刑事弁護 [公開日]2018年6月13日[更新日]2022年10月17日

刑事事件の起訴率・不起訴率|不起訴を目指すなら弁護士へ

日本の刑事裁判は、有罪率99.9%と言われています。これだけ聞くと、罪を犯したら確実に検察官に起訴され、有罪判決になるという印象を持つかもしれません。

しかし、刑事事件全体から見ると、被疑者が不起訴処分となる確率はむしろ高いと言えます(罪名によって違いはあります)。
つまり、起訴されたときの有罪率は高いものの、逆に、刑事事件後に早期に対応することで、不起訴を獲得して有罪判決を避けられる確率も高いのです。

この記事では、刑事事件における起訴率・不起訴率を見ながら、不起訴を獲得するにはどうすれば良いかを解説します。

1.起訴・不起訴(起訴率・不起訴率)について

(1) 起訴・不起訴とは?

刑事事件では、まず警察官が事件を捜査し、原則として事件を検察官に送致します(送検)。
送致を受けた検察官は、必要な補充捜査があればそれを行った上で起訴・不起訴の処分を決めます

起訴(公訴提起)とは、検察官が裁判所に対し、特定の刑事事件について審判を求める手続のことをいいます。
日本においては、一定の例外はあるものの、検察官だけに起訴できる権限が与えられています(起訴独占主義)。

そして、日本の刑事裁判は有罪率99.9%前後で推移しているので、起訴された場合にはほとんど有罪となります。
したがって、起訴された場合には前科がつくことを覚悟しなければなりません(罰金・執行猶予付判決も前科となります)。

不起訴とは、検察官が起訴しないと決める処分のことをいいます。
不起訴になると、刑事裁判が行われることはなく、そのまま事件終結となります。有罪判決が下されることもないため、前科はつきません。

不起訴には、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の場合があります。

「嫌疑なし」「嫌疑不十分」は、証拠が全くないか、証拠が足りないケースであって、起訴しても有罪判決が見込めない場合です。
「起訴猶予」は、起訴すれば有罪判決が見込める場合であっても、検察官の判断で不起訴とする場合です。検察官は、犯罪被害の軽重、被疑者の境遇、被害弁償や示談成立などの犯罪後の状況を考慮して、起訴猶予の判断を下すことがあります。

今後の生活の不利益を避けるためにも、刑事事件では不起訴になることが非常に重要です。

(2) 日本の起訴率・不起訴率

検察統計によると、2021年における刑法犯(自動車による過失致死傷等及び道路交通法等違反被疑事件を除く)の既済人員は次のとおりです。
※検察統計 2021「8 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員

起訴 6万2,396人(A)
不起訴 10万7,210人(B)
うち「起訴猶予」6万9,343人(C)
うち「嫌疑なし」2,089人
うち「嫌疑不十分」2万3,120人

起訴・不起訴の処理がなされた全体数16万9606人(A+B)に占める起訴(A)の割合は、6万2396人÷16万9606人=約36%(起訴率)です。
起訴・不起訴の処理がなされた全体数16万9606人(A+B)に占める起訴猶予(C)の割合は、6万9343人÷16万9606人=約40%(全体に占める起訴猶予率)です。

さらに、検察官が有罪と見込めると判断した事件の総数(起訴と起訴猶予の総数A+C)を計算し、そこに占める起訴猶予(C)の割合を計算してみると、以下のようになります。

6万9343人÷13万1739人(A+C)=約52%(有罪見込み事件に占める起訴猶予率)

つまり検察官が起訴すれば有罪を見込めると判断した事件であっても、半数以上の被疑者が起訴猶予(不起訴)を勝ちとっているのです。

2.不起訴になるにはどうすればいいか

冤罪でない限り、警察に検挙された被疑者は起訴猶予を目指すことになります。

執行猶予を目指すにあたり、重要なのが被害者との示談です(個人が被害者である犯罪の場合)。

被害者との示談が成立すれば、検察官がこれを被疑者に有利な事情として扱ってくれるので、不起訴処分となる可能性が高まります。

特に、被疑者が犯した犯罪が親告罪(告訴権者の告訴が無ければ、検察官は起訴できない犯罪)の場合、示談により既に提出された被害届や告訴状を取り下げてもらえば、検察官は当該事件を不起訴で終わらせるしかありません。

刑事事件における示談について、詳しくは以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

刑事事件における示談の意義、タイミング、費用などを解説

3.示談が受け入れられない場合

被害者側の怒りが大きかったり、恐怖心が強かったりする場合は、示談の申入れを受け入れてもらえない場合があります。
また、示談内容(示談金など)の折り合いがつかず、示談の成立が困難な場合もあるでしょう。

このような場合、弁護士は次善の方法として、贖罪寄付・供託を行ったり、被疑者の反省文・上申書を提出したりすることで、被疑者の贖罪と反省の気持ちを表し、情状に関する証拠として検察官に提出することが考えられます。

これらについて、詳しくは以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

示談できない、示談不成立、示談を拒否された場合の対処法を解説

[参考記事]

贖罪寄付・供託により本当に情状が考慮されるのか?

4.起訴・不起訴に関するよくある質問

  • 日本の起訴率・不起訴率は?

    検察統計によると、2021年における刑法犯(自動車による過失致死傷等及び道路交通法等違反被疑事件を除く)の起訴率・不起訴率は以下の通りです。

    • 起訴率:約36%
    • 不起訴率:約64%
    • 起訴猶予率:約40%
    • 有罪見込み事件に占める起訴猶予率:約52%

    つまり、検察官が起訴すれば有罪を見込めると判断した事件であっても、半数以上の被疑者が起訴猶予(不起訴)を勝ちとっています

    日本の刑事裁判は有罪率99.9%と言われていますが、刑事事件について早期に対応することで、不起訴を獲得して有罪判決を避けられる確率も高いのです。

    ※検察統計 2021「8 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員

  • 不起訴となるためにはどうすればいい?

    執行猶予を目指すにあたり、重要なのが被害者との示談です(個人が被害者である犯罪の場合)。

    被害者との示談が成立すれば、検察官がこれを被疑者に有利な事情として扱ってくれるので、不起訴処分となる可能性が高まります。

    示談の成立が困難な場合、次善の方法として、贖罪寄付・供託を行ったり、被疑者の反省文・上申書を提出したりすることで、被疑者の贖罪と反省の気持ちを表し、情状に関する証拠として検察官に提出することが考えられます。

  • 在宅捜査や書類送検では不起訴になる?

    「在宅事件」「書類送検」とは、被疑者を逮捕しない(逮捕後に釈放した場合も含む)で、関係書類・証拠物のみを検察官に送ることをいいます。
    逮捕・勾留されるケースと異なり、被疑者は通常の生活を送りながら、警察から出頭するよう呼び出しを受けた場合に警察署で取り調べを受けます。

    よく、在宅事件・書類送検=無罪・略式起訴(略式命令)になると誤解されている方がいますが、これは間違いです。
    在宅事件・書類送検には「逮捕・勾留されていない」という意味しかありませんので、それ以外の点は身柄事件と何も変わりはありません。

    つまり、捜査や起訴・不起訴の判断は身柄送致の場合と同じであるため、在宅事件・書類送検だからといって有罪とはならない、ということにはなりません。

    在宅事件・書類送検でも起訴をされて、最終的に実刑(罰金刑、懲役刑)となるケースはあります。

    参考:
    書類送検された場合に前科はつくのか?
    在宅事件とは?起訴・前科がつくことはあるのか

5.不起訴を目指すなら弁護士へ相談を

検察は、刑事事件について十分な捜査を行い、有罪判決を見込めるだけの証拠が揃った上でのみ起訴処分を決定します。
よって、刑事事件で起訴されてしまえば、99.9%が有罪判決になると言われています。

しかし、実は刑事事件全体の不起訴率は高いです。
刑事事件を犯してしまっても、その後の対応を正しく行えば不起訴となり、前科を回避できる可能性は十分にあります。

刑事事件はスピード勝負です。どうぞお早めに、刑事事件に詳しい泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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