傷害事件における示談。示談金・慰謝料相場と弁護士依頼のメリット

暴力事件
傷害事件における示談。示談金・慰謝料相場と弁護士依頼のメリット

傷害事件における示談。示談金・慰謝料相場と弁護士依頼のメリット

傷害事件のように、被害者がいる犯罪においては、被害者との示談ができているかどうかが刑事処罰に大きな影響を与えます。

ここでは、傷害罪における示談について、示談の意義やメリット、そして示談金・慰謝料の相場について解説していきます。

1.傷害事件と示談の意義

傷害罪における示談とは、事件の加害者と被害者との間で、怪我の治療費や慰謝料等の損害賠償の問題を、双方の話し合いにより解決することを言います。

傷害事件で逮捕された場合、警察署で2日間の留置後、検察庁に身柄送検されます。そこで検察官が被疑者を取り調べ、裁判所に10日間の勾留請求をするかどうか決めます。

通常、ケガの程度が重い場合には、裁判所に対して勾留請求を行います。裁判所は検察官の勾留請求を受け、被疑者に対して勾留質問し、警察官や検察官の取り調べ内容に間違いがないかどうか、反省状況などを踏まえて勾留するかどうか決定します。

ケガが重い場合や否認している場合、ケガが軽くとも犯行態様が悪質な場合には、勾留決定されることになります。

このようにして勾留された場合、無断欠席などになり会社を解雇されかねませんので、直ちに弁護士に刑事弁護を依頼してください。逮捕されてすぐに弁護士に刑事弁護を依頼すれば、勾留を阻止できる可能性もあります。

傷害事件で逮捕勾留され勾留期限が到来すると、示談が成立していなければ罰金刑、もしくは起訴となります。

(1) 勾留の場合

勾留の場合、(弁護士が被害者の連絡先を検察官から教えてもらえれば)被害者と早急に示談交渉を行います。

示談に応じていただければ、示談書を取り付け、示談書を検察官に提出することで、勾留期限を待たずに釈放され、職場復帰が可能となります。

また、示談が成立することで多くの場合は不起訴処分となり、前科がつかず経歴にも傷はつきません。

しかし、示談が成立しても、ケガの程度が相当重く、犯行態様が悪質であったり、前科があったりする場合には、検察官は起訴することが多いといえます。

①被害者が重傷/前科がある場合

被害者がかなり重いケガを負っている場合や、加害者に前科がある場合など、情状が悪いときには起訴となります。

起訴された場合、罰金刑では済まないということです。なおさら弁護士に刑事弁護を依頼して被害者との示談を成立させることで、執行猶予付き判決を勝ち取る必要があります。

(2) 被害者が軽傷/前科がない場合

被害者のケガの程度がそれほど重くなく、被疑者に前科前歴がないという同じような状況でも、示談ができていない場合には、10万円~30万円程度の罰金刑になることが多いと言えます(刑法204条)。

罰金刑も前科となりますので、つまり、罰金刑になれば前科がついたうえに罰金も支払わなくてはなりません。

もちろん、示談をするにも示談金が必要になりますが、同じお金を払うのであれば、罰金刑で前科がついてお金を払うより、被害者に示談金を支払って不起訴となるほうが、前科もつきませんし、メリットがかなり大きいと言えるでしょう。

参考:罰金でも前科です!

2.示談のメリット

(1) 在宅事件の場合

傷害事件は、通常、被害者が警察署に対し、被害届を提出することによって、傷害事件としての捜査が開始されます。

在宅事件の場合には、警察官は、被害者や目撃者等の関係者、犯人に対し取調べを行います。その後、警察官の捜査が終了すると、警察署より検察庁に送致されます。

そして、検察官は、送致された事件について犯人を起訴するか否かの判断を行います。

この検察官の判断の際に、示談が成立し、被害届が取り下げられていると、傷害の程度や犯行態様にもよりますが、比較的軽く処罰されるのが通常です。

たとえば、比較的軽微な事件で、通常、略式手続きにより罰金が科されるのが妥当な事案であっても、不起訴になることがあります。

示談のメリット:

  • 処罰が軽くなる可能性が高い
  • 不起訴となることがある

(2) 身柄事件の場合

身柄事件の場合には、当然のことですが、被疑者は、逮捕・勾留等の手続きにより身柄拘束を受けている状況にあります。

被疑者の勾留中に示談が成立すると、弁護士が裁判所の勾留決定に対し準抗告を行うことにより、勾留が取り消され釈放された上、不起訴となることや略式手続きに移行されることがあります。

後者の場合には、公判請求相当事件が、示談の成立により略式手続きによる罰金刑に軽減されたと考えられるケースも多々あります。また、弁護士による準抗告を経ることなく、示談の成立により、勾留満期に、上記と同様の結果が得られることがあります。

また、勾留中に示談ができずに起訴され公判請求となった場合でも、その後に示談が成立すると、保釈請求を行った場合に保釈される可能性が格段に高くなります。

さらに、傷害の程度や犯行態様から考えて、実刑が相当である事案でも、示談が成立していると、執行猶予判決となることも少なくありません。

示談のメリット:

  • 釈放される可能性が高くなる
  • 不起訴・略式手続きとなることがある
  • 保釈される可能性が高くなる
  • 実刑判決でも執行猶予がつく可能性が高くなる

3.示談金の相場

逮捕から不起訴ないし起訴→判決に至るまでの流れ・弁護活動まとめ2

示談金の相場は、個々のケースによって様々です。結局のところ、傷害結果の程度、犯行態様、被害者感情、加害者の経済力・社会的属性等が加味されて決せられる事になります。

そうは言っても交渉事ですので、最終的には被害者の同意が必要で、被害者が納得しなければ示談が成立することはありません。

おおよその目安として、全治1週間から10日あるいは2週間程度の比較的軽微な事件の場合には、数万円から数十万円程度の示談金でまとまることが多いものと思われます。

全治1ヶ月を越えると比較的重い傷害の部類に入るといえます。この場合の示談金は、数十万円から100万円を越えることも少なくないでしょう。

後遺障害が残存してしまうケースだと、後遺障害慰謝料、後遺症による逸失利益の損害賠償も行う必要が生じ、より高額の示談金の支払いが必要となります。

参考:刑事事件における示談総説。示談の意義、タイミング、費用など解説!

互いにケガをしている場合

お互いがケガをしていれば、損害賠償を相殺するような形で、金銭の支払をせずに示談ができる場合もあります。

また、被害者から因縁をつけられ、思わず手が出て被害者にケガをさせてしまったような傷害事件の場合、被害者にも責任の一部があると言えますので、先ほど述べた金額に比べ、低額で示談がまとまるケースもあります。

4.示談交渉を弁護士に依頼するメリット

(1) 被害者の連絡先情報を聴取できる

加害者自身が逮捕勾留されている場合は、そもそも加害者が示談交渉を行うことができません。

一方、逮捕勾留されていない場合でも、警察官や検察官は、加害者自身に対して被害者の連絡先情報を教えないのが通常です。

この点、弁護士が代理人として示談交渉を行う場合には、弁護士が検察庁に被害者の連絡先等の開示を依頼し、検察官はそれを受け、被害者に対し、示談交渉の連絡のため連絡先を開示してよいか確認を取ってくれます。

弁護士には守秘義務をはじめとした多くの職業倫理があり、事案によっては、後日、刑事法廷で検察官と対峙する者であることの信頼性から、検察官は、被害者の了解を得て、連絡先情報を開示してくれるのが通常です。

そうすると、弁護士から被害者に対する示談交渉のアプローチが可能となり、示談成立に至る可能性は格段に高くなります。

示談を拒否していた被害者であっても、弁護士相手ならば…と示談に応じて頂けることが多々あります。

(2) 冷静な対応が可能となる

加害者と被害者とが直接に示談交渉を行う場合には、やはり当人同士ですから、被害感情が先行し感情的になるなどしてしまい、示談がまとまらないケースが多いです。

現に、「当初、当人同士で示談交渉を行っていたが、まとまらないので弁護士に頼みに来た」という方はたくさんいらっしゃいます。

この点、弁護士は、卓越した法的知識・示談交渉能力を持っており、かつ、冷静な判断能力を有する第三者であることから、冷静な対応が可能となります。

(3) 専門的な書面を用意できる

示談契約を締結する際には、単に損害賠償額を決め、これを示談書に盛り込むだけでは足りません。

後日の紛争を回避するために必要な個別具体的な取り決めを行い、裁判所や検察官に対しより軽微な処分を求めるために必要となる事項を、被害者との間で協議・確認し、それを示談書の中に盛り込む作業などが必要となります。

そのような専門的な判断能力に立った協議・交渉及び示談書の作成は、民事・刑事の法制度全般に精通し、総合的な事案解決能力を持った弁護士でなければ難しいといえるでしょう。

・示談書の意味

示談書には、当然ながら、刑事事件の処分を決める検察官や裁判官に対して、被害者との示談が成立したことを証明する意味があります。

それだけでなく、示談書は、民事上の損害賠償義務を支払い、既にその義務が消滅したということも表します。

先にも述べたように、傷害事件を起こした加害者は、被害者に対して、ケガの治療費や、精神的苦痛に対する慰謝料等の損害賠償義務を負っています。この損害賠償を既に行った、ということを示談書で証明し、これで支払は終了した、という「清算条項」を示談書の中に盛り込むのです。

これを記載することによって、被害者から示談後さらに損害賠償請求をされることが防ぐことができます。

(4) 示談金額を適正額に近づけることができる

上述したように、示談金額の決定には、最終的には被害者の合意が必要となるため、被害者の主張に左右されることが多いといえます。

ただ、示談金額の相場や算出根拠が全くないわけではなく、治療に要した費用、傷害の程度や治療日数を基本にして、目安となる示談金額を算出することが可能です。

したがって、弁護士に委任しておけば、目安となる示談金額を事前に把握しておくことが可能です。それにより、目安となる額を大きく逸脱した主張が被害者よりなされた場合には、弁護士が交渉することにより、その額を適正額に近づける交渉を行うことが可能になります。

また、弁護士が交渉したものの、被害者の主張額とのかい離が大きく示談に至らない場合でも、弁護士より検察官や裁判官に対し、示談経過の事情を説明することにより、示談経過を斟酌した加害者に有利な処分を促すことも可能です。

5.刑事弁護を依頼するタイミング

傷害事件で不起訴を目指すときはもとより、執行猶予付き判決を目指す場合でも、できるだけ早めに弁護士に刑事弁護を依頼した方がいいでしょう。

勾留されない在宅事件の場合、警察での取り調べも比較的のんびりとしており、警察から検察庁への書類送検もかなり時間を経ることがあります。

しかし、だからといって弁護士に刑事弁護を依頼しないでいると、いずれ検察庁から呼び出しを受け、場合によってはその場で略式起訴での罰金刑とする意向を伝えられることになります。

それから急いで弁護士に刑事弁護を依頼し、弁護士が被害者に示談交渉をしても、被害感情が厳しく示談が不成立となる可能性もあります。

示談成立の可能性を高めるためにも、警察沙汰になった段階で弁護士に刑事弁護を依頼されることをお勧めします。

6.泉総合法律事務所は示談交渉の実績豊富

このように、弁護士が示談交渉をすることで得られるメリットは多いです。被害者のいる刑事事件では早期の示談成立が最重要となるため、できるだけ早く弁護士に相談することをお勧めいたします。

傷害の加害者となりお困りの方、身内の方の傷害でお困りの方は、傷害事件の経験豊富な弁護士法人泉総合法律事務所に是非ご相談ください。

刑事事件コラム一覧に戻る