刑事弁護 [公開日]2018年6月13日[更新日]2021年2月19日

刑事事件の起訴率・不起訴率|不起訴を目指すなら弁護士へ

世の中では、日本の刑事裁判は有罪率99.9%と言われ、被疑者は確実に検察官に起訴され、確実に有罪判決になるという印象が一般的です。

しかし、刑事事件全体からみますと(罪名によって違いはありますが)被疑者が不起訴処分となる確率はむしろ高いのです。

つまり、起訴されたときの有罪率は高いものの、逆に、刑事事件後に早期に対応することで、不起訴を獲得して有罪判決を避けられる確率も高いのです。

以下については、刑事事件における起訴・不起訴の意味の他、不起訴になるにはどうすればいいかなどについて、解説することとします。

1.起訴・不起訴について(起訴率・不起訴率)

(1) 起訴

起訴(公訴提起ともいいます)とは、検察官が裁判所に対し、特定の刑事事件について審判を求める手続のことをいいます。

わが国においては、一定の例外はあるものの、検察官だけに起訴できる権限が与えられています(起訴独占主義)。

そして、日本の刑事裁判は有罪率99.9%前後で推移しているので、起訴された場合にはほとんど有罪となります。

したがって、起訴された場合には、罰金であれ、執行猶予付判決であれ、実刑判決であれ、前科がつくことを覚悟しなければなりません。

さらに、裁判ともなれば、時間と労力を要するほか裁判費用もかかりますし、職場や学業を継続できるのか、家族に与える経済的・精神的打撃はどうなるのかなども心配されます。

また、実刑など判決結果によっては、その後の人生に多大な影響も考えられますので、起訴が被告人に及ぼす諸々の不利益は大きいといえます。

(2) 不起訴

不起訴とは、検察官が起訴しないと決める処分のことをいいます。
不起訴になりますと、刑事裁判が行われることはなく、そのまま事件終結となります。

不起訴の場合には、当然有罪判決が下されることもないため、前科はつきません。

不起訴には、主に、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」などの場合があります。

特に重要なのは「起訴猶予」です。起訴猶予は、犯罪の嫌疑がある場合において、検察官が、被疑者の性格・年齢及び境遇・犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときにする処分になります。

「嫌疑なし」「嫌疑不十分」は、証拠が全くないか、証拠が足りないケースであって、起訴しても有罪判決が見込めない場合ですが、起訴猶予は起訴すれば有罪判決が見込める場合に、あえて起訴を見送るものです。

不起訴で事件が終結すれば、早期の社会復帰が可能になり、社会的な不利益を最小限にとどめることができ、裁判に必要な時間と労力からも解放されることになります。

したがって、刑事事件では、不起訴になることが非常に重要なことなのです。

検察統計(※)によると、2019(令和元)年における刑法犯(自動車による過失致死傷等及び道路交通法等違反被疑事件を除く)の既済人員は次のとおりです。

起訴 6万8056人(A)
不起訴 11万0058人(B)
うち「起訴猶予」7万2941人(C)
うち「嫌疑なし」1369人
うち「嫌疑不十分」2万3422人

起訴・不起訴の処理がなされた全体数17万8114人(A+B)に占める起訴(A)の割合は、6万8056人÷17万8114人=約38%(起訴率)
起訴・不起訴の処理がなされた全体数17万8114人(A+B)に占める起訴猶予(C)の割合は、7万2941人÷17万8114人=約41%(全体に占める起訴猶予率)

※検察統計 2019(令和元年)「8 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員

このように事件全体からみると、起訴される38%よりも、起訴猶予となる41%の方が多いことがわかります。

仮に、検察官が有罪が見込めると判断した事件の総数という意味で、起訴と起訴猶予の総数(A+C)を計算し、そこに占める起訴猶予(C)の割合を計算してみましょう。

7万2941人÷14万0997人=約52%(有罪見込み事件に占める起訴猶予率)

つまり検察官が起訴すれば有罪を見込めると判断した事件であっても、半数以上の被疑者が起訴猶予(不起訴)を勝ちとっているのです。

なお、「起訴率」、「不起訴率」、「起訴猶予率」という言葉は、何を分母、分子とするかによって全く異なる数字になりますから、どのように算出した数字なのかに注意を払わなくてはなりません。

2.不起訴になるにはどうすればいいか

被疑者が実際に犯罪を犯していない場合には、嫌疑なし・嫌疑不十分での不起訴を目指すことになります。

他方、被疑者が犯罪を犯した場合には、起訴猶予を目指すことになります。
被疑者が嫌疑なし・嫌疑不十分となるケースは少ないので(※)、多くの場合、起訴前の弁護活動は起訴猶予を目指すものとなります。

※前出の検察統計によると、不起訴全体の総数11万0058人のうち、嫌疑なし1369人の占める割合は約1.2%とわずかです。ただし、嫌疑不十分2万3422人の占める割合は約21%にのぼっています。

執行猶予を目指すに当たり重要なのが被害者との示談です。被害者との示談が成立すれば、検察官がこれを被疑者に有利な事情として扱ってくれるので、不起訴処分となる可能性が高まります。示談が不起訴につながるのは個人が被害者である犯罪が通常です。

以下では、示談に関連する問題について解説します。

(1) 親告罪の場合

刑事事件の示談では、ほとんどの場合、示談金の支払いと引き換えに、被害者が被疑者を許し、被害の届出や告訴を取りやめ、あるいは既に提出された被害届や告訴状を取り下げることを合意します。

この結果、被疑者が犯した犯罪が親告罪(告訴権者の告訴が無ければ、検察官は起訴できない犯罪)の場合、示談により告訴取下げがあれば、検察官は当該事件を不起訴で終わらせるしかありません。裁判になることもなく、前科がつくこともありません。

現行法上、親告罪となっているものの例として、名誉毀損罪、侮辱罪、過失致傷罪、器物損壊罪が挙げられます。

(2) 被害者が未成年の場合

被害者が未成年の場合、示談交渉の相手方は、通常、その保護者である両親ということになります。

この場合、「我が子になんてことをしてくれたのだ」という思いから、示談交渉が難航することも考えられます。

被害者の心情に対する配慮も必要になりますので、被害者側との折衝、そして示談交渉などは、早期から刑事弁護経験豊富な弁護士に委ねるのが望ましいです。

(3) 示談が受け入れられない場合

被害者側の怒りが大きかったり、恐怖心が強かったりする場合は、示談の申入れを受け入れてもらえない場合があります。
また、示談内容(示談金など)の折り合いがつかず、示談の成立が困難な場合もあるでしょう。

このような場合、弁護士は次善の方法として、贖罪寄付・供託を行ったり、被害者の反省などの上申書の提出により、被疑者の贖罪と反省の気持ちを表し、情状に関する証拠として検察官に提出することが考えられます。

これらについて、詳しくは以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

示談できない、示談不成立、示談を拒否された場合の対処法を解説

[参考記事]

贖罪寄付・供託により本当に情状が考慮されるのか?

3.不起訴を目指すなら弁護士へ相談を

検察は、十分な捜査の上、有罪判決を見込めるだけの証拠が揃った上でのみ起訴処分を決定します。
よって、刑事事件で起訴されてしまえば、99.9%が有罪判決になると言われています。

しかし、刑事事件全体の不起訴率は高いのです。刑事事件を犯してしまっても、その後の対応を正しく行えば不起訴となり、前科を回避できる可能性は十分にあります。

刑事事件はスピード勝負です。どうぞお早めに、刑事事件に詳しい泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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