財産事件 [公開日]2017年8月2日[更新日]2019年4月12日

「万引」「窃盗」「横領」の違いとは?不起訴のために示談したい!

「万引」「窃盗」「横領」は、どれも「盗むこと」です。
しかし、具体的にどのような違いがあるのか、皆さんはご存知でしょうか。

どれも等しく刑事犯罪ではありますが、それぞれ細かな規定や刑罰が異なります。

ここでは、財産事件である「万引」「窃盗」「横領」の違いとその刑罰について、弁護士が詳しく解説していきます。

1.窃盗(万引)とは?

窃盗」とは、故意に他人の財物を盗み、自分の所有物とすることです。

窃盗罪 刑法第235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

「盗み」の典型としては「万引」が有名ですが、窃盗罪の一種が「万引」です。
「万引罪」などの罪名はありませんので、もし万引をしたら、窃盗罪として処罰されます。

万引と窃盗に違いはなく、「万引=窃盗」なのです。

[参考記事]

万引きで逮捕後の流れと弁護士に依頼するメリット

また、物を盗み終わった犯人が盗んだ財物を取り返されるのを防いだり、逮捕を免れようとしたり、罪跡を隠滅したりするために、暴行や脅迫を行った場合には、強盗罪(事後強盗)になります(刑法第236条)。

さらに、この暴行によって人を負傷させてしまうと、刑法第240条の強盗致傷罪となり「無期又は6年以上の懲役」というさらに重い刑罰になります。

[参考記事]

判例から見る事後強盗罪について。窃盗罪・強盗罪との違いとは?

例えば、万引が見つかったときに、追いかけてきた店員を振り払って転倒させ怪我をさせただけでも、強盗致傷罪が成立します。

万引は、絶対に甘く考えてはいけない犯罪なのです。

【クレプトマニア(窃盗癖)とは?】
金銭的に困っているわけではなくても、ゲーム感覚で窃盗(万引)を繰り返してしまう人がいます。これは、「クレプトマニア」と呼ばれ、精神障害の一種であると言われています。
お金に困っているわけでもないのに、万引がやめられないという場合は、「クレプトマニア」の可能性があります。精神障害の可能性がありますので、精神内科の専門医や、クレプトマニア専門のクリニックや病院の専門医に診てもらうべきでしょう。
参考:クレプトマニア(窃盗癖)特徴とは?診断基準・治療法と万引きの弁護

2.横領とは?

横領とは、自分が占有する他人の財物を自分のものにしてしまうことです。

横領には、単純横領罪、業務上横領罪、遺失物横領罪の3種類があります。

(1) 単純横領罪

単純横領罪とは、財物を預けていた人と預かっていた人の関係がどのようなものであるかに関係なく、自分が占有している財物をそのまま自分のものにしてしまうことによって成立します。

単純横領罪は、刑法第252条により、「5年以下の懲役」という刑罰に処せられます。

(2) 業務上横領罪

業務上横領罪は、「業務」によって、他人から預かっていた財物を自分のものにしてしまう犯罪で、刑法253条によって、「10年以下の懲役」という刑罰になります。

この「業務」とは、一般の「仕事の関係で預かった」という概念とは少し違って、「社会生活上の地位に基づき、反復継続する意思によって行われるもの」を言います。

[参考記事]

業務上横領罪で刑事告訴・被害届!横領・着服事件の示談の重要性

(3) 遺失物横領罪

遺失物横領罪は、他人の占有を離れた財物を自分のものにしてしまうことで、落とし物などをいわゆる「ネコババ」する行為が典型例です。

これは、刑法254条によって、「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金もしくは科料」という刑罰になります。

 

単純横領罪や業務上横領罪は、預けた人と預かった人がいて、預かった人がその信頼関係に反して預けた人のものを自分のものにしてしまう犯罪です。

一方、遺失物横領罪は、預けられたわけではなく、なんらかの理由で他人の占有を離れてしまい、たまたま自分の占有下に入ってきたものを自分のものにしてしまう犯罪です。

3.窃盗罪と横領罪の違い

窃盗罪と横領罪との違いは、財物が「他人の占有下にあるか(他人が持っているか)」「自分の占有下にあるか(自分が預かっているか)」です。前者が窃盗、後者が横領です。

例えば、会社内で経理を担当して、会社のお金を預かっている社員がいるとします。この経理担当の社員が会社のお金を使い込んだら、業務上横領罪です。

一方、経理担当ではない別の社員が、経理担当の人の机から会社のお金を持ち出したら、窃盗罪となります。

4.窃盗罪・横領罪の量刑

窃盗罪や横領罪などの「盗み」で逮捕・起訴されてしまった場合、前科を免れるために一番重要なことは、被害者にきちんとした償い、すなわち「被害弁償」をすることです。

被害者に経済的な損失を与えたのであれば、これをきちんと穴埋めしていること、そして被害者が被告人を許して刑罰を望まない(あるいは寛大な処分を希望している)こと、つまり「示談が成立していること」が、不起訴となるために最も重要な要素なのです。
これには両者の違いはありません。

横領の場合、被疑者である社員が会社に対して誠心誠意謝罪し、更生の意思を示した上で被害弁償をすれば、刑事責任の追及はされずに不起訴となることが少なくありません。

しかし、会社側の被害意識が強ければ示談は難しいですし、窃盗・万引における被害店舗に至っては、そもそも被疑者被告人と会って被害弁償や示談交渉に応じることはしないのが通常です。

よって、被疑者は、弁護士に刑事弁護を依頼して、弁護士から被害弁償の申し入れや示談交渉を行います

万引きがよく起こる本屋やスーパーのような店舗では、万引きには厳しい処罰を求めるという方針を取っていて、弁護士相手とはいえ一切示談に応じてくれないこともあります。
もっとも、店舗によっては示談に応じてくれますので、何事も諦めないことが肝心です。

示談金を受け取ってもらえず示談が成立していなくとも、謝罪文を送ることはおいた方がよいでしょう。弁護士は、謝罪文の作成につきましてもアドバイスが可能です。

5.財産事件を犯してしまったら弁護士へ相談を

一言に「盗む」と言っても、様々な形態があります。もしそのような犯罪を犯してしまった場合には、早めに刑事弁護経験豊富な弁護士に相談をしてください。

罰金だけでなく、執行猶予の有罪判決でも前科になります。
前科を回避するには、弁護士への依頼が必要不可欠です。

万が一起訴されてしまった場合には、初犯かどうか、犯罪の態様や被害額、謝罪の有無、示談や被害弁償の有無、反省の態度、被害者の処罰感情などの諸要素が考慮されます。
窃盗や横領のようなお金や財物に関する犯罪は、被害弁償ができているかどうか、示談が成立しているかどうかがとても重要な判断要素となります。

泉総合法律事務所は、首都圏に多数の拠点を展開しており、弁護士数も多いので、万引きをはじめとする窃盗事件・横領事件の刑事弁護の経験も豊富にございます。どうぞご安心してご依頼ください。

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