刑事事件に強い弁護士が多く在籍しております。相談は無料となっておりますので、是非一度ご相談ください。

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