痴漢の刑事弁護

痴漢

痴漢の証拠

2つの痴漢の類型

痴漢には、迷惑行為防止条例違反の痴漢(正式な条例名は都県により異なります)と強制わいせつの痴漢やそれに準ずる悪質な条例違反の痴漢があり、いずれかに応じて逮捕やその後に続く勾留となるのか否かが異なってきます。勾留は10日間、延長されると最大20日間です。

同様にして、痴漢のタイプによって弁護士の刑事弁護のあり方も異なってきます。

どういう場合に痴漢で逮捕される?

強制わいせつの痴漢(主として下着の中に手を入れる痴漢)や同一女性にストーカー的に繰り返す痴漢、痴漢を認めず否認した場合(酔っぱらって覚えていない場合も含む)などです。また通常なら逮捕されない痴漢でも、警察の対応によっては逮捕されることもあります。

痴漢の釈放活動!弁護士に刑事弁護を依頼したらどんな弁護をしてくれる?

痴漢で逮捕されたら、2日間は警察の留置場で身柄拘束されます。その間、家族は本人(被疑者)と面会することは通常できません。弁護士のみが被疑者と接見して事情を聴くなどの刑事弁護活動をすることができます。

逮捕され留置場で身柄拘束された後は、2日間で釈放となるわけではなく、速やかに検察庁に送検され、検察官の取調べを受けます。検察官は、強制わいせつの痴漢やかなり悪質な痴漢、被疑者が否認している場合には、通常10日間警察に留置する勾留請求を裁判所に行います。

この段階での弁護士の刑事弁護活動ですが、泉総合法律事務所での刑事弁護活動を述べますと、家族から刑事弁護の依頼をうけますと、検察官の取り調べに先立ちできるだけ早急に被疑者に接見し事件内容を把握するとともに、検察官の取り調べに対する対応につき豊富な弁護経験に基づいた助言をします。

家族にはご依頼時だけでなく必要に応じて接見後にも事務所に来所してもらい、家族の身元引受書や豊富な刑事弁護経験を踏まえた上申書、嘆願書を作成してもらうとともに、被疑者や家族からの聴取内容、これまでの豊富な刑事弁護経験を踏まえた、検察官が勾留請求を思いとどまるような内容の弁護人意見書を作成し、これらを検察官の取り調べに先立ち検察官に弁護人選任届とともに提出して釈放に向けて活動します。

このような釈放活動の結果、検察官が勾留請求を裁判所にせずに釈放されることも多くあります。

検察官が裁判所に対して勾留請求をした場合には、検察官に提出した書類を再検討し、書類を補充するなどして、同日か翌日にある10日間の勾留をするかどうか決定する裁判官の勾留質問に先立ち、書類を勾留質問担当の裁判官に再提出し、必要に応じて(書類だけでは伝えきれない事情などがある場合)勾留質問担当裁判官に面会をすることもあります。
このような刑事弁護活動の結果、裁判官が勾留決定をせずに釈放となることも多数あります。

裁判所から10日間の勾留決定の連絡が来たらどうするべき?

強制わいせつの痴漢やかなり悪質な痴漢の場合や否認している場合には、通常10日間の勾留決定がされると、裁判所から家族へと勾留決定となった旨の連絡がいきます。勾留決定の場合には、弁護士は、3名の裁判官からなる合議体の裁判所に勾留決定の取り消し、釈放を求める裁判(準抗告)を申し立てることができます。ただ、準抗告はめったに認容されません。

否認の場合には準抗告は認められないのですが、強制わいせつの痴漢やかなり悪質な痴漢の場合でも、泉総合法律事務所が取り組んだことで準抗告が認容され、勾留決定取消・釈放となったこともあります。
痴漢以外でも様々な事案で準抗告を認めてもらい釈放を勝ち取っていますので、最後まであきらめないことが重要だと考えます。

逮捕されない場合や逮捕後に釈放された場合(在宅事件)はどうなる?

在宅事件で逮捕されない場合には、警察が初回は上申書、2回目に調書を作成して、そこで捜査は終了します。

警察での初回の取調べが終わった時に家族に身元引受人として警察に迎えに来てもらうのが通常ですが、家族と連絡が取れないなどの事情がある時には、まれに警察から職場に連絡を入れて上司が身元引受人として迎えに来てもらうことで会社に発覚することもありますので、被疑者となって取り調べを終えて身元引受人に迎えに来てもらう時には警察には会社に絶対連絡しないように強く訴える必要があります。

逮捕されたが釈放された場合には調書を通常作成していることが多いのですが、補充などのため警察署に呼び出されることはよくあります。この場合には身元が確認できているので通常は身元引受人が迎えに来ることはありません。

逮捕されない在宅事件で、警察での調書作成が終わると、検察庁に書類送検され、検察官が刑事処分を下します。(逮捕されて釈放される場合にはその時点で検察庁に送検されています。)強制わいせつ以外の痴漢は罪を認めていて弁護士に刑事弁護を依頼していなければ通常罰金刑となります。

しかし、罰金刑でも前科ですので、安易に考えると大きな後悔をすることになります。資格を持っている方は時として取り消しもありますので十分気を付けることをお勧めします。
罰金刑だからとあまく考えず、刑事弁護経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼して、被害者から示談を取り付けてもらい不起訴の獲得をめざすことを強くおすすめします。

強制わいせつの痴漢は、7月13日から刑法が改正されて親告罪ではなくなりました。よって、以前のように示談が成立すれば不起訴となるとは限りません。前科があったり、犯行態様が悪質だったりすれば、示談が成立しても検察官の判断で起訴、正式裁判となり、執行猶予付き懲役刑(同種前科などから実刑もありえます)を宣告されることもあります。
それだけに刑事弁護経験豊富な弁護士に刑事弁護を依頼されることをお勧めします。

酔っぱらって痴漢した場合はどうなる?

泉総合法律事務所では、特に金曜日の夜ですが、酔っぱらって痴漢をしてしまい、覚えていないために否認となり、警察から痴漢で逮捕されたと連絡を受けた家族が土曜日に刑事弁護を依頼されるパターンが非常に多いです。

刑事弁護の依頼を受けますと、逮捕後の流れを家族に説明して(逮捕された被疑者は会社員の方がほとんどですので)月曜日に会社に出勤できるよう釈放に向けての弁護活動に着手します。家族から身元引受書を取り付けるとともに、翌日の検察官が勾留請求しないように考えてもらうような内容の上申書を作成してもらい、その上で大至急逮捕された警察署に直行します。

逮捕された被疑者との接見では、今後の流れと刑事処分の見通し、すなわち、初犯であれば強制わいせつの痴漢でない限り示談が成立すれば不起訴となり法律的には無罪となって経歴には傷がつかないことなどを説明します。

もっとも、この段階では、翌日の検察官の取り調べで勾留請求されずに釈放してもらうことが最重要事項であることは言うまでもありません。家族からは当然詳しい事情を聴けませんから被疑者本人に聞きますが、被疑者本人は酔っていて本当に覚えていません。

しかし、覚えていないから痴漢行為をしていないことにはなりません。痴漢行為をしたということは何らかの意識がなければ痴漢行為をできないのであって、その後に自らの痴漢行為を覚えていない、忘れたことが通常といえます。そのことを念頭に置いて翌日の検察官の取り調べに対応してもらうことにしています。完全に泥酔していれば通常は床に倒れて寝込んでしまうでしょう。

翌日の検察官の取り調べでの留意点を助言して、被疑者に検察官に提出する書類を作成してもらい、検察官が勾留請求せず釈放すべき事案だと考えてもらえるような弁護士意見書を作成します。

翌日、日曜日となりますが、弁護士意見書をはじめとする書類を弁護人選任届とともに検察庁に提出して、検察官の判断結果を事務所で待つことになります。これは東京地方検察庁でも、横浜地方検察庁でも、千葉検察庁でも、さいたま検察庁でも同じです。

違うところは、東京以外は、検察官の取り調べの結果裁判官への勾留請求となった時に、神奈川、千葉、埼玉は同じ日に裁判官の勾留質問が被疑者に対して実施され、そこで勾留決定の可否が決定されることです。従って、神奈川、千葉、埼玉の場合には、検察官の勾留請求があった時に備え、裁判官に向けて勾留決定をしない方向で考えてもらう弁護士意見書をあらかじめ作成しておきます。そして、すぐに横浜地方裁判所や千葉地方裁判所、さいたま地方裁判所に提出する用意をすることにしています。

さて、東京地方検察庁で検察官の取り調べとなりますと、午後3時前後には判断結果が出ますが、先ほどの勾留阻止活動、釈放活動の結果、これまで酔っ払いの痴漢だけでなく通常の痴漢(強制わいせつの痴漢でなく認めている場合)も、勾留請求せずに釈放となっています。釈放となったことで、月曜日から会社に出勤でき、会社の無断欠勤などで解雇されることはなくなります。

もっとも、それで弁護活動が終わるわけではなく、不起訴に向けて弁護士が示談交渉を開始することになります。これ以降は通常の痴漢の弁護活動と異なることはありません。

否認している場合はどう弁護してくれる?

被疑者が否認しており、他方で目撃証言など確実な証拠があった場合には、逮捕、勾留の後起訴となり、保釈までは警察の留置場ないし拘置所に長期間勾留されます。起訴するのは確実な証拠があるからですので、正式裁判(公判)で無罪判決を勝ち取ることは難しいのが現状です。

強制わいせつの痴漢の場合には罰金刑はありませんので、否認を続けると示談交渉できず執行猶予付き判決が厳しくなる、つまり実刑判決になる可能性が高くなるという大きなデメリットがあります。このようなことを踏まえて被疑者がどういう方針で戦うのかを刑事弁護経験豊富な弁護士に依頼して十分協議して方針決定することをお勧めします。

迷惑行為防止条例違反では判決は罰金刑ですから、争うことで失うもの(会社の解雇など)と、有罪でも罰金刑にとどまること、他方で示談が成立(多くの場合示談が成立します)すれば初犯なら不起訴になることを考えてもらい、否認を貫くかどうかをご本人に決めていただくことになります。

この問題は刑事弁護経験豊富な弁護士にご依頼されるべきだと思います。泉総合法律事務所は難しい刑事事件も多数経験していますので、安心してご依頼ください。

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